マネー研究所

税務署は見ている

ランチの伝票にも調査官のセンサーが働く

2014/11/21

 オフィス街のランチタイムといえば、職場で気の置けない同僚と過ごす楽しいひとときですね。でも、国税調査官はランチタイムも調査の目を光らせているのです。ベテラン調査官で上席のAさんと新米調査官のB君がちょうどランチに出かけるところです。会話に聞き耳を立ててみましょう。

:「上席、こんなところに行列ができてますよ」
:「ほんまやなぁ」
:「定食は何でも800円で、ご飯とみそ汁のおかわりOKって書いてます」
:「よさそうやないか、ここにするか」
店主:「いらっしゃい!」
:「わしは焼き魚定食」
:「僕はとんかつ定食」
店主:「あいよ。焼き魚一丁、とんかつ一丁!」
:「(出てきた焼き魚にはしをつけながら、B調査官に耳打ち)おい、伝票見てみろ」
:「(とんかつを口に運びつつ)“魚”、“とんかつ”って鉛筆で書いてあるだけです」
:「日付もないし、連番もないな。これは会計時、おもろいことになるかもしれんで~」
:「旨かった~。お会計御願い」
店員:「800円ずつです」
:『(小銭入れから500円玉と100円玉3枚を店員に渡すと、店員は開いたままのレジに硬貨を放り込む)う~ん、この店大丈夫か?(心の中で)』
:『(1000円札を差し出すと、店員はレジ前カウンターに積まれていた100円玉2枚をBに手渡す)上席がさっき言った「おもろいこと」って何だろう(同じく心の中で)』

 読者のみなさんは、ベテラン調査官のAさんが「この店大丈夫か~」と怪しんだ理由がわかりますか? 新米B君はよくわかっていないようですが、Aさんはベテラン調査官のセンサーがピピッと働いたようです。

 オフィス街のランチを出す飲食店は12時から13時ごろが勝負時です。この1時間に集中して売上高と利益を上げるために工夫します。メニューの数を絞り、値段を一律にする。客の回転率を上げつつ、レジ係の仕事の負担を極力減らすことが、売り上げと利益アップにつながるのです。もちろん、経営者が収益アップのために努力することは悪いことではありません。AさんとB君がたまたま入ったこの飲食店が必ず税金をごまかしているとは限りませんが、でもこのお店は調査官に「?」と思わせてしまった点が残念なのです。

 調査官はプライベートな時間でも調査の目を光らせています。どこかに税務調査のヒントが転がっていないかと、チェックしているのです。事業年度が7月から始まる国税の世界では、7~12月の「ナナジュウニ」が税務調査の最盛期です。この時期は朝調査先に出向き、昼は近所のお店でランチをとって、午後また調査を続ける毎日が続きます。そのランチタイムは税務調査のヒントを拾う絶好のチャンスです。

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