アップル「ホームポッドミニ」 普及へ買いやすさ優先
今回の目利き 森谷健一氏
アップルはスマートスピーカーの第2弾として「ホームポッドミニ」を発売した。2019年夏に発売された上位機「ホームポッド」は、音質こそ優れているものの、3万円台半ばという価格のためか、普及が進んでいるとは言い難かった。それに対し、本製品は1万2000円弱。他社のラインアップでは中堅機に相当し、かなり買いやすくなった。
形は球形に近く、高さ約84ミリメートルで、グレープフルーツくらいのサイズ感だ。本体色はホワイトとスペースグレイが用意され、側面はメッシュ状の生地で覆われている。天板部分には、プラス、マイナス、中央部分の3カ所にタッチセンサーを搭載し、音量の調整と音楽の再生・一時停止、音声認識機能「シリ」の起動などができる。
音楽再生は、定額音楽配信サービス「アップル・ミュージック」の楽曲を単体で再生できるほか、音声伝達規格「エアープレイ2」に対応し、iPhoneアプリの音声を出すことが可能。ゲームなど一部のアプリを除き、「ユーチューブ」なども対応する。本製品を2個購入すれば、ステレオ再生となる。
気になる音質だが、サイズの割にはゆがみなく、大きな音が出せる点は評価できる。ただ解像度や低音の豊かさでは、上位機には遠く及ばない。
話しかけに対する応答には、iPhone同様、シリを使う。天気予報やタイマー、アラーム、メモ入力など一通りの機能を備える。マイク性能は他のスマートスピーカーとほぼ同レベル。注目したいのは、iPhoneを経由したハンズフリー通話機能だ。かかってきた電話に出たり、連絡先に登録済みの番号に発信したりできる。
家電との連携も可能だが、アップルのスマートホーム規格「ホームキット」は対応家電がまだ少ない。スマートリモコンが必要だ。本体にマイクをオフにする物理スイッチがないのも気になる。とはいえ、iPhoneやMacのユーザーがスマートスピーカーをこれから購入するなら、選択肢としては最有力だ。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2021年2月4日付]
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