若者の短文メール、どうなの?
女優、美村里江さん
若い世代のメールの返信が短文です。こちらが起承転結の内容で送っても、返事は「了解しました」「ありがとうございました」だけでなんとも素っ気ない。若い世代が「LINE」で短文をやり取りしているのは分かっていますが、せめて私よりも上席の相手にはそんな短文を送らないよう指導すべきでしょうか。(東京都・女性・40代)
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日本語の乱れをお嘆きになるこうしたお悩み、私の周囲でも頻繁にお聞きします。目上に対しては了解ではなく、承知ですし。個人的に驚いた例は、多人数に影響の出る大きなミスを犯した若い女性を叱った上司のお話。叱った数時間後にフォローの長文で「あなたに期待しているから頑張って」と送ると、欧米で言う「good」サイン、親指を立てた絵文字が1つ返信されてきたそうです。
聞いた時は、驚きを超えて衝撃といいますか、「太刀打ちできない!」とたじろぎました。突き抜けていますよね。
相談者さんの仰る通りの現状と思います。インターネットの短文に慣れてしまい、長文が読めなくなっている。読書感想文や作文などを苦手とする、学生の傾向も耳にしました。「長文を読む」ことができなければ、読みやすい長文のコツ(趣旨や構成、相談者さんの仰る起承転結)もわからず、結果、「長文を書く」こともできない。
相談者さん同様、味気なく、心配だなぁと思います。極端な短文で傷つくのは私生活、同世代間でも起きうることですし、詳細部分を省けば誤解も起きます。彼らなりの「効率化」なのでしょうが、一文やスタンプ1つに全ての感情・事情が収まるほど、人間は単純な生き物ではありませんから、指導すべきかな……と思います。
ですが、これは同世代間で取り組ませるほうが無難です。相談者さんが丁寧に長文を書かれても読めない可能性がありますし、読んでも趣旨がぼやけて感じられて混乱されてしまうかもしれません。
「自分より上席にはやらないで」と思う心配については、たぶん、若者は人を見て返答していますから大丈夫では。相談者さんも若い時の記憶はありませんか? 人によって対応を変えられなければ、本人が怒られるまでです。
相談者さんはきちんと指導していたのに、上司としての責任が回って来る、という事態は避けたいですね。「私にはこれでいいけど、重要なお相手にはきちんとね」と定期的に、後から照会できる形で残しておくなど工夫をしつつ、お気持ちを楽にしてください。
[NIKKEIプラス1 2019年1月26日付]
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