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海外預金や送金、申告してますか 税務署の目が光る 「漏れ」多く調査強化

2015/1/10

 会社員Aさん(59)は、海外の銀行に口座を持ち、預金をしている。利子を定期的に受け取っているが、ある日、税務署から「申告漏れ」を指摘された。Aさんとしては申告の必要性は意識していなかった。

 海外にある金融機関に口座を開き、現地通貨建ての預金や株式といった資産で運用する人もいます。海外で運用益を得た場合も原則、税金を払う必要があります。その流れは日本国内で運用する場合とは異なるので注意が必要です。

 預金の利子で見てみましょう。国内の場合、銀行が利子の中から税金を源泉徴収(天引き)して税務署に納めています。現在の税率は20.315%(所得税と住民税、復興特別所得税の合計)です。

 一方、海外で開いた預金口座で利子を受け取る場合はどうでしょう。現地政府に払うべき税金が現地で源泉徴収されることはあっても、日本でかかる税金について源泉徴収される仕組みはありません。利子は給料などと合算して確定申告する義務があります。

 税理士の阿保秋声さんは「実際には申告をしない人が多い」と指摘します。それは国税庁の統計からもうかがえます。所得税に関連して申告漏れのあったケースで1件当たりの金額は全体では810万円ですが、海外運用など国外取引をする人に絞ると約2倍の1698万円です。

 だから税務署は海外に保有する財産で運用益があると見られる人への調査を強化しています。Aさんの例でも申告していなかった利子について修正申告する必要があります。

 もうひとつ税務署が注意深く見ているのが、日本から海外への送金です。贈与税の申告漏れがないかを確認するためです。一般におカネを誰かにあげれば原則、贈与税の課税対象となり、もらった人には贈与税を支払う義務があります。

 財産が海外に移れば贈与税はかからなくなると思い込む人もいますが、誤りです。海外に住む人に財産を相続する場合も同様です。相続税においても国外財産の申告漏れ1件当たりの金額は1億3146万円と全体の2倍にのぼります。

 海外の大学に留学中の子供に、学費や生活費を仕送りするケースは少なくありません。実際に必要な資金を送金する限り贈与税はかからないので大丈夫ですが、もしも税務署から問い合わせがあれば、支出明細を示すなどしてきちんと説明する必要があります。

 税務署は海外運用益や海外送金をどう把握しているのでしょう。利子については現地の税務当局と情報交換をすることがあります。1回当たり100万円を超える海外送金は「国外送金等調書」で把握できます。金額や目的などを、送金元になった口座のある国内の金融機関が税務署に提出するよう義務付けられています。100万円超の送金は税務署に筒抜けなのです。

[日本経済新聞朝刊2015年1月7日付]

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