空から堪能 世界遺産ナスカの地上絵の鑑賞ポイント
「ナスカの地上絵」は考古学における大きな謎の一つだ。「異星人の着陸場所」「巨大なカレンダー」「聖なる儀式を行う場所に向かう道」、はたまた「地下水源の目印」など、地上絵には諸説ある。
ハチドリ、クモ、サル、樹木、台形、らせん。幻想的な地上絵は、酸化して赤くなった岩や表層の土を取り除いて、明るい色の土をむき出しにして描かれた。極度に乾燥していて、風もほとんど吹かないため、地上絵は今でも良い状態で保存されている。
地上絵は世界各地で見られるが、ナスカの地上絵の種類と数は群を抜く。考古学的、文化的な重要性が認められ、1994年にユネスコの世界遺産に登録された。
800平方キロメートルの範囲に描かれ、数十種の動植物と、数百種の線や幾何学模様が確認されている。ほとんどの地上絵は巨大で、上空からでないと何が描かれているのか分からない。神の目から見ることを意図したものだという説もある。
地上絵は、紀元前500年から紀元500年ごろにかけて作られたと考えられている。描いたのは、ペルー南部の海岸近くに住むナスカ人と呼ばれる人々だ。彼らは、インカ文明が登場する数世紀前の紀元700年ごろまで、この地に住んでいた。
現在の研究者は、地上絵は儀式を行う場所を指すものだ(ヨハン・ラインハルト氏)、地下水脈の目印として作られた(デビッド・ジョンソン氏とドン・プルー氏)という説を唱える。
新たな地上絵の発見も続いている。最近では、2018年初めにパルパ地方で50個の絵が見つかっている。踊る女性やクジラなど、多くの絵はナスカ人以前にこの土地に存在していたパラカス文化やトパラ文化に由来するものと考えられている。
ナスカの地上絵は、空から見る方法と、展望台から見る方法がある。「神の視点」から地上絵を見たいなら、ナスカ空港から小型飛行機をチャーターするといい。100ドルほどで30分の遊覧飛行を楽しめ、一生の思い出になる。予算が限られているなら、パンアメリカンハイウェイの近くにあるエル・ミラドールという展望台から、いくつかの地上絵を見られる。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月9日付記事を再構成]
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