e-BIKE・折り畳み・ロングテール…19年型自転車6選
2019年モデル自転車(下)
スポーツサイクルブランドのほとんどがイヤーモデル制を採用している。次年度モデルが発表されるのはだいたい夏から秋にかけて。いままさに各社から「2019年モデル」の情報が続々と解禁されている最中だ。前回は注目度の高いロードバイクを紹介したが、今回はそれ以外のカテゴリーの新型モデルをピックアップして紹介する。
ロードバイク以外のスポーツサイクルで、いまもっとも話題を集めているのは何といっても「e-BIKE」だろう。簡単にいえば電動アシスト付きのスポーツサイクルのことだ。すでに欧州ではひとつのカテゴリーとして定着するほど人気となっているが、日本では昨年から本格的な展開が始まったばかり。19年モデルでもいくつかのニューモデルが発表されており要注目である。
欧州で人気の高いMTBタイプのe-BIKE
フレーム:アルミ
フォーク:マニトウ・マチェーテコンプ 100ミリ
電動アシストユニット:シマノ・ステップスE8080
ドライブトレーン(*注):シマノ・デオーレ 1×10速
タイヤサイズ:27.5×2.2
フレームサイズ:43センチ
カラー:グリーン/ブラック
車体重量:19.2キロ
マウンテンバイク(MTB)タイプのe-BIKEはすでにヤマハやパナソニック、ミヤタなどが国内販売を行っているが、19年モデルではMTBクロスカントリー競技で世界選手権の優勝をはじめ、数々の輝かしい実績を誇る台湾のメーカー、メリダも加わる。
eビッグセブン600は台湾本社のe-BIKE専用工場で製造されたアルミフレームに軽量コンパクトな電動アシストユニット、シマノ・ステップスE8080を搭載。大容量バッテリーにより、ハイパワーモードでも一充電あたり100キロに迫る走行距離を実現している。100ミリのストローク量を持つサスペンションフォークに油圧式ディスクブレーキ、2.2インチ幅のブロックタイヤを標準装備し、本格的な山道ライドも楽しめる仕様だ。
スタイリッシュなエアロフレームを採用
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
ドライブトレーン:シマノ・クラリス 2×8速
タイヤサイズ:700×28C
フレームサイズ:46.5、50、53.5センチ
カラー:マットシルバー、マットブラック
車体重量:10.0キロ(50センチサイズ)
2019年モデルからジャイアントのラインアップに加わったブランニューモデル。高速走行に適したライドポジションに細めの28Cタイヤ、フラットバーハンドルを採用した「フラットバーロード」というカテゴリーに属する。
フレームのダウンチューブ(写真でメーカーのロゴが書かれた部分)に翼状断面を採用するなど、ロードバイクの世界でトレンドとなっているエアロ形状を意識した。もっともこちらはエアロダイナミクスを追求したというより、あくまでスタイリング上のアクセントとして採用されたものだ。
かつてジャイアントは同様のコンセプトをもつ「FCR」というモデルをラインアップに入れていたことがあり、都市を走るメッセンジャーに人気を博した。その現代版がこのモデルである。こうしたエアロ形状のフレームはその構造上、重くなってしまいがちだがフォーマの車重は10キロとなかなか軽量だ。
*注:走行性能に影響力の大きい変速機(ディレーラー)やクランク、チェーンなどの駆動系部品を総称したもの。
日常での使い勝手を徹底的に追求した一台
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
ドライブトレーン:シマノ・ネクサス 1×7速
タイヤサイズ:650×50B
フレームサイズ:40、45センチ
カラー:LGホワイト、LGブラック、ダークオレンジ
車体重量:14.7キロ(45センチサイズ)
ルイガノはその都会的なイメージから自転車通勤族にも人気の高いブランドだ。このマルチウェイ27.5は自転車通勤をはじめとする日常的な街乗りに特化した一台である。
乗り降りしやすい形状に設計されたアルミフレームには停止時にもギアチェンジが行え、チェーン外れが発生しにくい内装タイプのドライブトレーンを採用。またブレーキはスポーツサイクルには珍しく前後にローラーブレーキ(ドラムブレーキの一種)を採用する。ローラーブレーキはメンテナンスの必要頻度が低く、雨天でも制動力が落ちにくいのが美点だ。
またグリップ力と耐パンク性に優れた太めのタイヤ、ハブダイナモを電源とする常時点灯式のLEDヘッドランプも標準装備される。
クロスバイクに冒険ツーリングの要素をプラス
フレーム:アルミ
フォーク:クロモリ
ドライブトレーン:シマノ・デオーレ 1×10速
タイヤサイズ:27.5×1.75
フレームサイズ:15、 17、 19、 21インチ
カラー:マットブラック、カーキ
車体重量:11.4キロ
近年、スポーツサイクルの世界では「アドベンチャー」というキーワードがひとつのトレンドとなっている。未舗装路にも対応できる優れた悪路走破性に加え、トラブルが生じたときに自分でも修理できるシンプルな車体構成、様々なスタイルに応じて柔軟にカスタマイズできる拡張性を備えた車種が各社から続々と登場しているのだ。
このラフィスタもそんなアドベンチャーテイストの旬な一台といえる。軽量なアルミフレームにキャリア取り付け用の台座を備えた丈夫なクロモリ製フォークを組み合わせ、さらにフロント変速機を廃してチェーントラブルの不安を減らすとともに整備性もアップ。前後のブレーキには、小さな握力でも高い制動力を発揮できる油圧ディスクブレーキが装備されている。
MTBのようにサスペンションは装備されていないが、より太いタイヤに交換してさらに走破性を高めることも可能だ。
走行性能を妥協しない折り畳み自転車
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
ドライブトレーン:シマノ・ティアグラ 1×10速
タイヤサイズ:20×1-3/8
フレームサイズ:ワンサイズのみ
カラー:ロイヤルパープル
車体重量:11.3キロ
一般的に折り畳み自転車というのはその構造上、普通のスポーツサイクルに比べ走行性能はどうしても劣る。しかし、このクリンチD10はダホン独自の折り畳み機構を採用することで折り畳み自転車にありがちなフレームの剛性不足を解消した。
「Lock Jaw」と呼ばれるこの折り畳み機構はよくあるレバー方式ではなく、アーレンキー(六角レンチ)でボルトを締めることでヒンジを固定し、走行時のフレームのねじれやガタつきを大幅に低減。細身の高圧タイヤとの組み合わせによってフルサイズのクロスバイクなどと遜色のないスポーティーな乗り味が楽しめる。折りたたみ時のサイズは横79×縦66×奥行き42センチ。
あっと驚く価格のロングテールバイク
フレーム:アルミ
フォーク:ハイテンスチール
ドライブトレーン:シマノ・アルタス 3×8速
タイヤサイズ:26×2.35
フレームサイズ:S
カラー:ブラック
車体重量:非公開
「ロングテールバイク」と呼ばれるカテゴリーの自転車がある。大きな荷物を積み、その状態でも安定して走れるダックスフントのようなロングホイールベースの車体が特徴だ。言ってみれば自転車版のトラック。広大なスペースをもつリアキャリアは子どもの送迎やアドベンチャーツーリングなど、オーナーのライフスタイルに応じた様々な形にカスタマイズできる。
19年モデルとして新たに登場したエンボイは、そんなロングテールバイクをより多くの人に親しんでもらうための戦略モデルといえる。これまでロングテールバイクの相場は15万円~といったところだったが、何と大型のバッグや前後泥よけ、センタースタンドまで付いて8万円という驚きのプライスを実現した。リアキャリアは後輪の両サイドにも積載できる形状となっており、バッグを外したときは長尺物にも対応する。
(ライター 佐藤旅宇)
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