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片頭痛、「予防に鎮痛薬」はご法度 より治療が困難に

2015/6/14

日経ヘルス

 急に激しい痛みに襲われる片頭痛。患者の多くは市販の鎮痛薬で対処しているが、月に10回以上服用している人は要注意だ。脳が痛みに敏感になり、かえって症状を悪化させやすい。正しい鎮痛薬の使い方を専門家に聞いた。
(イラスト:いいあい)

 片頭痛の人の多くは市販の鎮痛薬で対処しており、受診者は3割程度との調査がある。「市販薬を月1~数回使って治まるなら問題はない」と、富士通クリニックの五十嵐久佳医師は話す。

 逆に、市販薬の効きが悪いのに我慢していたり、月10日以上市販薬をのんでいる人は頭痛専門医を受診すべきだという。「脳が痛みに敏感になり、かえって頭痛の回数や痛みが増す恐れがある」(五十嵐医師)からだ。市販薬を予防的にのむのはもってのほか。これらを「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」といい、通常の片頭痛よりも治療が難しく、回復に時間がかかる。

 特に月経時に片頭痛を起こす人は要注意。「月経時の片頭痛は他の誘因で起こる片頭痛よりも痛みが強い傾向があることがいわれている」(牧田院長)。頭痛がなくても月経痛対策で服薬する人も多く、月内の服薬回数が増えがちだ。

1カ月に15日以上頭痛があり、10日以上市販の頭痛薬を服用している場合、薬物乱用頭痛が疑われる
薬を多用すると脳が痛みに敏感になり、薬が効きにくくなるうえ、普通なら知覚しないささいな刺激も痛みとして認識するようになる。つまり痛みの閾値が下がってしまう。その不安からまた薬をのむ、という悪循環に陥る

 「市販薬を使い過ぎかも」と思ったら、頭痛の記録をつけてみよう。「日ごろから頭痛が起こった日、症状の内容や強さ、きっかけとして思い当たる出来事などを手帳にメモしておくと、服薬回数も把握でき、頭痛の誘因も見えてきて回避しやすくなる。記録すると服薬回数を減らせる効果もある」(五十嵐医師)。月経痛のためにのんだ分も記録しておこう。

 病院での片頭痛の治療は、誘因を見つけてなくすことと、痛みを抑える薬の処方が柱。薬は主に「トリプタン製剤」が使われるが、のむタイミングが重要だ。

 片頭痛の発作はほとんどが下図のような経緯をたどる。トリプタン製剤(錠剤のほかに点鼻薬や自己注射もある)は痛みが激しくなってから服用しても効かないことが多い。痛み始めのタイミングで使うと、痛みの「山」の手前で終息させられる。まだ軽い痛みでも、頭を軽く振って響くと感じたら、それが使うタイミングだ。

 症状が出たらすぐのめるように、薬は携行しておくといい。症状の出方や強さによっては、このほかに消炎鎮痛剤や制吐剤などを使うこともある。

■頻発する人には予防治療も

 頭痛発作が頻繁に起こったり、薬物乱用頭痛になっていたりする場合は、薬による予防治療で回数を減らすことが可能だ。予防に有効とされる薬には、抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウムをはじめ数種類あるが、いずれも即効性はなく、最低2カ月の服用が必要になる。

 服用している間は、頭痛の出方を記録して様子を見る。生活上の誘因を取り除くなど、セルフケアも併せて行う。予防治療を行っている医療機関は限られるため、まずは頭痛専門医に相談しよう。

■頭痛専門医の見つけ方

 頭痛の受診先は内科や脳神経外科を選びがちだが、頭痛に詳しい医師でないと、的確な診断や治療が受けられないこともある。診療科にかかわらず、日本頭痛学会が認定する頭痛専門医を受診先に選ぶのがお薦めだ。日本頭痛学会認定頭痛専門医一覧はウェブサイト(http://www.jhsnet.org/ichiran.php)で参照できる。

■この人たちに聞きました

五十嵐久佳さん
 富士通クリニック(川崎市中原区)・東京クリニック 頭痛外来担当。北里大学医学部卒業。宮内庁病院第二内科医長、神奈川歯科大学附属横浜研修センター内科学講座教授などを経て2012年より現職。北里大学医学部客員教授兼任。日本頭痛学会理事・専門医
牧田和也さん
 牧田産婦人科(埼玉県新座市)。関西医科大学卒業後、慶應義塾大学産婦人科学教室入局。2008年より現職。慶應義塾大学病院産婦人科に併設の更年期外来の診療も兼務。婦人科領域では数少ない頭痛専門医

(ライター 渡邉真由美、構成 日経ヘルス 黒住紗織)

[日経ヘルス2015年5月号の記事を基に再構成]

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