マネー研究所

カリスマの直言

2015年「地銀戦国時代」本格化の予感(渋沢健) コモンズ投信会長

2014/12/28

「『民間投資を喚起する成長戦略促進』への政策期待から、長期的安定政権は歓迎すべきだ」

 2014年を振り返って印象に残るのは、長期的安定政権から生じるはずの「政策」が長期的安定政権のための「政局」へと転じたことだ。一方、夏に日本各地を襲った豪雨や現在の大寒波などの異常気象、噴火や地震活動の活発化、そして、世界の経済・地政学動向などから、世の中が不安定期に入っているのが感じられる。このようにリスクが高まる環境の中でも、企業が価値創造を持続できることが、今後の株式市場の上昇のカギを握る。

 世の中が不安定のときに、長期的安定政権は歓迎すべきだ。ただ、それは企業の価値創造のために「民間投資を喚起する成長戦略を促進」する政策への期待があるからである。

 本来であれば、その民間投資や成長の持続可能性の担保になる「社会保障と税の一体改革」を即時に粛々と進めるべきであるが、消費税の引き上げが延期になった。報道によると、今度は「財源と一体」という声掛けで法人税が20%台まで引き下げられるのには3年もかかるそうだ。一方、相続税の課税強化は予定通りに新年の1月1日から施行され、新たに約600万世帯が負担を迫られることになる。そして、15年7月には海外移住する富裕層の株式の含み益に所得税などを課税するようだ。

 今回の選挙では、独自の政策に忠実な政党が最も飛躍した。共産党だ。手厚い社会保障の必要性を基本理念としながら消費税を下げるべきだという計算のつじつまが合わない矛盾を、大企業や一部の世帯の負担によって補うことを訴えた。民主主義において政党が、それぞれの考えを主張することは当然のことである。しかし、「現状維持」を訴える野党と「成長戦略」を掲げる政権与党が実践できる経済政策が(そもそも独立性があるはずの中央銀行の政策領域である量的金融緩和以外に)さほど違いが見えないことが日本の残念な現状だ。

 15年4月の統一地方選挙、15年9月の自民党総裁選挙、16年7月の参議院選挙という国内政治の日程を考えると、長期的安定政権といえども、今後も難しい政治決断を要する「政策」色が薄くなる一方、「政局」色が濃いままになる可能性が少なくない。また、16年11月の米大統領選挙に向けての政治キャンペーンが始まる背景において、環太平洋経済連携協定(TPP)など大型経済政策の施行が本格的に動くことも期待できない。15年の株式市場の航海には、「政策」という追い風に過大な期待を寄せない方が無難である。

 

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