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記憶に残るジャズと映画 銀幕を彩った名曲

2014/10/29

 新しいジャズの楽しみ方を提案する「Something Jazzy 女子のための新しいジャズガイド」の著者、島田奈央子さんによるジャズガイド。最近の話題やおすすめのアルバムを紹介します。

 時代を超えて、あらゆる世界中のミュージシャンたちによって何度も何度も繰り返し演奏され、歌い継がれているジャズの名曲たち。いわゆるジャズのスタンダードと呼ばれる曲は、実はオペラやミュージカル、または映画のために作られた曲が多いことをご存じでしょうか。

 特に1930年代から60年代にかけては、歌劇や映画の中から後世に残る名曲が生まれた黄金期。例えば、ジャズボーカリストによく歌われる「サマータイム」は、オペラ「ポーギーとベス」(35年)の劇中歌であり、「オーバー・ザ・レインボウ」は、ミュージカル映画「オズの魔法使い」(39年)のために作られたアリア(詠唱)だったそうです。また有名なところでは、オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」(61年)の主題歌「ムーン・リバー」でしょうか。

 当時の作曲家たちは、後にジャズのスタンダードになるとは思わずに書いていたのかもしれません。しかし、一度聴いたら耳から離れない強いメロディーと、物語の主人公たちの心情をつづった深い詞。そして時にユニークで大衆的な要素は、やはりジャズミュージシャンにとって、とても魅力的な音楽なのだと思います。

■名作曲家たちの足跡をたどっていくと…

 私自身もジャズのスタンダードナンバーを知るきっかけになったのは、数多くのミュージカルや映画音楽を手掛けた、アメリカの作曲家・作詞家のコール・ポーターでした。それも彼の曲ばかりを演奏するという、トリビュートライブに足を運んだことから。これまでに聴いたことのある曲もありましたが、丁寧な曲解説と生演奏から新たに知った名曲もあり、さらにその曲をカバーした他のアーティストをたくさん知るきっかけにもなりました。

 もしもジャズのスタンダード曲を知りたいと思ったら、ジョージ・ガーシュウィンやリチャード・ロジャースなど、映画音楽やミュージカルに携わっていた名作曲家たちの名前から作品を探していくのもお勧めです。

 映画全体のサウンドプロデュースを手掛ける、ジャズミュージシャンもいます。有名なのは、58年制作のフランス映画「死刑台のエレベーター」。ジャズの巨匠、トランペッターのマイルス・デイビスが音楽全体を手掛け、斬新かつ美しいサウンドにより芸術性の高い作品になっています。

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