NIKKEI BtoBマーケティングアワード

マーケティングDXの落とし穴 カギを握るデータ連携 デジタルマーケティングの明日(5) Nexal社長 上島千鶴氏

マーケティング インタビュー DX

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新型コロナウイルスがもたらした「新常態(ニューノーマル)」。そして同時に進むデジタルトランスフォーメーション(DX)。事業を取り巻く環境の劇的な変化に企業はどう立ち向かえばいいのか。日本経済新聞社が新設する「NIKKEI BtoBデジタルマーケティングアワード」の審査委員に、これからの取引先との向き合い方や企業の在り方について聞いた。最終回はNexal(ネクサル、東京・港)の上島千鶴社長。

――新型コロナはBtoB(企業間取引)マーケティングにどのような変化をもたらしましたか。

「コロナの影響で対面営業や展示会が行えなくなり、デジタルシフトの重要性は増しています。ただ、後押ししているのはIT化であり、マーケティングのDXを進めるにあたっては、マーケティングを自社向けに翻訳、定義できていない企業が多いのが実態です」

「BtoBにおけるマーケティングは大きく2つの役割があります。一つはブランドビルディング、いわゆるコーポレートやソリューションブランディング領域で、広報宣伝部門がステークホルダー(利害関係者)に対してメッセージを発信していくもの。もう一つはCRB(カスタマー・リレーションシップ・ビルディング、顧客との関係構築)のマーケティングコミュニケーション領域。いわゆるデマンドジェネレーション(商談機会の創出活動)で、こちらは事業部の領域となります」

マーケティングは事業戦略・経営戦略

「既存の取引先であったとしても、どうやってリード(見込み客)と継続的に接点を持ち、関係を醸成して重点顧客にしていくか、クロスセル(組み合わせ提案)やアップセル(上位商品の提案)していくか、という考え方があります。しかし、新しいテーマで新規取引先を開拓するには、いままで接点があるリードと関係を継続していくだけでは接触不足となり、裾野を広げるためにはソリューションブランドの発信が必要になります。特にアフターコロナを見据えた将来ビジョンについてメッセージ設計と社会的価値のあるソリューションやプロダクトとひも付けることが不可欠です。グローバル展開している先進企業はマーケティングを事業戦略、経営戦略として位置づけ、2つの役割をうまく回しています」

――組織面での取り組みはどうですか。

「国内では誰もが知っている企業でも、どのようなソリューションを提供しているのか理解されていないことが多くあります。コーポレートブランディングは広報部門が担っていればいいのですが、ソリューションブランディングについては、事業部が一緒に考える必要があります。広報が一生懸命メッセージを発信しても、現場の営業に顧客から一切反応がない、声が掛からないというギャップを抱えている国内企業は少なくありません。マーケティング機能が部門ごとに分散されているのも問題だと思います」

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