マネー研究所

カリスマの直言

問われる投資家と企業の対話力(渋沢健) コモンズ投信会長

2015/6/7

「スチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードの導入で今年の株主総会シーズンは、運用会社も企業も忙しくなりそうだ」

 決算発表会のハイシーズンを終えて一息と思いきや、これから運用会社と企業が神経を尖らせるのが株主総会の議決権行使だ。多くの資産運用会社が、機関投資家の行動規範である「スチュワードシップコード」を昨年採用した。そして東京証券取引所が、企業統治指針である「コーポレートガバナンスコード」を1部・2部上場企業に6月1日から適用した。今年は初めて対応する事項もあり、多くの運用会社と企業は手探り状態だ。

 ただ、2つ合わせて1つのセットになっているスチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードの本質とは、政府から突き出された規制強化ではない。あくまでも、資産運用会社と企業が価値創造の向上へ自ら忠実に働きかける精神の表明だ。

 株価は、短期的には様々な要因によって変動するが、長期的には企業の価値に連動する。投資先企業が企業価値を向上させれば、長期投資の資産運用会社は受益者へのリターンの最大化に努めるという責任を果たすことができる。このような受託者責任の方針を運用会社が明示して実践することがスチュワードシップコード。利益相反の管理、投資先企業の経営モニタリングなどに加え、資産運用会社が議決権行使の方針と行使結果も公表する原則だ。

 一方、コーポレートガバナンスコードとは日本企業が積極的な経営による価値創造に努めることを推進する原則である。欧米でコーポレートガバナンスコードが導入された背景は短期的な利益追求で過激なリスクテイクを阻止することであったと考えると、まさに今回は「日本版」である。しかしながら、株主の権利と平等性の確保、株主以外のステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確保、取締役会等の責務、そして株主との対話とは、東西を超える普遍的な原則だ。

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