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スシローの居酒屋・杉玉 「キャビア寿司」でも329円

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NIKKEI STYLE

回転ずし最大手のスシローが「杉玉(すぎだま)」というすし居酒屋を増やしている。この「杉玉」、スシロー経営だけにおいしいのはもちろんのこと、一皿一皿に心躍るような「楽しさ」を盛り込んでいる。そしてほとんどが329円。おいしくて楽しくてリーズナブル。回転ずしとは違ったエンターテインメントがここにある。

3号店である神楽坂店を平日昼すぎに訪れた。シンプルなメニューブックのトップにあるのが「極み寿司」シリーズ。「寿司を極めた職人だからこそ生み出せた、一歩先をいく寿司。それこそが『極み寿司』」とあおってくる。おー、受けて立とうじゃないか。

一押しの「雲丹(うに)といくらのこぼれ軍艦」を注文する。1人1貫、1日限定10食という挑戦状付きだ。カウンターに運ばれてくる皿、中央に軍艦があり、そこからイクラがこぼれまくっている。ご丁寧にこぼれイクラを食べるためのスプーン付き。本体を食べる前にまずはイクラをすくって口に入れ、ノンアルコールビールを流し込む(あ~、酒が飲みたい)。ウニも3切れ乗っているので、それをつまみにまたノンアルビールを流し込む(しつこいが、あ~、酒が飲みたい)。1貫で329円だと割高に思えるが、この1貫でビール1本はいける(酒類提供制限が早く解除になりますように)。

「極み寿司」のオススメは他にもある。「赤海老 他人の子持ち」と「炙(あぶ)り帆立 トリュフのせ」。どちらも1貫329円だ。「他人の子持ち」はいわゆるキャビア、トリュフも乾燥物ではなく、しっとりしていて微妙な味付けをしている。赤エビは、シャリの倍くらいの大きさがあり、プリップリ。ホタテもあぶりが効いている。どちらもしょうゆをつけずにそのまま食べることができる。

好みだが、すしにしょうゆをつけるのは、あまり好きではない。「岩塩や茶塩をパラっとかける方がうまい」と通ぶっているわけではない。しょうゆをつけすぎると、しょうゆの味しかしないのが、どうも気になるのだ。「杉玉」は、そこを分かっていてくれる。酒飲みの心が分かっている。

「楽しさ」を最も体現しているのが「キャビア寿司」(329円)だろう。小ぶりなキャビアの容器にキャビアが表面に敷き詰められた形で登場する。スプーンですくうと、中にはマグロの中落ちと酢飯を混ぜたものがある。キャビアとうまく混ぜながら食べると、上質なイクラ丼を食べているような気分になる。これをチビチビ食べながら、日本酒を飲めば、進んでしまうこと確実な案件だ(これにつけても、新型コロナウイルス終息を願うばかりだ)。

「ガチャポン」容器入りのポテトサラダはSNS映え確実

もっと面白いネタもある。「杉玉ポテトサラダ」(429円)。まず出てきたときに驚く。ガチャポンと言われるおもちゃの自動販売機で使われているような球状の透明容器に入れて提供する。ポテサラ自体も、ガリや卵黄を混ぜ込んで「すし屋」っぽさを出している。インスタ映え全盛時代、これはスマホで撮影せざるを得ない。おいしいは当たり前、「見て楽しい」も実践している。

実は、「杉玉」を訪れるのは、3回目。神楽坂店が開店して間もなく訪れ、その後、阿佐ヶ谷店も訪れている。神楽坂店は2年ぶりくらいだが、昼にもかかわらず相変わらず多くの客でにぎわっていた。夜は、酒類提供自粛になる前は、神楽坂店も阿佐ヶ谷店も予約をしないと入れないほどだった。それはそうだろう。おいしくて楽しくて、リーズナブルなんてすし店は、そうないからだ。

「杉玉」の店舗数は6月6日現在、32店。関東と関西、福岡で展開している。1号店は、2017年8月の開店。2店まではスシローの名前を出さずに「隠れ営業」をしていたが、3号店を18年、東京・神楽坂にオープンし、スシロー経営であることを公開。以降、年間数店レベルの出店を進めている。

福岡への進出時は大きな話題になったそうだ。20年の12月、コロナ禍真っ最中で、閉店した大型居酒屋の居抜きだったが、170席の店舗はウエーティングができるほど。福岡在住のライターによると、「客は、20~50代のサラリーマンを中心に、20代女性、30~40代のOLグループ、カップルなど幅広い客層でにぎわっていた」という。店の魅力は場所を選ばないということだろう。

素朴な疑問だが、回転ずし最大手のスシローがなんで居酒屋をやるのか。居酒屋の不振は皆が知っているほどなのに、不思議な感じがする。

スシローが居酒屋に進出した本当の理由

そこには将来を見据えた事業展開がある。回転ずしはロードサイドの好立地に、100席以上の大型店を展開することで成長してきた。スシローのほかには「くら寿司」、ゼンショー系の「はま寿司」、コロワイド傘下の「かっぱ寿司」が4大プレーヤーだ。かつてはかっぱ寿司が最大手だったが、そこに関西初のくら寿司が参入し、ゼンショーがはま寿司を独自開発。くら寿司と同じく関西系のスシローが登場し、味の良さとマーケティングのうまさであっと言う間にトップに立った。

だが、問題があった。郊外の好立地は、ほとんどトップ4が抑えてしまい、新たな物件はなかなか出ない。そこでスシローが考えたのは、都心の小型店展開とすし居酒屋業態への進出だ。「杉玉」は、そのための戦略業態である。この分野で同業のくらやかっぱは、まだ手をつけることができていない。スシローが一歩先に進んでいる。

ただし、すし居酒屋業態には先行者がいる。名古屋に本拠を置くヨシックスという会社が展開する「や台ずし」というチェーンだ。目立たないが、全国で250店以上もある。こちらは、急行が止まらないような私鉄沿線駅の駅近に出店することが多い。価格も「杉玉」より安めだ。「杉玉」は、それよりワンランク上の価格帯で、そこそこの繁華街で勝負している。

いまのところ「杉玉」の戦略は、成功している。客の入りがそれを証明しているし、正直なところ、店に行って楽しい。すし業界は、客単価1万円を超える高級すし店が予約を取るのが難しいほどの人気だし、一方で「すしざんまい」のような3000円くらいの中価格帯のすし店も根強い支持がある。すしは日本人が最も好きな料理と言われるが、それを裏付けている。

「杉玉」は、これらと違う地平を走っている。新しい分野を切り開いているのだ。そこでは外食では、巨大企業となったスシローの企業力がさらに生きてくることだろう。ちなみに、スシローは、統括会社をスシローグローバルホールディングスから、FOOD&LIFE COMPANIESに社名変更した。スシローだけでなく、あらゆる食関連ビジネスを手掛けるという宣言でもある。持ち帰りずし大手の「京樽」を吉野家から買収し、テークアウトすし店の展開を強化しているのもその一環だ。

「杉玉」は、こうしたダイナミックな動きに対しては、細々とした展開ではあるが、間違いなく唯一無二な店。近くにあったら、間違いなく行きたくなる。「おいしくて楽しくてリーズナブル」なんて、そうないのだから。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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