マネー研究所

カリスマの直言

「草食系」長期投資家が熱い(渋沢健) コモンズ投信会長

2014/9/7

「コツコツと長期的に資産を形成する日本人を支えよう……。この思いから草食投資隊の活動は始まった」

 最近の日本の株式市場に活力を感じない。米国株式市場の高値更新につられて上昇するが、自発的に上値を抜けるモメンタムが失せている。また、米シティバンク銀行が日本での個人向け業務の撤退を検討しているニュースは衝撃的だった。およそ870兆円の現預金を保有しているマーケットに収益性の魅力がないという意思表明だ。ただ、こんなまったりとした環境の中でも見落としてはならない動きがある。最近、ある種の長期投資セミナーへの参加が盛況なのだ。

 8月下旬、東京駅から近い会場は活気にあふれていた。「草快塾」(=草食投資隊の快心投資塾)は長期投資に関心がある一般個人の集いである。「草食投資隊」とは、聞きなれない言葉かもしれないが、2010年に資産運用会社の代表が結成した。セゾン投信の代表取締役社長の中野晴啓さん、レオス・キャピタル・ワークスの取締役CIO(最高運用責任者)でひふみ投信のチーフファンドマネージャーの藤野英人さん、そして、コモンズ投信の取締役会長の小生という、それぞれの会社の創業者3人の集まりだ。3人は、同年の4月に出版した共同執筆の『運用のプロが教える草食系投資』(日本経済新聞出版社)のプロモーションのために、おそろいの緑のネクタイを締めて、全国巡回を始めた。

 通常、投資の話だと「肉食系」を連想する。そして、当然ながら我々はライバル会社だ。ただ、手数料収入を獲得するためにマーケット・シェアを奪い合うという旧来の金融業界のモデルではなく、長期投資という「文化」を共に育みたいという思いに共感を覚えた。同じサバンナで共生できる「草食系」として力を合わせよう。ガツガツではなく、コツコツと長期的に資産を形成する日本人を支えよう。そもそも、「肉食系」より「草食系」の方が寿命が長いではないか……。このような思いで、草食投資隊の活動が始まった。

 活動がスタートして5年目に入ったが、北はオホーツク海の北見、南は東シナ海の那覇まで、草食投資隊は日本全国各地を回り、セミナーの数は約100回に達した。ごく初期のことだが、ある地方都市に3人で駆けつけたところ、会場には参加者が3人しかいなかったという寂しい経験もした。しかし、最近は様子が違う。

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