マネー研究所

不動産リポート

空き家の原因は新築住宅の「造りすぎ」 不動産コンサルタント・長嶋修

2014/8/13

 日本の空き家率は13.5%に達し、いまなお空き家は年々増加している。前回は、空き家対策に乗り出した自治体や政府の動きの一例をお伝えした。しかし「空き家」という現象はあくまで「結果」である。そもそもなぜ空き家が増えているのか。その「原因」に迫る必要があるだろう。

■コントロールなき住宅政策

日本には住宅の「総量目安」が存在しない

 空き家増加の理由は簡単だ。「必要以上に新築を造りすぎ」なのだ。以前にも触れたが、経済協力開発機構(OECD)に加盟しているような普通の国は、ほぼすべて「住宅総量目安」や「住宅供給目標」といったものを持っている。

 世帯数の現状と見通し、住宅数とその質がおよそ把握できるわけだから、5年なり10年の間にどのくらいの新築を造れば良いかといった目安を立てるのはそう難しいことではない。その目安に合わせて税制や金融をコントロールしていくのである。

 日本にはこうした目安が一切なく、ただ景気対策としての住宅政策が行われている。新設住宅着工戸数が減れば景気の足を引っ張るとして、常に新築住宅促進政策が過剰に行われてきたのだ。

■5年程度の工程表を

 全体計画は存在せず、住宅数について誰も管理していない状況なのだから、空き家が増えるのも当然といえば当然。高度経済成長期には、ただただ新築を造りまくればよかったが、もはや必要以上に造る意味はないどころか、空き家といった課題を生み出すフェーズでは、市場全体のコントロールが必要だ。

 しかしこうした目安を設定してしまうと、いかに新築住宅を造り過ぎているのかが白日の下にさらされてしまうため、抵抗も強いはずだ。新築住宅建設産業も、すぐに態勢変更はできないだろうから、国が5年程度の行程表を示し、段階的に新築住宅数を減らしていく道筋を作るのがよいだろう。

マネー研究所新着記事