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一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事 木下斉氏

一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事 木下斉氏

若者への助言を求められ「あまり大人の意見を聞かないことかな」と語ったことがある。一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスの代表理事、木下斉氏(36)は「まちづくりの『経営力』養成講座」「まちで闘う方法論」「地方創生大全」といった著書で「大人の常識」にとらわれない地域活性化の処方箋を提示してきた。近著「地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門」(ダイヤモンド社)は初の小説。普通の人が小さな一歩を踏み出すローカル物語は、社会全体に価値基準の見直しを迫るメッセージに満ちている。

小説形式で具体的なプロセス見せる

小説形式を選んだのは「(まちづくりの)現場経験があまりない人にもわかりやすいもの」にするためだ。これまでは試行錯誤の帰結として得られた「鉄則」や「ステップ」を説く本が中心だったが「その結論にいたった具体的なプロセスや、段階を追って変化する情景がないと伝わりにくい。登場人物を通して悩み、迷いなど心の揺れがあることをみせられれば、共感してもらいやすい」と考えた。中小商店の承継や実家など不動産処分の問題に直面する人々が全国で確実に増えていくことが念頭にあった。

高校時代から商店街の現場で苦闘してきた経験から、地方で衰退が目立つ市街地への視線は鋭い。とくに店舗物件の改修投資や、安価での土地の貸し出しに消極的で、空きスペースのまま放置する一部の不動産オーナーには手厳しい。第一章「シャッター街へようこそ」では、更地や駐車場が増えた駅前、まるで借り手を遠ざけるように「貸し物件」のプレートがあふれる市街地の風景が描かれている。

「『地価が上がると相続税も上がるから、自分が死ぬまでは地域は活性化しなくていい』と明言する人すらいる。地元で資産を形成した家が地元の価値を上げることを考えず、節税に労力を費やしたり、資産を売却して東京に高級マンションを買ったりする現実がある」

「かつては地元の資産家とか名士が投資して産業を興し、地域全体の生産力を上げた。多くの不動産オーナーは、その末裔(まつえい)として存在しているのに、地元をよくするのは自分たちだという自覚を失っている。やれることをやらずに、東京一極集中が悪い、行政が悪いと言いながら、自分がやらない理由を言い続けている」

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