マネー研究所

カリスマの直言

相続増税より課税ベース拡大で税収増を(渋沢健) コモンズ投信会長

2014/8/9

「アベノミクスと相いれない2015年の相続増税は改正すべきだ」

 2015年1月に始まる相続税の課税強化で、新たに約600万世帯に相続税が課されるという報道があった。相続税の非課税枠が縮小されるためで、全世帯の2割強の1200万世帯が課税対象になり、現在よりも倍増する。政府税制調査会は、今回の増税で相続税がかかる人は5割程度の増加にとどまると予測しているようなので、かなりのギャップがある。いずれにしても、今回の相続税の増税は真面目に働いて暮らしている大勢の国民の負担増になり、この層の消費や投資への意欲を抑制することになるだろう。

 この増税は、民主党政権時代に決まった。しかし、政権交代した現在、「民間投資を喚起する成長戦略」というアベノミクスの3本目の矢に相いれない税制度は改正すべきであろう。まさか、2本目の矢の「機動的な財政政策」は、増税のことを指しているわけではあるまい。相続税の増税を放任することで、安倍政権が経済成長にコミットしているというメッセージが弱まる可能性がある。

 たとえば、相続税改正で下記のような相続遺産を相続税の対象外にすることを検討してほしい。

7月20日に開催された第26回愛知サマーセミナーにて。本物の「投質」について話をした

[住宅]親名義の住宅に暮らしている相続人が相続税を払えないために追い出されてしまうのは、あまりにも非人道的だ。

[経営している会社の株式]相続税負担のため、株式を手放させざるを得ない。

[経営している会社への貸し付け]従業員への給与など運転資金をオーナー経営者が自分の会社へ貸し付けている場合も少なくない。返済の目当てが当分ない貸し付けまで相続税対象になれば相続放棄や会社清算につながる可能性が高まる。

[相続した一般株式]成長戦略のために強いて言えば、相続した一般株式も相続税対象から外すべきだ。余計な売却動機を軽減し、逆に購入意欲を促進するからだ。

 逆に一定の金額(たとえば2000万円)以上の現金を相続した場合は、増税してもいいのではないか。お金は、世の中を循環するために存在している。まさに「お金」持ちへの累進課税は理にかなっている。

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