味わいさっぱり、疲れもすっきり 飲みやすい酢10選
そんな時におすすめなのが、疲労回復などに効果がある「飲む酢」。
果汁などで飲みやすくした商品を専門家11人が試飲し、ランキングした。
牛乳で割ればまろやかに
酢には疲労回復のほか食欲増進や内臓脂肪の減少、血圧を下げるなどの機能がある。健康を保つには毎日飲むのが効果的だが、ツンとくる酸味が苦手な人も多いだろう。
「飲む酢」なら水や炭酸水で割ることで、ジュースやノンアルコール飲料のように手軽にとれる。それでも酸味が気になるようなら「牛乳で割れば、まろやかになって苦手な人でも飲みやすい」(発酵専門店「かもし堂」の長谷川賢吾社長)。ヨーグルトやバニラアイスにかけるのもおすすめだ。ただし、とり過ぎは胃に負担をかけるので注意したい。
料理にも応用できる。オリーブ油と混ぜればドレッシングになり、酢の物にも使える。瓶がおしゃれなものは、贈りものにも適している。
ほのかな苦みが夏向き おいしさ研究所 大地(おおち)
瀬戸内産レモンの果汁に、自社製の純りんご酢、蜂蜜などを加え、天然の地下水で作り上げた。ひとつひとつ素材を吟味し、じっくり時間をかけて自然発酵させる昔ながらの「静置発酵法」にこだわっている。レモンの酸味がさわやかな余韻を残し、さっぱりとした味わいで飲み飽きない。
「レモンの香りとほのかな苦みが夏向き」(淀野晃一さん)、「甘みもほどよく万人受けしそう」(清水紫織さん)。炭酸水で割ればレモンスカッシュのように飲めるほか、酢の物に入れるなど料理にも使いやすい。「バテ気味の時は冷しゃぶのタレに加えれば食欲増進、疲労回復を促す」(町田えり子さん)。
(1)広島市(センナリ)(2)270ミリリットル・1080円(3)3倍(4)http://www.oochikura.jp/(5)ゆず、ブルーベリーなど
酒と割って梅酒代わりに トキワ
和歌山県産の南高梅を、りんご酢や蜂蜜などに漬け込んだ。ツンとくる酸味はあまりなく、ほんのりとした甘さが口の中に広がる。「芳醇(ほうじゅん)な香り。口当たりがまろやか」(こばたてるみさん)、「懐かしさを感じる香り。毎日飲める」(寺本りえ子さん)。体に良いクエン酸と酢酸をたっぷり含む。「さわやかな酸味が疲労回復に効きそう」(長谷川賢吾さん)。焼酎やウイスキーなどのお酒と割ればカクテルとして楽しめる。オンザロックやソーダ割りにも。「梅酒の代わりに飲める。ゼリーにしてもおいしそう」(荻野菜々子さん)。牛乳で薄めるとヨーグルトのようなマイルドな舌触りになる。
(1)兵庫県香美町(2)720ミリリットル・1620円(3)2~4倍(4)https://benridesu.jp/(5)360ミリリットル・864円
蜂蜜加えて飲みやすく オークスハート
1876年創業の内堀醸造のブランド「オークスハート」は、飲む酢の草分けとして知られる。
シークヮーサーとハッサクを発酵させて造った果実酢に様々な果汁と蜂蜜を加えて飲みやすくした。夏季限定販売の味だ。「ジュース感覚で飲める」(横山貴子さん)。人工甘味料や香料を使わず、自然な風味に仕上げている。「少し苦みがあり、大人のカクテルなどにも向きそう。酢が苦手でもOK」(浅尾貴子さん)。そのまま水で割って飲んでもいいが「さわやかな味わいでジンやウオッカと割っても良い」(竹内直人さん)。バニラアイスにかけても。
(1)岐阜県八百津町(内堀醸造)(2)250ミリリットル・1512円(3)4~5倍(4)http://sumurie.com/(5)150ミリリットル・1080円、500ミリリットル・2916円、日向夏、ジューシーマンゴー、ブルーベリー、ふじりんごなど
カシスリキュールのよう セゾンファクトリー
ブルーベリー果汁と米黒酢、蜂蜜を合わせた。「カシスリキュールのような味わい。ヨーグルトにかけて食べたい。カルパッチョにも良い」(竹内さん)。黒酢はアミノ酸が豊富だ。コクがあって独特の香りが強いが、濃厚なブルーベリー果汁と混ぜることでまろやかにしている。「甘い香りはデザートに合いそう」(寺本さん)。「飲む酢」では定番のブランドで、ブルーベリー黒酢は通年で人気があるという。
(1)山形県高畠町(2)200ミリリットル・1404円(3)4倍(4)https://www.saisonfactory.co.jp/shop/(5)1リットル・4968円、マンゴー黒酢、黒酢はちみつなど
甘みあるハーブティー風 飯尾醸造
国産の紅芋から作った紅芋酒を発酵・熟成させた紅芋酢に、蜂蜜を加えた。抗酸化物質のポリフェノールのひとつで、目に良いとされるアントシアニンを取れる。「独特の甘みのある香り。味の要素が多く、ワインのように楽しめる」(白土暁子さん)、「甘味のあるハーブティーのようで、女性に好まれそう」(こばたさん)。鮮やかな紅色は「色がきれいでカクテルにも使える」(清水さん)。
(1)京都府宮津市(2)120ミリリットル・756円(3)4~5倍(4)https://www.iio-jozo.co.jp/shop/(5)500ミリリットル・2700円など。蜂蜜が入っていない「紅芋酢」もある
女子会に向く華やかさ 今川酢造
1923年創業の金沢の造酢メーカー。創業以来、伝統的な静置発酵法で酢を造り続けている。自社製の純米酢を使った甘酢に、ポーランド産のハーブ、マロウブルーを漬け込んだ。「お酢がまろやか。口に残るわずかな甘みが心地よい」(長谷川さん)。ピンク色の甘酢に、マロウブルーの花が浮かぶ。華やかなボトルは女子会や贈り物にもぴったり。「コクがあって料理にも使えそう」(横山さん)。酢の物やピクルスの酢にもなる。
(1)石川県金沢市(2)200ミリリットル・540円(3)指定なし(4)http://imakawa.shop-pro.jp/(5)ハイビスカス甘酢、ブルーベリー、いちごなど
甘さ控えめ、後味さっぱり 三井酢店
原材料はぶどう酢、ぶどう果汁、米酢のみ。人工甘味料などの添加物は使わず、ぶどう酢にぶどう果汁を加えてさらに発酵させることで、香りを引き出した。甘さ控えめで後味はさっぱりしている。「酸味は強いが、熟成感もあってコクを感じる」(淀野さん)。「甘味、酸味、渋みとぶどうのおいしさをバランス良く完成させている。夏野菜のドレッシングとしても使いやすい」(町田さん)。
(1)愛知県阿久比町(2)200ミリリットル・1296円(3)3~4倍(4)http://www.321su.co.jp/(5)マスカット(期間限定)、りんご、グレープフルーツ、パイナップルなど
アイスにかけても好相性 柑橘王国
愛媛県発の飲む酢のブランド。同県名産のいよかんの果汁にりんご酢、国産の蜂蜜などを加えた。「ほとんど酸を感じず、甘さがあって飲みやすい」(浅尾さん)。濃厚な味わいは「オレンジジュースを飲んでいるようで、子どもにもおすすめ」(こばたさん)、「オレンジ色の見た目はインパクト大」(清水さん)。アイスクリームやヨーグルトとの相性も良い。
(1)愛媛県宇和島市(尾崎食品)(2)200ミリリットル・1080円(3)5倍(4)http://ozaki.shop8.makeshop.jp/(5)560ミリリットル・2160円、ほかにブラッドオレンジやゆずなど
白ワイン代わりにも ココ・ファーム・ワイナリー
栃木のワイン醸造所が作るぶどうの酢。酸味のある若摘みのぶどうを使った。完熟のぶどうよりもポリフェノールを多く含んでいるという。「(ハーブの一種の)エルダーフラワーのような華やかな香りと味わい。好きな女性は多そう」(竹内さん)。甘酸っぱく、のど越しはすっきりしている。「暑い朝に飲みたい」(荻野さん)。「白ワインの代わりに飲めそう。アルコールが弱い人にも良い」(浅尾さん)。見た目がおしゃれで、ホームパーティーなどへの手土産にも喜ばれそうだ。
(1)栃木県足利市(2)500ミリリットル・850円(3)3倍(4)https://cocowineshop.com/
ジャムのような甘い香り 庄分酢
福岡県の製造元は300年以上の歴史を誇る。昨年、東京・銀座に店舗を開いたのに合わせて売り出した新ブランドで、砂糖を使わず、蜂蜜の甘みを生かす。県産の博多あまおうのいちご酢をベースに、あまおう果汁を加えた。「トロピカルでピュアな味。酢の枠を超えた一品」(町田さん)。イチゴジャムのような甘い香りで子どもにも人気という。「シナモンパイのような香ばしさ。紅茶に入れて飲んでもおいしい」(白土さん)
(1)福岡県久留米市(2)200ミリリットル・2052円(3)3倍(4)http://www.shoubunsu-ginza.jp/(5)夏みかん、りんご、ショウガなど
◇ ◇ ◇
ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。商品名、販売元・ブランド名など。(1)生産地(製造元の社名)(2)主要製品の容量・価格(3)希釈の目安(4)公式サイト(5)ほかの容量や味の種類など。写真は岡田真、スタイリングは西崎弥沙
調査の方法 そごう・西武、東急百貨店、高島屋日本橋店、おとりよせネット、Yahoo!ショッピングの売れ筋商品や専門家の推薦、編集部の調査をもとに、飲用することを想定していて売れ行きの良い商品を22種類選出。商品名を伏せ、専門家11人に試飲してもらった。「味・香りが良い」「くせがなく飲みやすい」「毎日続けられそう」などの観点で評価してもらい、得点を集計した。
今週の専門家 ▽浅尾貴子(女子栄養大学専任講師)▽荻野菜々子(タニタ食堂管理栄養士)▽こばたてるみ(公認スポーツ栄養士)▽清水紫織(発酵教室「神楽坂発酵美人堂」店主)▽白土暁子(「いまでや」営業企画部)▽竹内直人(レストラン「Kabi」ソムリエ)▽寺本りえ子(発酵食スペシャリスト/フードディレクター)▽長谷川賢吾(発酵食品専門店「かもし堂」社長)▽町田えり子(料理研究家/国際中医師)▽横山貴子(日本発酵文化協会代表理事)▽淀野晃一(「月刊専門料理」編集長)=敬称略、五十音順
[NIKKEIプラス1 2018年7月7日付]
NIKKEIプラス1の「何でもランキング」は毎週日曜日に掲載します。これまでの記事は、こちらからご覧下さい。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。