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我々は長期投資という「文化」を売る 独立系3社トップが語る直販投信の内幕(下)

 

2015/11/9

 「日本に長期投資を根付かせたい」との思いから誕生した「草食投資隊」。セゾン投信社長の中野晴啓氏、コモンズ投信会長の渋澤健氏、レオス・キャピタルワークス社長の藤野英人氏が、『日経マネー』鼎談を機に結成したものだ。この3人に、経営者として直販投信の内幕を語ってもらった。今回は、顧客と直接向き合える直販投信のやりがいや緊張感など、日々の運用で感じていることなどを紹介する(前回の記事はこちら)。

──さわかみ投信の存在は大きかったですか。

しぶさわ・けん 1961年神奈川県生まれ。69年に銀行員だった父の転勤で渡米。83年に米テキサス大学化学工学部卒業。財団法人勤務を経て、87年米UCLAでMBA取得。88年にJPモルガン銀行(東京)入社。96年米ヘッジファンド、ムーア・キャピタル・マネジメント東京駐在事務所設立。08年にコモンズ投信を創業して会長就任。渋沢栄一の5代目子孫で、草食投資隊の「隊長」

渋澤 澤上篤人会長がいなければ、僕ら3人はここにいなかったね。ベンチャーが直販投信をできるという手本を示してくれた。

藤野 直販と聞いた際は「なるほど、その手があったのか」と、目から鱗でした。すぐ会長を訪ねたら歓迎していただいて3時間も助言してもらいました。その間ずっと郵送物の封筒詰め作業を手伝いながら聞いていました(笑)。

中野 僕も創業前にお世話になりました。ただ、澤上会長の情熱的な話を聞いているうちに「自分にもやれる!」と勘違いしてしまう。

渋澤・藤野 そうそう!

藤野 実際に経験すると立ち上げは地獄の苦しみでした。さわかみファンドのように設定から順調に資金が流入することはまずない。結局物事を冷静に考え過ぎる人は、直販投信の会社なんて作りません。

■顧客が会社に果物を届ける

渋澤 コモンズ30ファンドでは毎月3000円から積み立て投資ができます。この場合、お客さん1人からいただく信託報酬は約36円になります。ここから人件費など諸経費に充てるわけです。やはりある程度、投信の規模が大きくならないと経営は厳しい。

──それでも直販投信にやりがいを感じているのですね。

藤野 直販の楽しさはお客さんと直接つながれること。レオスには大手証券会社で顧客対応していた社員がいますが、「全く違う」と驚いています。大手のお客さんは基準価額が下がると電話口で怒鳴るのに、僕ら3社のお客さんは「近くに寄ったから」と、お菓子や果物を差し入れてくれる。以前、大分産のカボスをもらいました。先週は栄養剤が届いたけど、「下げ相場でも頑張れよ」ってことかな。

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