『この差って何ですか?』 お得な雑学、スッキリ解明
「地名の大阪と名字の大坂の差」「俳優と役者の差」――。TBSの『この差って何ですか?』は、言われてみると確かに気になる様々な「差」の真相を明らかにしていくバラエティー。2015年からレギュラー放送が始まり、今年4月に5年目を迎える人気の秘密とは?
企画の成り立ちについて、放送作家の中野俊成氏との雑談の中から生まれたと、エグゼクティブプロデューサーの正木敦氏は振り返る。
「物事のギャップって面白いよね、というような話をしていたときに、中野君が急に『この差って何ですか? っていう番組はどうですか』と言い出したんです。どんな番組にするかは後付けで考えました。だからタイトルありきです(笑)」
大切にしているのはテーマの導入部分。最初に「ああ、確かに」と思ってもらえるネタであることが第一条件だ。
「テレビ界ではリサーチするときに、答えが面白そうなものを探して、そこから逆算することが多いんです。この番組では、『先に結果を調べるのはやめてね』と伝えています。最初のインパクトをまず大事にしたいので」(正木氏、以下同)
司会は加藤浩次と川田裕美。加藤は同局の『がっちりマンデー!!』のほか『スッキリ』(日本テレビ系)の実績もあり、スタジオで情報を処理していく能力が高いという。「この番組も情報を扱うので適任です。場をきちんと仕切れる方。加藤君は芸人なので、ちょっと暴走気味になるときがあるんだけど(笑い)、いいコンビネーションです」
スタジオではVTRでテーマが紹介され、要所でパネリストたちに問題が出される。バラエティーでは通常、意図的に変なことを言って"ボケる"ことが歓迎されるが、この番組では「一切ボケないでください」と伝えているそうだ。
「もしボケたら編集でカットしています(笑)。当たり前のことを言ってほしい。パネリストを立てたのも、『この差って何?』と聞かれて、視聴者がパッと思いつくことを次々に消していくため。『これも、これも違うんだ、じゃあ何なんだろう』と引きつける構成にしたいからです」
「いかにもうんちくっぽい、正解と思うような発言なんだけど、実際は違ったという展開になるのがベスト」
健康や防災、料理など「昔と今の常識の差」が定番企画としてあるほか、最近は「サケとシャケの差」など、外国人への街頭インタビューから出てきた差に着目するコーナーも人気。ファミリー層を意識しているが、50歳以上の男性からの支持が高いという。
「少し前に『もみじ狩りと言うのにさくら狩りとは言わない差』をやりましたが、平安時代にまで遡ったりして、いろいろと調べていくと歴史的なことに触れることが多くて。それで年配層の男性に興味を持っていただけるようです」
「でも、若い方たちにも見ていただきたいので、子どもとお母さんが一緒に見られるようなテーマも積極的にやっていきたいです」
課題は「怒る人と怒らない人の差」のような、答えがはっきり出ないテーマをあまり扱えていないこと。
「心理カウンセラーの五百田達成(いおた・たつなり)さんを呼んで『生まれ順の差』をやるなど少しずつチャレンジはしていますが、難しいです。視聴者から『モテる人とモテない人の差をやってほしい』というリクエストがよく届くんです。そんなテーマをうまく取り込めたら、広がりが出るなと思っています」
(日経エンタテインメント!4月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2019年4月5日付]
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