マネー研究所

カリスマの直言

かなえたい小さな株主たちの思い(渋沢健) コモンズ投信会長

2015/8/16

「2016年から始まるジュニアNISAを子どもたちのためにフルに活用するには、制度の恒久化が必要だ」

 東京都心から羽田空港に向かう途中に高速道路から巨大な建物を見かけたことがある方々が多いであろう。「羽田クロノゲート」。ヤマトグループの日本最大級の物流施設だ。

 最新のベルトコンベアシステムやロボットアームなどを駆使し、1時間に4万8000個の荷物の処理能力を持つ。年中無休24時間操業で荷物を国内外の行き先へスムーズに流れるように仕分けするだけではなく、家電の修理や手術道具の洗浄など「付加価値エリア」も整備されている。

 この物流改革の最先端施設に、8月初旬の日曜日に11組の親子が集まっていた。目をきらきらさせた子供たちが、歓声を上げながら見学コースを回って、「クロネコヤマトのトラックって何台あるんですか」など、色々な素朴な質問が寄せられた。

 自分たちの住まいの玄関に訪れる宅急便のお兄さんが普通に運んでくれる荷物が、このような施設を通じて無事に届いていることを知って、子供たちの想像が膨らんだのではなかろうか。「オンデマンド」で便利な生活が当たり前になっている世の中であるが、実は見えないところで様々な工夫がある。そんなことを少なからず幼い心が感じてくれたかもしれない。

 だが、このイベントは学校が設けた社会見学ではない。実は、参加した子供たち全員は弊社が提供している「こどもトラスト」を通じたコモンズ30ファンドの受益者である。同ファンドの投資先であるヤマトグループの間接的な小さな「株主」、つまり投資先企業の株主としての、れっきとした会社訪問だ。

「こどもトラスト」の企画で小さな「株主」たちが積極的に質問している様子。ヤマトグループの羽田クロノゲートで

 親が子供の将来の教育費のために月々1万円を積み立てているとしよう。同ファンドはおよそ30社の企業に投資をしているので、その子は毎月約300円相当のヤマトグループの株式、およびその他29社の優良企業に投資していることになる。

 また、株主なので「目的ある対話」にも子供たちに挑んでもらった。「しゃちょうさんへの手紙」では例えば、「しゃ長さんは忙しいですか。これからもリーダーとしてがんばってください」という励ましが8歳の「株主」から寄せられた。

 親からも「親子ともども、大変興味深く、有意義な時間でした。またヤマトさんには普段からお世話になっておりますが、大変礼儀正しい方が多く、ハード、ソフトともに一流を感じました」などの感想があった。今回の企業訪問では重要な投資判断である非財務的な「見えない価値」に光りを当てることができたようだ。

 2016年に始まる予定の未成年者を対象にした少額投資非課税制度(ジュニアNISA)では、子供への金融教育の関心が高まっている。これからの時代では過去の高度成長、そして、その後のデフレ時代とは異なり、何も考えず貯金するだけでは将来の資産価値の維持が難しい。一人ひとりが当事者の意識を持って資産を形成するマインドセットが必要だ。日本の未来を担う次世代の育成を支えることは、最優先すべき国家戦略である。

 ところが、子供に投資ゲームを教えるだけでは「株をやってる」大人と子供を入れ替えているだけで社会的インパクトに乏しい。

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