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自然の偉大さを作品に 画家と音楽家が語る原点

2014/12/19

 スクリーンに映し出される満月や大海原。耳を澄ますと、虫の声や波の音が聞こえる――。そんな自然の風景が10月から1カ月間、日経東京本社(東京・大手町)のエントランスに現れた。作品を手掛けた画家のフランシス真悟氏と音楽家の内田学氏をゲストに迎え、キュレーターの児島やよい氏を司会役に、創作の原点を語ってもらった。(以下、敬称略)

 

枯山水サラウンディング「八水響」(2007年、東急多摩川線多摩川駅構内) 水流を人の流れに例え、一滴の水が川になり海に至るまでを実際に録音した水の音で表現。流域の古墳をかたどった黒い線上を人が通ると音が鳴る
枯山水サラウンディング「神曲」(2009年、在日フランス大使館旧庁舎「No Man's Land」展、東京都港区) ダンテ「神曲」にインスピレーションを得て、「天国編」「煉獄編」「地獄編」と名付けた3作から成るサウンドインスタレーション

児島 今回、フランシスさんはエントランスの1階と2階にまたがるスクリーンに映像作品、2階のギャラリーに抽象画を展示しました。作品の前に立つと、内田さん率いる「枯山水サラウンディング」によるサウンド作品が聞こえます。お二人が参加した「The Mirror」展(10月16日~11月9日、名古屋商工会館、東京・銀座)と連動した展示です。まずはこれまでの活動を紹介いただけますか。

フランシス真悟(ふらんしす・しんご) アーティスト。1969年、米国カリフォルニア州生まれ。92年、クレアモント、ピッツァーカレッジにてBFA(美術学士号)取得。96年、キュレーション団体Hatch Artを設立、展覧会企画に携わる。「抽象と形態 何処までも顕れないもの」(2012年、DIC川村記念美術館、千葉)、「Kaleidoscope」(13年ロビーギャラリー、ダースト財団、ニューヨーク)ほか個展やグループ展に多数参加。現在ニューヨークと横浜を拠点に活動

内田 私たち、枯山水サラウンディングは音楽家やプログラマー、デザイナーなど様々なクリエーターの集合体です。庭を作る感覚で音楽を作りたいと思い、「枯山水」の名を付けました。

 代表作の1つ「八水響(はっすいきょう)」は東急電鉄多摩川駅の構内にある期間だけ設置し、音で多摩川の流れを表現した作品。黒い線のセンサー上を1人が通ると、水源の最初の一滴の音がポチャンと鳴る。人が多く行き交うと徐々に川のせせらぎに、さらに増えると海の波音が響く。地元の人たちに「川」の存在を意識してほしかったんです。このように公共の場に音響作品を作っています。

■絵で向き合った人生の変化

フランシス 私は具象画から絵を始めましたが、今は抽象画を描いています。初期の抽象画のテーマは「炎」でした。当時、人生の変化に関心があった。親しい人が亡くなったり、友人が離れていったり。その変化のシンボルが炎でした。私は若い時に父親を亡くしましたが、それも大きな変化でしたね。

 その後、今も続く青いコンポジションの絵画シリーズでは深い青色で意識と無意識、内面と外界との行き来を表しました。また、「Bound for Eternity(永遠へ)」という横長のドローイングでは、人が生まれて死ぬまでの感情やエネルギーの変化を様々な色の線で表しています。

児島 フランシスさんのお父様は20世紀を代表する抽象画家のサム・フランシス。創作の上で影響は受けましたか。

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