ごちそう「超」味料・直撃辛フード…ヒット必至の食品
ここ数年は「時短」をキーワードに、手早く夕食のメインおかずを作れる商品が、多忙な共働き世帯を中心に人気を博してきた。だが今年は様相が変わり、「時短のステージが1段上がった」(カゴメ)。
つまり、時短・簡便は当たり前で、さらなる付加価値がないと消費者の心に響かない時代に突入した。そこで各社が力を入れたのが、調味料に野菜などの具材を大量に入れ、なかなか手作りできないレベルの調理を可能にする「ごちそう『超』味料」だ。
口火を切ったのは、2017年夏発売のミツカンの具入り合わせ調味料「カップクック」。細かく切ったタマネギがたっぷり入っており、これと肉と一緒に炒めるだけでメインおかずができる点が受けてヒットを飛ばした。
18年下期は各社が追随し、具がぜいたくに入った調味料が続出。カゴメ「野菜がはいったおかず調味料」、キッコーマン「超生姜焼のたれ」がその代表だ。いずれもフライパン上で肉と絡め焼きするだけで、見栄えがする一皿が完成するため、手抜きしているという罪悪感がない。
辛さを前面に出した「直撃辛フード」も人気が出そうだ。激辛料理を食べてSNS上でアピールする「辛活女子」が話題になるなど、第5次激辛ブームが来たともいわれる昨今。その好みに応えるには、従来品のキムチや鍋のもとでは「辛さが足りない」という声が少なくなかった。
そこで、エバラ食品が従来の3倍も辛いキムチ「カラインダ」、ダイショーが激辛スナックの元祖「カラムーチョ」の味を再現した「コイケヤ監修 カラムーチョ鍋スープ」を投入。「忙しい働く女性が、ストレス発散のために辛いものを求める需要は増える」(エバラ食品)とみる向きもある。
【キーワード1】ごちそう「超」味料
●野菜がはいったおかず調味料(カゴメ)
調味料に下ごしらえした5~6種類の野菜が約175gも入り、肉とただ絡め焼きするだけで具だくさんの野菜炒めが完成。グリル野菜、生野菜、乾燥野菜の3タイプを混合し、レトルト殺菌で処理。子供を含む家族に野菜を多く食べさせたい働く女性がターゲットだ。「鶏肉のしょうが甘酢あん炒め」「豚肉の旨塩ガーリック炒め」の2種を発売。
【実食】 鶏肉にたっぷりの野菜と甘酢あんが絡みボリューム満点。酢がほんのり効いたまろやかな味で、子供でも食べやすかった
●超生姜焼のたれ(キッコーマン)
キッコーマンが単なる時短ではなく特別な調理ができるタレを目指した製品。最も力を注ぐのが、生ショウガにひけを取らないショウガの風味。すり下ろし、みじん切り、パウダーを混合し、豚肉とあえたとき、全体にショウガ味が広がり、風味と香りがしっかり味わえる設計にした。
多量のタマネギのすり下ろしやリンゴの果汁も入れ、食感や味の深みを追求。「家庭の手作りではなかなか作れない味を目指した」(キッコーマン)。
【実食】 食べた瞬間、ショウガの風味が口に広がり、味が濃厚でインパクトを実感。ショウガは辛過ぎず、タマネギの甘さもあり世代を問わず食べられる
●豆腐にかける八宝菜(新進)
1丁の豆腐の上にかけて電子レンジで温めるだけで、白菜やタケノコ、キクラゲなど6種の具だくさん豆腐料理が手軽にできる。ご飯にかけて中華丼、麺にかけてあんかけ焼きそばなどのアレンジも可能で、副菜にも主菜にもなる。
●なべしゃぶ(エバラ食品)
近年、さまざまな味付けのつゆを使い、タレを使わずにそのまま食べるしゃぶしゃぶの外食店が人気。その食べ方を家庭で再現し、鍋のつゆに野菜や豚肉をくぐらせ、そのまま食べる新提案だ。タレのマンネリ化などに不満を抱くユーザーの取り込みを図る。
【キーワード2】 直撃辛フード
●コイケヤ監修 カラムーチョ鍋スープ ホットチリ味 中辛(ダイショー)
1984年に発売され、第1次激辛ブームの立役者となったスナック菓子「カラムーチョ」の味を、香ばしい風味のニンニクやタマネギを原料に、鍋のスープ用に忠実に再現したコラボ商品。「辛口」を実食すると、まさにカラムーチョの味で、インパクトは十分。コクもあって満足度は高い。キムチ鍋のような酸味はなく、酸っぱさが苦手な人にお薦め。
●カラインダ(エバラ食品)
エバラ食品の調査では、韓国産キムチの愛好者の半数は「辛いものが好き」と回答。だが、国内のスーパーなどでは本格的に辛い商品が流通していないのが実情だった。そこで、カプサイシンを増量し、辛さを従来品の3倍に増強。韓国の一般的なキムチよりも辛くした。辛口料理への活用も推奨する。
【実食】 食べた直後に来る辛さは今まで食べた市販品のなかでは断トツ。ただ、魚介のうまみも感じられ、後を引く味だ
●ストレート鬼鍋 濃厚辛口キムチ鍋スープ(イチビキ)
同社の従来品に比べ、熟成コチュジャンと味噌類を1.9倍、豚や牛のエキスを8.5倍に増量。さらにごま油で炒めた4種類の唐辛子を加えて、超辛口のスープに仕上げた。ヘビーユーザーが抱えていた「辛みが足りない」「味が薄い」といった不満を解消。
●Theうまみ 唐辛子スープ(アサヒグループ食品)
粗びき唐辛子、唐辛子ペースト、唐辛子粉末の3種を使った、食欲を刺激する即席スープ。香りや風味を保つフリーズドライ製法を採用。湯を注ぎ、そのまま飲んで辛さを味わう他、溶き卵を入れて調理し、うま辛卵スープにしてもおいしい。
(ライター 高橋学、写真 中本浩平)
[日経トレンディ2018年10月号の記事を再構成]
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