ライフコラム

撮っておきphoto

被害者・受刑者家族の思い届け 塀の中に響く歌声

2014/8/2

 “元気だせよ”と曲のフレーズに合わせ歌手と一緒に拳を振り上げる男たち。よくあるアイドルのコンサートのようだが、観衆は一様に丸刈りで同じ黄色の服。ここは栃木県大田原市の黒羽刑務所。普段は手を顔より上に上げること、よそ見、私語が禁じられている受刑者が、思いっきりはじけた瞬間だ。
歌に合わせ拳を振り上げ大きな声でフレーズを繰り返す受刑者。心の底から楽しんだ(栃木県大田原市の黒羽刑務所)=一部画像処理しています

 ステージで歌うのは井勝めぐみさんと北尾真奈美さんがユニットを組む女性デュオPaix2(ペペ)。2人をたとえる言葉は、ちょっと物々しい。「受刑者のアイドル」「塀の中の歌姫」……。

ひざの上に手を置き、身じろぎもせずPaix2の歌を聴く受刑者=一部画像処理しています

 2000年にデビュー。活動の中心は、全国の矯正施設(刑務所、拘置所、少年院など)で開いている“プリズンコンサート”だ。これまでに府中刑務所以外すべての矯正施設を訪れたという。5月、Paix2の341回目のプリズンコンサートが黒羽刑務所で開かれた。全受刑者の半数、約580人が参加した。

■拳を高く上げるのにも「許可」

 手を膝の上に置き、顔は真っすぐ正面を向いたまま開演を待つ受刑者。しわぶきすら聞こえない。幕が上がり刑務官が拍手を促すが、誰一人応じようとしない。普段は禁じられている行為なので、受刑者は一様に戸惑った様子。歌声が響く間も、まんじりともせず聴き入っている。

ライフコラム