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上手なシニアの街歩き 達人、鎌田政良さんに聞く

2015/9/16

 シニアの間で街歩きがブームだ。特に名所、旧跡の多い東京は、ガイドブックや地図を持った愛好家でにぎわう。旅行会社、アースウェイ(東京・中央)社員で、都内などの街歩きツアーを企画する鎌田政良さんは、もしもの備えは入念に、そして街に出たらのんびり適当に、とシニアに呼びかける。何に備え、どう歩けばいいのかを聞いた。

 ――神保町、根津、浅草といった都心は街歩きのシニアでにぎわっています。

かまた・まさよし 千葉県出身、46歳。2005年、旅行会社のアースウェイ入社。09年、街歩きツアーを企画する「街歩きの達人事務局」を開く。現在、都内を中心に約50コースの日帰りツアーを行うほか、定年退職したシニアをツアーガイドに育成する。

 「団塊の世代が定年退職し始めたここ数年で裾野が広がりました。中には張り切りすぎたのか、ハイキングにでも出かけるような格好の人もいますね。服装は帽子、薄手のカーディガンのような羽織物、履き慣れたウオーキングシューズで十分です。両手を空けてバランスが取れるよう、リュックサックか斜めがけのショルダーバッグを準備しましょう」

 「ウオーキングシューズは脱ぎ履きしやすいものがいいでしょう。旧宅や古民家などで靴を脱ぐことが多いからです。ひもをほどかず、ファスナーの上げ下ろしで対応できる靴がいいですね」

 ――シニアならではの持ち物があるとか。

 「健康保険証です。我が社のツアーでもそうですが、会話に夢中になり、坂の下りや段差のあるところで、つまずいて転倒するシニアがよくいます。先日も転んだ際、手首を骨折した人がいました」

 「ツアーの場合はガイドがケアするものの、個人だとそうはいきません。万が一の時に保険証があれば安心です。それから身分証として有料の庭園や資料館で提示すれば、シニア割引、65歳以上無料といったサービスを受けられます」

 「エコバッグも忘れずに。シニアにとって街歩きの楽しみはお土産。団子、もなかなどを扱う有名店に必ず立ち寄ります。いくつかの品をエコバッグにまとめてリュックに入れれば、帰りは楽です。突然の雨で風邪でもひいたら台無し。レインコートもリュックに入れておきましょう」

 ――いざ街へ。歩く距離の目安はありますか。

 「シニアの体力を考えると、午前と午後2時間ずつ。計4時間で7~8キロほど歩くのが妥当でしょう。時速にすると2、3キロ。のんびり歩く速度です」

 ――街の空間にのんびり浸り、適当に歩くというのが持論ですね。

 「男性の多くは歩くのが速いです。おそらくこういう気持ちだと思います。よし、最初に訪れる神社に着いた。次は旧街道にあるお地蔵様だ。きょうは全部で8カ所制覇するぞ――。名所をたどることが街歩きの目的になっているのです。だから自然と速足になる。本人はそれで楽しいかもしれませんが、街そのものを見ていない気がします」

 「私は東京を探訪する際、江戸時代から伝わる古地図と現代地図を見開きでおさめた地図やガイド本の持参を勧めます。例えば、本所深川を歩くと直角に曲がった道路に遭遇します。古地図と現代地図を比べると、もともとは水路で、やがて埋め立てて道路になったことが分かります。思わぬ気づきの積み重ねが街歩きの魅力なのです」

 ――グループだと、楽しさのあまり声のボリュームも上がります。

 「閑静な住宅街や墓地では気をつけたほうがいいですね。小休止する公園でおしゃべりしましょう。神社や寺院に行くときは、まず本殿、本堂へ。寺によっては檀家以外の立ち入りを断っているところがあるので注意してほしいです」

 ――まもなく錦秋。東京近郊でお薦めのコースを教えてください。

 「紅葉を楽しむなら、国分寺巡りがいいですね。JR中央線の国分寺駅南口にある殿ケ谷戸庭園を出発して、日本名水百選の『真姿の池湧水群』、旧鎌倉街道の切り通しを経て西国分寺駅を目指す4キロほどのコースです。豊富な水に恵まれ、真っ赤に色づいた武蔵野台地を散策すると、都心にはない東京の景観を楽しめます」

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