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「日本は何もしなかった」 女性活躍、法律は骨抜き

WAN理事長・社会学者 上野千鶴子氏

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NIKKEI STYLE

世界経済フォーラムが2019年末に発表したジェンダー・ギャップ指数で、日本は153カ国中、過去最低の121位となった。下落する一方の日本に今、何が必要なのか。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の上野千鶴子理事長に話を聞いた。

――ランキングは18年の110位から大きく下がりました。

「悪化したのではなく、変化しなかったのです。諸外国が大きく男女平等を推進している間、日本は何もしなかった。だから結果として順位を下げたのです」

「国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が日本に出す勧告がいい例です。選択的夫婦別姓などを早くから指摘されているのに何もしない。選択的夫婦別姓の導入はコストがゼロで効果が出せる施策なのにそれでもやらない。政権与党に本気で変える気がないからです」

――女性活躍推進法などの法整備は進みました。

「罰則規定がないので実効性がありません。例えば、候補者ができるかぎり男女同数になることを目指した候補者男女均等法。法律が施行されて初めての国政選挙となった19年7月の参院選はどうでしたか。候補者の女性比率はわずか28%です。自民党に至っては15%にとどまっています。結果、女性の当選者は28人で改選前後で変化がありません。法律を作った効果はゼロといえます」

「候補者の半数を女性にしない政党には交付金を出さないなどの罰則規定が必要です。女性活躍推進法では応募者と採用者数の男女比も公表すべきです。こんな骨抜きの法律に対してメディアも鈍感すぎます」

――20年に女性管理職を30%にするという目標も達成は難しそうです。

「最初に聞いたときはなぜ50%じゃないの?と思いました。ただ、意思決定の場に女性がもっと入っていく必要があることは確かです」

「他の国は強制力のあるクオータ制を導入して社会を変えてきました。過渡期に一時的にでも強制力のある制度を作ることは大きな意味がありますが、日本では『クオータ制は日本の風土に合わない』と否定的です」

「『日本の風土に合わない』という言葉が意味するのは『合理的な説明ができない』ということです。論理的に答えられないから質問をシャットアウトするために使うのです」

――この状況から脱するには何が必要でしょうか。

「家事や育児など女性が外で働くことを妨げている負担をアウトソーシングする必要があります」

――女性の側の抵抗も根強いのではありませんか。

「インフラが変われば、意識はあっという間に変わります。それを痛感したのは介護保険。導入時には『自宅に他人を入れるなんてとんでもない』と否定的でしたが、今はどうでしょう」

「育児を家事労働者に委託したら、3歳までは年に200万~300万円かかりそうです。年収の何割だったら普及すると思いますか。世帯年収の2割までなら機会費用を考えて利用するのではないでしょうか。そうなれば、『育児は母の手で』という人々の意識は簡単に変わるでしょう。北欧のように公共サービスにするか、米国のように市場化するか。日本は後者に舵(かじ)を切り始めています。実現には安い労働力の確保が必要ですし、階層格差が前提です」

――育児休業の期間を延ばすなどの施策もあります。

「育児休業ははあまりいい制度とは思いません。男性より賃金の低い女性が育休を取るケースが多いですが、乳児と24時間向き合う"べったり休業"は母親を育児専業にさせます。産前は対等だった夫婦の関係が、1年の育休で変わり、家庭内で役割分担が固定します。女性たちもべったり休業ではなく1日1時間でも職場とつながっていたいと希望していたはずです」

「"べったり休業"を、というのであれば父親の取得を義務化すべきでしょう。これも日本の企業風土に合わないと言われそうです。でもスウェーデンも導入時には反対する男性もいたけれど、やったら大歓迎でした」

――働く女性は3000万人を超えましたが、6割が非正規雇用です。男女の賃金格差も大きな問題です。

「シンプルな解決方法があります。最低賃金を全国一律で1500円にすること。年2000時間で300万円の収入になります。この年収額は夫婦の関係を変える分岐点です。パートナーの年収が300万円を超えると生活水準が変わり、お互い相手が辞めないように、という力学が働きます」

「風土」とはなにか ~取材を終えて~

ランキングは4つの分野で構成される。日本は教育(91位)、健康(40位)に対して経済(115位)、政治(144位)が著しく劣るのが特徴だ。さらに詳しく見ると、政治における「閣僚の男女比」(139位)と「国会議員の男女比」(135位)、経済分野での「管理職の男女比」(131位)に行き着く。改善ポイントははっきりしている。

「海外は同じ問題を解決するため、過去にあらゆる方法をとってきた。成功例はいくつもあるから、後発の日本は外国の成功・失敗に学べばいい」と上野氏は話すが、それができずに今回も順位を下げた。風土とはなにかを明らかにし、どうしたいのか議論する場を広げたい。

(女性面編集長 中村奈都子、南優子)

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