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「健康な油」が一転、規制対象に マーガリンの没落

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NIKKEI STYLE

日経ヘルス
かつては「動物由来のバターをとりすぎず、マーガリンに置き換えるのが健康的」といわれたが、今は「むしろバターは健康的」という専門家さえいる。こうした見解の変化がどうして起きたのか。オイルの歴史を、米国在住の医師・大西睦子さんに3回に分けて解説してもらう。今回は、健康的な油として推奨されたマーガリンが、米国では使用規制の対象となった経緯を見ていこう。

1902年、ドイツのウィルヘルム・ノーマン博士は、常温で液体の植物性油に水素を添加して、人工的に固形の油にする方法を発見しました。このときに副産物としてトランス脂肪酸が生まれます。1911年にはそうして作られたクリスコという商品名のショートニングが初めて市場に登場しました。

1960年代に入ると、バターなど飽和脂肪酸の害が報告され、代わりにトランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニングがヘルシーな脂質として、大量に消費されるようになりました。これらを使うと食品が長持ちして安価になり、サクサクとした食感を与えてくれます。ポップコーン、クッキー、ドーナツなど多くの商品に利用されました。

"敵"となり訴訟も始まる

ところが1990年以降、科学者はトランス脂肪酸の害を指摘します。ハーバード大学ウォルター・ウィレット教授らは、悪玉(LDL)コレステロールを増やし善玉(HDL)を減らすトランス脂肪酸こそ、心疾患の大きなリスクになる脂肪と結論づけました。さらに1997年に同大学フランク・フー博士らが、大規模疫学調査により、トランス脂肪酸をわずか2%不飽和脂肪酸に置き換えるだけで、心疾患のリスクの1つが53%も減少すると報告しました。

2003年、ナビスコ社「オレオ」に対し、「クリーミーかつ歯切れのいいオレオに含まれるトランス脂肪酸は、子供が食べると危険」と訴訟が起こりました。クラフト社(ナビスコ社の現在の親会社)はオレオからトランス脂肪酸を排除するか減らすと発表し、訴訟が取り下げられました。同年、マクドナルド社に対しても訴訟が起きました。結果マクドナルド社は、トランス脂肪酸の教育普及のために米国心臓病協会に700万ドル、トランス脂肪酸の広告活動に150万ドル寄付しました。

2006年には米国で、加工食品の栄養成分表示にトランス脂肪酸量の記載が義務となりました。ただし、1食当たりの含有量が0.5g以下であれば0gと表示できます。マクドナルドやスターバックス、ケンタッキーフライドチキンなどのレストランチェーンや大手食品メーカーがトランス脂肪酸の使用を中止あるいは低減しました。

同じころ、ニューヨーク市などの地方自治体は独自にトランス脂肪酸の規制を始めました。カリフォルニア州は2008年、トランス脂肪酸の使用を段階的に禁止すると決めました。

2013年11月7日、米食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸の食品への使用規制を発表しました。FDAのマーガレット・ハンバーグ局長は、「トランス脂肪酸の摂取量の削減で、年に2万件の心臓発作と7000人の死亡を減らせる可能性がある」と述べました。その後60日間、国民や業界から意見聴取を行い、実際の開始時期などを最終決定する予定でした。

2013年12月17日、FDAは最終決定を2014年3月8日に延期しました。食品業界が国際的な取引先と相談するための時間が必要だったからです。2015年6月16日、FDAは最終的に「安全とは認められない」と判断し、トランス脂肪酸の使用規制の強化、2018年6月以降の原則使用禁止を発表しました。

一方、日本では2010年の報告によると1日当たりトランス脂肪酸平均摂取量は、女性が1.7g(摂取エネルギーの0.8%)、男性も1.7g(同0.7%)でした。この結果は、WHOの基準「1日当たりの摂取エネルギー量の1%未満」を満たします。ただし女性の24.4%(特に都市部在住の30~49歳)、男性の5.7%がWHOの基準以上であり、その原因は菓子類を多く摂取しているためと考えられました。

農林水産省の情報によると、特に油脂類や菓子類は、製品によりトランス脂肪酸の含有量が違います。例えば、ショートニングは100g当たり1.2~31gと開きがあります。こうなると、日本人は平均のトランス脂肪酸摂取量が低いといっても、食生活にはかなり個人差がありますから、製品ごとに含有量の表示が必要だと感じます。

執筆者プロフィール

大西睦子さん
医師。東京女子医科大学卒。2007年4月より、ボストンのハーバード大学に留学し食生活と病気の発生を疫学的に研究。著書に『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)ほか多数。
 参考文献「Harvard T.H. Chan School of Public Health『Is butter really back?』」

(編集 日経ヘルス、写真 スタジオキャスパー)

[日経ヘルス2015年9月号の記事を再構成]

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