くりぃむしちゅーの助言で大ブレイク エイトブリッジ
宮下草薙や、ぺこぱらを輩出した正月恒例の『ぐるナイおもしろ荘』(日本テレビ系)で、今年優勝したエイトブリッジ。ほぼ無名の状態から急浮上した2人は「パンを食べるのに夢中になりすぎて、呼吸を忘れて酸欠で倒れた」といった強烈な天然エピソードを無数に持つ別府の活躍もあり、この半年の間に情報番組にトークバラエティー、ドッキリ、クイズと幅広い番組で目にするようになった。
ネタは主に漫才。篠栗が繰り出すボケに対して別府がツッコミを入れるものの、その指摘がことごとくズレまくっているというスタイルを得意としている。
結成は2014年。中学を卒業後、調理師をしていた別府と、大学を卒業後、会社員として社会人生活を送っていた篠栗が、10年にそれぞれ一念発起してワタナベコメディスクールに入学し、同期として知り合った。
2人は芸人活動と並行して、くりぃむしちゅーの運転手をしていたことでも知られる。別府は有田哲平、篠栗は上田晋也を担当しており「有田さんが運転手を募集していると聞いて、面接を受けたんです」(別府)と説明。仕事上の悩みはもっぱらくりぃむしちゅーに相談しているそうで「どんな相談にも乗っていただいてます」(別府)、「アドバイスが全部的確です。本当に恵まれた環境」(篠栗)と、ありがたみを噛みしめる。
現在の漫才のスタイルも有田からのアドバイスがきっかけとなって生まれた。「有田さんにユーチューブでネタを見てもらったとき『お前、全然違うじゃん。普段のほうが面白いよ』って。あと『バカなほうがボケをやるのは普通すぎるから根本を変えたほうがいい』とも言われました」(別府)。
その後、試しにライブでボケとツッコミの役割を交代したところ、「同じネタでもめちゃめちゃウケるようになった」(篠栗)という。
昨年4月には、そのくりぃむしちゅーやマツコ・デラックスらが所属する事務所「ナチュラルエイト」に入った。順調な芸人人生かと思いきや、一度は解散を考えたそうで「所属して一発目の『M-1』で2回戦落ちしてしまって。節目の芸歴10年目だったので、準決勝に残らなかったら辞めると決めていたんです」(別府)、「でもせっかくいい事務所に所属できたし、とりあえずあと1年は続けようと僕が引き留めました」(篠栗)と語る。そんな崖っぷちのなか、最後のオーディションとして臨んだ『~おもしろ荘』で見事栄冠を手にして踏みとどまった。
とかく別府にスポットが当たりがちだが、篠栗は「"お前は何なんだ"と言われないようにネタを書いたり、別府ちゃんのおバカエピソードをまとめたりしています。ただ、せっかくネタを書いても、別府ちゃんは自分が面白いと感じたセリフしか覚えてくれないんですけど(笑)」と明かす。
目下の目標は「究極のラブソングで旋風を巻き起こしたいです。歌詞しか書けないので、メロディーは作ってもらってレコーディングしたい」と別府が語ると、篠栗は間髪を入れずに「僕は全力でそれを阻止します」と笑わせた。
「バラエティーでは今は別府ちゃんが1人で出ることが多いかもしれないけど、ネタもちゃんと面白いと思ってもらえるように頑張ります」と篠栗が語るように、コンビでの飛躍にも注目したい。
(日経エンタテインメント!11月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2020年11月20日付]
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