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料理家・栗原心平 「食」が満たされていて寂しくなかった

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日経DUAL
人気料理家である栗原はるみさんを母に持ち、ご本人も料理家として活躍する栗原心平さん。子育て真っ最中の36歳パパです。共働き家庭に育った栗原さんに、子どものころのことと両親のこと、同じ道を歩む大先輩でもある母親について語ってもらいました。

中学時代から栗原家の「シェフ」だった

――栗原さんがテレビなどで作るお料理はいつもおいしそうなのですが、やはり小さいころから台所に入ってお母さんのお手伝いをするような子だったのですか。

栗原心平さん(以下、敬称略)  台所にいる時間は他の子よりはずっと長かったですね。小学校のころから家族のために料理をしていました。よく覚えているのはブランチにパンをトースターで焼いて、キャベツとコンビーフを炒め、ハムエッグを作っていたこと。毎週日曜日の日課でした。

――そんなに小さいときから! 包丁の使い方や野菜の洗い方もきちんと教えてもらって?

栗原 細かいことを手取り足取り教えてもらうことはありませんでしたが、母が料理をする姿を見たり、夕飯の手伝いをしたりしながら、見よう見まねで覚えたんだと思います。

とはいっても、キャベツの炒めものなんてざっくり切るだけだし、調味料代わりにコンビーフを使うから味付けもそれほど難しいことはなかったですけどね。

――週末のブランチ係が、成長とともに徐々に進化していったのですね。

栗原 中学校に入ると、父が毎日のように夕飯で食べていたステーキを焼くのも、僕の担当になりましたね。ウイスキーの水割りと一緒に、焼いたステーキを食卓に持っていくんです。父は料理には厳しいほうなので、焼くだけとはいえ火加減や味付けに手を抜けませんでした。

もともとは母が仕事で留守にしているときは、父が毎晩夕飯を作ってくれていたんです。でも、父は「おいしい」と褒めるとその献立ばかり作りたがるので、それがいやで自分で作るようになり、高校生のときには夕飯を作るのが僕の役目になっていました。

メーン料理のほかに少なくとも3種類の常備

――そこから腕を磨いてきたわけですね。ところで、栗原さんが小さいころから、お母さんは仕事で忙しくしていたのですね。

栗原 父は一時、家で執筆活動をしていた時期が数年ありましたが、母は僕が2~3歳のときにはすでにテレビの料理番組の仕事を始めていましたから、家にいないことも多かったです。

でも、母は地方に出張するときなどは必ず電話をくれましたし、不思議なことに寂しかったという記憶が僕にはないんですよ。

僕がまだ小さいころは、近所の知り合いに時々、姉と僕を預ける日もありましたが、たいていは夕飯の用意をしてから出かけて行っていました。母が作る夕食はメーン料理のほかに、いつも少なくとも3種類の常備菜がありました。僕達はご飯を炊いたり、たまに味噌汁を作ったりするだけでよかった。子ども達がしっかりと満足できる食事を、忙しいながらも用意してくれていたんです。

――なかなかできることではありませんね。

栗原 僕の持論は「衣食住の中で最も大切なのは食」で、どんなにいい服を着て、立派な家に住んでいたとしても、食べ物に対して丁寧に向き合っていないと、人は精神的に安定できないと思っているんです。

振り返ってみれば、そんな価値観は「食」に決して手を抜かない両親から教わったことでした。父も母もずっと仕事をしていましたが、僕達は食生活の面で十分満ち足りていたからか、両親から愛情をかけてもらっている安心感は常にありました。

母は、『ごちそうさまが、ききたくて。』(栗原はるみさんが家族のために考案した料理を紹介したレシピ本。食器や家族への思いも盛り込まれている)のままの生活をしてきた人。あるとき母が「家族が今、幸せじゃなかったら、自分が今までやってきたことの意味が全くない」と言ったことがありました。

僕は親になって余計に、その言葉の意味が分かるような気がします。今は休みの日は特に料理を作って家族3人で食卓を囲むようにしています。

「省く」のではなく、いかに効率よく料理を作るか

――とはいえ、働くお母さんはなかなか料理に手をかけられないものです。栗原家にも時短メニューってありましたか。

栗原 「時短」の捉え方が違うのかもしれませんが、いかに効率よく料理を作るかという考え方はあったと思います。例えば、昆布だしをとるのには時間がかかりますよね。なので、朝出かける前に昆布を水につけておけば、帰宅後の料理がスムーズになるとか。

――おお~っ、さすが栗原家。忙しいからだしを取るのを省く、という考え方ではないのですね。

栗原 朝、つけておくだけだから実は簡単なんです。それだけで、料理が格段においしくなるのだから、やらない手はありません。どちらかというと、段取りを考えて先にやっておけば楽でしょ、という考え方かもしれませんね。

――お母さんのお料理で特に好きだったものは何ですか。

栗原 麻婆春雨。出来立てではなかったので汁をたっぷりと吸っているのですが、その春雨をごっそりと熱いごはんにかけ、ずるずるとすすりながら、ごはんをかきこむ……たまらなく好きでした。

僕が小学校のころ、土曜日は授業が昼までしかなかったので、母が仕事でいなくても、家に昼食が用意されていました。「今日は麻婆春雨」と分かったとたん、一気にハイテンション。

自分でもたまに作りますが、母の作る麻婆春雨は特別なんですよ。時々実家に昼時に立ち寄ると、今でも母が作って待っていてくれるときがあって、やっぱりテンションが上がりますね。

食器は各自で洗うのが栗原家のルール

――栗原家では食卓の決まりごとは何かありましたか。

栗原 食に関するしつけは厳しかったな。特に好き嫌いや食べ残しをすると叱られました。ただ、うちでは大皿に盛った料理を中央に置いて、そこから取って食べるスタイルだったので、嫌いなものはこっそり避けたりもしてましたけどね(笑)。

箸の持ち方も厳しかったですよ。迷い箸やねぶり箸などをするとよく注意されました。食事の最中に肘をついたら一喝ですし、膝を立てようものなら手が出たこともあったんじゃないかな。

そして食後は、必ず自分が食べた食器は自分で洗う、というのがルールで、食器を洗うまでが食事なんだと教え込まれました。うちは比較的父が厳格で、母がそれをフォローする役回り。ですが、食事の時間に限っては両親ともに本当にしつけが厳しかったです。

――普段はお父さんとお母さんでしつけの担当が違ったんですね。

栗原 母は僕が料理を作ると「こんなに上手にできるのね」と喜んでくれました。でも、父は違いました。ほとんど褒められたことを覚えてないくらい。

――ええ、それは意外ですね。栗原さんのお料理に限って。

父に鍛えられたから、今がある

栗原 僕は料理にかかる手間が苦にならないタイプで、例えば、長く塩漬けして待つというような手順を、子どもだと待てなかったりするじゃないですか。それが、僕は全くいやじゃなかったんです。だから「まめだし、根気強いから料理に向いているわよ」と母からは言われていたんですよ。

そんなこともあって、僕がまだ料理の世界に進もうと考えてもいなかった高校生のとき、どうやら母が父に「心平は将来、料理の仕事に就くかもしれないから、今から鍛えておいたほうがいい」というような話をしたようで。

その日を境にして、父の注文が猛烈に厳しくなりました。例えば、炒め物一つとっても「コクがない」「味が薄い」という感想だけでなく、「人に食べさせる料理じゃない」と食べてくれないこともありました。もうコテンパンに言われてましたよ。

――それは手厳しい。もっとうまくなってほしい、という親心でしょうか。

栗原 それよりも、自分がおいしいものを食べたいというのがあったんじゃないかな(笑)。でもね、ほんのたまになんですが「これは、まあいいな」と言ってくれることがある。そうすると、モチベーションになりますよね。そのへんのコントロールがとてもうまかったなと思いますよ。

母がよく「料理家として今の自分があるのは、料理の出来にとても厳しかった主人の存在があったから」と言っているのですが、僕もやっぱり父に鍛えられたから、今があるのかもしれません。そういう意味では、父に感謝していますね。

(ライター 宇治有美子)

[日経DUAL 2015年4月7日付の記事を再構成]

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