4K動画撮影 選択肢は「手軽に長時間」か「高画質」
「4K市場」が緩やかではあるが、確実に広がりを見せている。各社から発売された4Kテレビがじわじわと普及し、衛星放送やネットで4Kコンテンツの映像配信もスタートした。さらに個人でも手軽に4K動画を撮れるような環境が整ってきた。
例えば実勢価格が9万円前後と手頃で、4Kビデオ撮影に対応しているビデオカメラがパナソニックの「HC-WX970M」だ。光学20倍ズーム機能を搭載し、ほぼ自動で手軽に4K映像を撮影できる。
また、最近注目を集めているのが4Kに対応した同社のウエアラブルカメラ「HX-A500」。200gを切る軽さで、ヘッドマウントやアームバンドに取り付けてハンズフリーで撮影できる。さらにデジタルカメラ「LUMIX DMC-GX8」(パナソニック)も4K動画撮影機能を搭載している。
では、運動会、結婚式、旅行、スポーツなどさまざまなイベントを4K動画で手軽に撮影するのなら、どの製品がいいのだろうか。
基本機能優れるWX970M
WX970Mはスタンダードな「ビデオカメラ」タイプであることから、使い勝手や基本機能は他よりも優れている。光学ズーム機能や5軸手ぶれ補正機能、さらに風の音などを抑えるマイクなども搭載し、ビデオカメラとしての機能は十分。SDカードを用意しなくても64GBの内蔵メモリーに4K動画を約1時間50分撮影できる他、バッテリー駆動時間は最長で約3時間と十分長い。
一方、デジタルカメラのGX8は撮像素子が4/3型と他に抜きんでて大きい。このため、静止画だけでなく、4K動画でも表現力豊かに撮影できることが大きな魅力といえる。静止画撮影と同様にマニュアルでのビデオ撮影ができる他、さまざまなレンズを付け替えられるのもメリットだ。
ただ、光学ズームは手動で行ううえ、4K動画撮影の際のバッテリー持続時間が最長で約1時間40分と、WX970Mと比べて短めであるなど欠点もある。
ハイライトシーンを自動作成
ウエアラブルカメラのA500は光学ズーム機能がなく、撮影時間も約1時間20分と決して長くはない。しかし、映像をハンズフリーで、しかも4K画質で撮れるのは面白い。
アクションカムとしてスポーツなどを中心に普及してきたカテゴリーの製品のため、さまざまなアングルでの撮影も可能。付属のヘッドマウントアダプターでカメラを顔の横にセットすれば、撮影者視点で映像を撮影できる。
ウエアラブルカメラの動画は一定時間撮りっぱなしになることが多いため、一般的には不要なシーンを省くためのビデオ編集が必須になる。ただ、A500はハイライトシーンを集めたビデオを自動で作る「ムービースライドショー」機能を搭載。撮った映像を気軽に楽しんだり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でシェアしたりできるのは便利だ。
高画質にこだわるならGX8
3製品を総合的に見た結果、動画撮影という点で考えれば、やはりビデオカメラであるWX970Mのバランスの良さは圧倒的だ。20倍もの電動光学ズーム、他よりも長い撮影時間など、子供の運動会や入学式などを手軽に4K画質で撮るならWX970Mがベストだといえる。
ただ、高画質が売りの4Kにとことん凝るのであれば、GX8も選択肢として考えておきたい。ビデオカメラとしての使い勝手では譲る部分も多いが撮像素子は最も大きく、レンズ交換にも対応。機材など条件をそろえればGX8が最も高画質で撮れるはずだ。
(デジタル&家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2015年11月号の記事を基に再構成]
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