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お茶のおいしさ、「消費者が決める」 渋谷で品評会

2015/11/14

 日本一のお茶を、消費者が決める――。これまで専門家が判断していた日本茶の品質を消費者が評価するという、業界の常識を覆す試みが始まった。NPO法人日本茶インストラクター協会(東京・港)などが主催する「日本茶AWARD(アワード)」。11月下旬に東京・渋谷で開く品評会だ。
8月に行われた「日本茶アワード2015」1次審査。日本茶インストラクターや大学教授、試験場関係者ら専門家22人が部門ごとにお茶を審査。加点方式で順位を付けた(静岡市の静岡茶市場、日本茶アワード実行委員会提供)

■減点法から加点方式へ おいしいお茶を評価

 「これまでの品評会は業界本位。消費者の感覚が全く反映されていなかった」。日本茶アワード実行委員会の高宇政光さんは語る。東京・赤羽で茶葉販売店、思月園を営む高宇さんはかねて、茶業界と消費者の距離が開いたことが、日本茶需要の低迷につながっていると感じていた。

「日本茶アワード」には全国から多様なお茶が出品された。煎茶や玉露だけでなく、ほうじ茶やウーロン茶、フレーバーティーも国産なら審査の対象になる(日本茶アワード実行委員会提供)

 お茶の品評会は通常、半製品の状態である「荒茶」を熱湯でいれ、専門家が減点法で評価する。熱湯でいれるのはその方が欠点が目立つから。「減点法だから欠点が少ない茶が結果的に評価される。茶葉の見た目を重視するため、味より形という風潮にもつながった」と高宇さんは指摘する。

 日本茶アワードは評価方式を一から作り上げた。消費者が普通にお茶を飲む場面を想定し、お湯の温度は約80度に設定。評価する茶葉も荒茶ではなく、「仕上茶」と呼ばれる完成品だ。普通の消費者が店で手に入れるのと同じ茶葉を評価する。

 茶葉の形は関係なく、あくまで味のみで判断する。欠点が少ない茶葉ではなく、個性的な茶葉も評価するため、減点法ではなく加点方式を採用した。「うまいお茶部門」と「香りのお茶部門」に分けたのも、それぞれの個性を重視するためだ。

 評価は2段階で行う。まずは8月に専門家による審査会を開き、「プラチナ賞」を決める。審査委員長は中村順行・静岡県立大学茶学総合研究センター長。ここで受賞した20点を消費者に実際に飲んでもらい、最終的な「日本茶大賞」を決める段取りだ。お茶はすべて、日本茶インストラクターがいれる。

■専門家と消費者の評価に違いも 甘いお茶が人気

昨年行われた「日本茶アワード2014」。日本茶インストラクターがいれたお茶を一般の人が飲んで評価した(東京・渋谷の渋谷ヒカリエ。日本茶アワード実行委員会提供)

 日本茶アワードは今年で2回目。昨年の審査結果には「ショックを受けた関係者もいた」(高宇さん)。専門家の間で最も評価された茶葉が、一般投票では上位に来なかったのだ。渋めのお茶よりも甘いお茶の方が人気があったという。「こうしたギャップを埋めない限り、日本茶需要は上向かない」と危機感を募らせる。

 今回の審査には343点の応募があった。8月の審査で20点に絞られ、11月28日、29日に東京・渋谷の渋谷ヒカリエで一般消費者による最終審査会を行う。即日開票し、29日のうちに「日本一のお茶」が決まる予定だ。

 審査会は予約制で、希望者はホームページ(http://nihoncha-award.jimdo.com/)から申し込む。11月27日から30日までは「TOKYO TEA PARTY」と題したイベントも開かれ、お茶に関する講演やワークショップ、茶葉の販売会などを行う。予約は不要だ。最終日の30日には「茶歌舞伎」という、お茶の種類を当てる競技を行う。こちらは事前予約が必要だ。

 「これまでの品評会は欠点を指摘することで生産技術の向上に役立ってきた。これからは海外進出をにらみ、消費者に受け入れられるお茶の開発にも目を向けないといけない」

 高宇さんは日本茶アワードの意義を訴える。日本茶インストラクター協会や主要産地、農水省も開催に協力的だ。消費者に支持される多彩なお茶の発掘を目指して、関係者の挑戦は続く。

(河尻定)

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