忙しい朝の時短コーデ セットアップ&ワントーン
宮田理江のファッション戦略論
スーツほどカッチリしたくないけど、仕事をする上で失礼にならない格好……。「オフィスカジュアル」のさじ加減、難しいですよね。悩める女性の味方になってくれるのが「セットアップ&ワントーン」のコーディネート。ファッション・ジャーナリストの宮田理江さんが解説します。
着こなしの新スタンダードとなりつつあるのが、近い色味で全体をまとめる「ワントーン」のコーディネートだ。基本のカラーをそろえながらも、微妙に素材が違っていたり、濃淡があったり。上下そろいの「セットアップ」の人気を追い風に、最近では「ニットアップ(ニットのセットアップ)」もトレンドアイテムに浮上。スーツほどは堅苦しくなく、ワンピースほどドレッシー過ぎないという使い勝手のよさが好まれている。忙しい朝に悩まずサッと着られる手軽さは「時短コーデ」としてオフィスルックにも取り入れやすい。
セットアップの定義は緩い。スーツは基本的にジャケットとボトムスが共生地だが、セットアップの場合、「二つのアイテム以上が共通」であれば構わないともいえる。つまり、コートとスカート、シャツとパンツといったコンビネーションも含まれる。同じ生地でなくても、近い見え具合なら「セットアップ風」に着こなせる。さらに、ワントーンは必ずしも同じ色でない類似カラーでも成り立つ。
ニット×ワントーンの「ほぼセットアップ」
チャコールグレーのオフショルダー・ニットトップスとベルボトムのニットパンツを組み合わせた。よく見ると、編み地が異なる。でも、風合いも色も近いから、「セットアップ風」として成立している。
長めの丈のトップスでヒップをカバーし、レッグラインをきれいに描き出すシルエットのパンツをチョイス。ニットはカジュアルに見えるので、オフィスやパーティーには着て行きにくいと思われがちだったが、上下をそろえれば「きちんと感」が高まる。オフショルの肩を隠して、プルオーバーの形で着れば、お仕事ルックとしても使えそうだ。
上品な白の「ニットアップ」
全身を白でまとめた「オールホワイト」の人気が続いている。編み地がきれいなニットトップスとパンツのニットアップは、ニット特有の柔らかい質感が優しげなムードをまとわせている。
このままでもさまになるが、アウターをジャケットやコートに差し替えれば、シーンに応じた着回しが可能だ。ブルゾンやパーカなら、上品カジュアルに整えられる。このように、別ムードのアウターを重ねることで、表情に深みを出せる。白のワントーンはきれいめにまとめやすいから、試しがいがある。
機能的な大人「セットアップ」
キャメルカラーがアイキャッチーなジップアップ・ジャケットと裾広がりパンツのセットアップ。ミリタリーを思わせる機能的なデザインのジャケットが行動的なムードを演出。共布のベルトがウエストマークとなり、すっきりしたシルエットを描く。
フレアパンツが脚長イメージを強調。上下で色・生地がそろっている分、さらに縦長感が強まっている。正統派のジャケットでなくても、セットアップならオンの装いに生かしやすくなる。
働く女性が活用しやすい装い
セットアップは上着パーツの選択肢が多く、多彩な着こなしに役立てられる。ニットアップはソフトな風合いのおかげで、優しいキャラクターも印象づけやすい。ワントーンコーデは上下そろいのイメージを濃くしてくれるから、セットアップとの相性が抜群。オンとオフをまたいで活用しやすい点でも、働く女性が味方につけたい装いだ。
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研パブリッシング)がある。
[nikkei WOMAN Online 2018年11月3日付記事を再構成]
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