検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「本当に転勤は必要?」 営業女性たちが実験してみた

チーム「あたらしい 転勤 はじめました」(上)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

チームのメンバーは写真左から、鹿島由佳さん(大手町営業管理部/取材は育休中につき欠席)、原田真希さん(丸の内営業管理部)、宮関裕香さん(中央営業管理部)、岩楯薫さん(商業運営部)、物永真衣さん(プロモーション事業部兼働き方改革推進部)、吉野絵美さん(中央営業管理部兼働き方改革推進部)

正社員で共働きが増えている現在、社員にとっても企業にとっても悩ましいのが転勤という問題だ。また女性社員の場合、結婚や出産などのライフステージの変化に転勤が重なることで離職を決断する事例も少なくない。そんな状況を打破できないかと、三菱地所プロパティマネジメント(東京・千代田)の女性営業社員による、チーム「あたらしい 転勤 はじめました」がリモートで業務を実施、転居せずに異動先の業務をこなせないかという実験を行った。このプロジェクトは、様々な業種から選抜された営業職女性が主役となって、現場発の働き方改革案をプレゼンテーションするプロジェクトの「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」において、2020年2月に大賞に選ばれた。実験での経験はコロナ禍における業務対応にも大変役立ったという。メンバーに話を聞いた。

転勤は共働きの女性にとっては深刻な課題

白河桃子さん(以下敬称略) 「『新世代エイジョカレッジ』の2019年度フォーラム部門で見事グランプリを獲得。おめでとうございます。『次世代型営業モデルの創出』というお題に対し、皆さんが提示したのは『あたらしい 転勤 はじめました』という斬新な取り組み。審査基準は『破壊と創造・労働生産性・顧客価値・巻き込み力・汎用性』の5つでした。皆さんが行った実証実験がどんな課題意識から始まり、どのような取り組みだったか、教えていただけますか」

吉野絵美さん(以下敬称略) 「はい、課題意識としてあったのは『転勤=転居って本当に当たり前?』という疑問でした。配偶者の転勤に伴ってついていく選択をすることで、自分のキャリアを諦めたり、家庭の事情などで『今は転居ができない』という理由のため仕事に思い切り打ち込めなかったり。転勤にまつわる悩みは女性に限ったものではありませんが、特に共働きの女性にとっては深刻な課題の一つです。一方で、社会全体の共働きの割合は1980年代と比べて2倍に。働き方のアップデートが時代の変化に追いついていないのでは? という思いがメンバーで一致していました」

白河 「全国でオフィスビルや商業施設等の運営管理を行う御社の事業特性から考えて、転勤はキャリアパスの一つとして、誰にでも起こり得る問題だったのですよね」

吉野 「そうです。ただし、全員がその覚悟で在籍しているかというとそうでもない事情もありました。当社は6年前に2つの会社が合併してできた会社なのですが、うち一つの会社は『全国転勤あり』で、もう一つの会社は『転勤なし』の事業だったんです。合併後は、社内で転勤に対する意識格差が生じていました」

白河 「なるほど。20代の営業職のうち半数が女性ということですが、キャリアアップを目指しながらも、『転勤しなくていい会社に入ったつもりなんだけどな』とモヤモヤしていた人は結構いらっしゃったのかもしれませんね」

吉野 「いたと思います。では、どうしたら解決できるのか?とエイジョ(営業職女性)チームで考えた結果として確立したのが、受賞させていただいた『あたらしい転勤』というアイデアでした。これは、今まで転勤が必要とされてきた遠隔地の業務を出張と支店でのリモートワークの組み合わせで置き換えてみようという試みです」

「配置転換で担当エリアが変わったとしても勤務地は変えずに、打ち合わせや相談の業務をできるだけ非対面のオンラインコミュニケーションで対応し、どうしてもお客様の元に出向く必要のある『現地マスト業務』のみ出張でカバーするという『脱転勤』型のワークスタイルです。19年秋に1カ月間かけて、私を含めて3人のエイジョメンバーが、実際にトライアル実験をしてみる形でその効果や課題を検証してみました」

大阪の物件に住んで、東京の業務を実行

白河 具体的にはどういう実験形式をとったのですか?

宮関裕香さん(以下敬称略) 「私の場合、日ごろは東京本社で行っていた業務が『あたらしい転勤』のスタイルで遂行可能かどうかを検証するため、関西支店(大阪)の近くに月決めの賃貸マンションを借り、大阪に1カ月滞在しながら支店に勤務し、通常業務を行ってみました。どうしても東京に出向く必要がある『現地マスト業務』については、用件をまとめて1回の東京出張だけで済ませられるように調整しました」

白河 「その『現地マスト業務』をいかに減らせるかがポイントだったんですよね。おそらく『営業たるもの、お客様のもとに行ってこそ』という文化があったはずですし。新型コロナウイルスの影響で多くの人が半ば強制的にリモートワークを経験した今と半年前では、社内の雰囲気も大きく違ったと思います」

宮関 「おっしゃる通りです。当社の営業スタイルは対面がずっと基本でしたし、不動産業界は法律の制約も一部ある影響で、契約書とハンコにひも付く紙文化も根強くて。『まさかリモートでできるわけない』という声が社内から上がりました。そこで、まずは業務の洗い出しからやってみようと考え、業務を『遠隔可能』と『現地マスト』に分けてみたんです」

白河 「その結果がこれですね。実験前には業務の50%が『現地マスト』と考えられていたのに、実験後にはわずか5%に。業務の85%が『遠隔可能』へと劇的に変わっています」

吉野 「当初は『社内はともかく、お客様とのミーティングをオンラインでお願いするのは失礼じゃないの?』という不安があったのですが、いざやってみると『案外うまくできるものですね』とおっしゃるお客様が少なからずいらっしゃいました。むしろ、『いつもより対応がスピーディーになって助かる』と喜んでいただける声も聞かれ、驚きました」

白河 「やってみると、メリットを感じる顧客が多かったんですね。顧客価値創出も受賞の大きなポイントです」

吉野 「はい。『あたらしい転勤』の働き方では、パソコンの前に張り付く時間が増えるので、お客様から急な問い合わせやトラブル相談があった場合にも、お待たせせずにすぐに対応できることが増えました。また、移動が不要になるので、より多くの打ち合わせをスケジューリングできるようになり、顧客価値への寄与の効果があると実感しました」

白河 「とはいえ、実験はコロナ前。当時はまだ多くの企業がテレワークの導入に及び腰でしたし、『Zoom(ズーム)』や『Teams(チームズ)』といったオンライン会議システムもほとんど知られていなかったのでは?」

吉野 「たしかに、お客様の中には『賛同するけれど、うまくできるか不安。実際、吉野さんはどうやって会議に参加するの?』というリアクションもありましたので、丁寧に説明するようにしました。初回のミーティングの前には『会議開始の時間になったら、このURLをクリックしていただければ、こんなふうに画面上に私が登場します』というふうに、具体的なイメージをお伝えしていました。コロナによる在宅勤務奨励が世の中全体で進められてからは、オンライン会議の習慣が一気に広がったので、説明する必要はほとんどなくなりました」

視点や情報源に広がり、情報の質が向上

白河 「タイムリーでスピーディーな対応が可能になったということのほかに、顧客満足度が上がる、あるいは皆さんの生産性が上がる効果はありましたか」

吉野 「2つほどありました。まず、『関西支店(大阪)にいながら東京の業務を担当する』といった部署を横断する働き方をすることで、東京にいるだけでは得られない視点や情報源を持てるようになりました。また、移動時間の短縮によって、新たなアイデアを練り上げたり、新規事業を考えたりする時間が増えました。結果として、お客様に提供できる情報の質が上がり、生産性の向上にもつながったと思います」

白河 「逆に『これがうまくいかなかった』と直面した課題や克服法の発見はありましたか」

原田真希さん 「管理ビル内のにおいについてのご相談がお客様からあったときには、さすがに現地対応でないと難しいなと判断しました。においをリモートで確認することは難しいので……。ただし、このときも私が現地に行くことはせず、現地にすぐに向かえるメンバーと連携し、スピーディーに対応してもらいました。特に問題なくスムーズに解決できたと、お客様から聞いています」

吉野 「いい意味で、こうでなければという思い込みから解き放たれたような気がします。これまでは、『お客様に呼ばれたら、チーム一丸となって直行!』と複数人で向かっていたのですが、実はお客様の最大ニーズはそこにあるのではなく『来るのは1人でもリモートでもいいから、早く問題解決してほしい』というものだったと、改めて気づかされました。実際、お客様の声をアンケートで集めてみると、『不便はなかった』という声が100%。自社への導入検討も含めて、取り組み自体に『興味がある』と答えた企業も65%を占めました。実験期間中に取り組みに参加してくださった顧客企業数は24社。オンライン会議の実施回数は計52回でした。他社や他業界にも『あたらしい転勤』の提言ができる可能性があると分かり、非常にモチベーションが高まりました」

(以下、来週公開の下編に続く。コロナへの対応で役立ったこと、人事制度化に向けた新たな実験の内容、今後のオフィスに求められる役割などについて聞いた)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大特任教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_