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21年の執念 なるかアレクサンドロス大王の墓発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

連戦連勝で知られたマケドニアのアレクサンドロス大王。ギリシャ人考古学者のカリオペ・リムネオス=パパコスタ氏がその墓を21年間探し続けている。まだ決定的な証拠はないものの、パパコスタ氏は少しずつ目的に近づいていると自信を深めている。

◇  ◇  ◇

7年前のこと、長くもどかしい発掘の最終日、パパコスタ氏は帰り支度を始めていた。エジプト、アレクサンドリアの中心部にある公園「シャララート・ガーデン」で発掘調査を始めてから、もう14年が過ぎていた。目的は、ファラオになった古代の征服者にして、この街の名前のもとになった人物、アレクサンドロス大王の痕跡を探すことだ。しかし成果はなく、時間切れが迫っていた。

そのとき、穴の中にいた助手たちが彼女を呼んだ。土から白い大理石のかけらがのぞいていると言う。それまでの発掘状況に落胆していたパパコスタ氏だが、白い石の輝きを目にして、希望が湧き上がるのを感じた。

「祈っていました」と彼女は振り返る。「ただの大理石のかけらではありませんようにと」

祈りは通じた。遺物は、アレクサンドロス大王のあらゆる特徴を備えたヘレニズム期初期の像だと判明した。これが大きな励みとなり、気落ちしていた考古学者は発掘を続けることになった。

それから7年後、パパコスタ氏は現在のアレクサンドリアから10メートル余り下へ掘り進み、古代都市にあった王家の住居とみられる一画を発見した。

「古代都市アレクサンドリアの初期の土台部分が見つかったのは初めてです」と語るのは、ナショナル ジオグラフィック協会付き考古学者フレデリック・ヒーバート氏だ。「目の当たりにしたときは鳥肌が立ちました」

しかも、ここから考古学上きわめて重要な発見が生まれるかもしれない。失われたアレクサンドロス大王の墓だ。

上がる海面、沈む古代都市

かつて世界最強のリーダーだったアレクサンドロスは、父のフィリッポス2世が紀元前336年に暗殺され、わずか20歳でマケドニアの王位についた。その後の12年間、才気と野心にあふれた王は、ペルシャやエジプトなどライバルの帝国を倒しながら遠征し、エジプトでは自らをファラオと宣言した。紀元前323年、32歳で亡くなったものの、そのなきがらは安らかに眠ることはなかった。

側近たちが議論した末、アレクサンドロスの遺骸はまずエジプトのメンフィスに埋葬され、次いで彼の名を冠した都市に移された。この地に作られた大王の墓を人々が訪れ、神殿のように崇敬した。

だが、アレクサンドリアも、大王の墓も無事ではいられなかった。他国の侵略ではなく、自然の脅威にさらされたためだ。アレクサンドリアの街は西暦365年のクレタ地震による津波に始まり、長い間、度重なる地震や海面上昇と闘ってきた。

海岸が浸食されるのに伴い、アレクサンドリアが位置するナイル川デルタの水が流れ込み、年に最大0.25センチという速度で街の古い部分はゆっくりと沈み始めた。アレクサンドロスの時代からは約3.6メートルも沈んでいる。古い部分の上に新しい建物を作ってアレクサンドリアの街は存続し、人口は500万人超にまでふくらんでいる。

都市の土台部分もアレクサンドロスの墓も、時とともに埋まって忘れられた。ストラボンや、レオ・アフリカヌスといった歴史上の著述家たちが彼の墓について記してはいるが、現在のアレクサンドリアのどこにあるのかは謎のままだ。

位置のあいまいさゆえに、大王の墓は考古学者たちを調査に駆り立ててきた。公式に認可された発掘だけでも140を超す記録があるが、いずれも収穫はなかった。しかし見つからないからこそ、墓の威信は高まる一方だ。アレクサンドロスの墓が見つかれば、ツタンカーメンの墓のケースに匹敵する大発見になるだろう。

考古学者の執念

パパコスタ氏が発掘を続けているのも、歴史的発見への期待があるからだ。彼女は古代の記録と、発掘ブーム以前の19世紀のアレクサンドリアの地図を参照しているほか、比抵抗トモグラフィー(ERT)など現代の技術も使って発掘地点を決めている。ERTは土に電流を流して抵抗を測り、地中の物体を検知するものだ。パパコスタ氏らのチームは、地中深くに構造物がある可能性を示す特異な値を、これまでに14カ所で発見している。

これらの技術で、パパコスタ氏はかつてアレクサンドリアにあった王の住まいの多くのものを明らかにしてきた。その中にはローマ時代の道路や、アレクサンドロスの墓につながりそうな巨大な公共建築物の遺構もある。

だが、いずれの発見も大変な労力を要した。「この地下水面に初めてたどり着いた時、あきらめなくてよかったです」とパパコスタ氏は言う。発掘のため調査地から水を抜くのに、彼女はポンプとホースを使った手の込んだシステムを設計しなければならなかった。「粘り強く続けてきました。それは、これからも変わりません」

泥にまみれつつ、長年かけて少しずつ調査を続けるパパコスタ氏の根気は際立っていると、ヒーバート氏は話す。「経験上、1つの地点に21年も留まっている考古学者はほとんどいません」。彼はパパコスタ氏を、倒れてもリングに戻っていくボクサーにたとえた。「彼女はきっと、最終ラウンドまで戦い抜くでしょう」

年を経るにつれ、パパコスタ氏は失われたアレクサンドロスの墓に迫っているという自信を深めている。とはいえ、現実的なものの見方も忘れてはいない。

「容易に見つからないのは間違いありません」とパパコスタ氏。「ですが、王の住まいがあったアレクサンドリアの中心にいることも確かです。全ての可能性は私に味方しています」

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年3月5日付]

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