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モップと合体 アイリスオーヤマの「二刀流」掃除機

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日経トレンディネット

アイリスオーヤマは、コードレススティッククリーナー「極細軽量スティッククリーナー」(KIC-SLDCP5)を6月20日に発売した。同製品のユニークなところは、掃除機にハンディモップをセットしていること。同社の調査によると、ユーザーの約8割は掃除の際に掃除機とハンディモップを併用しているという。

ハンディモップと掃除機を一体化

付属のモップはブラシ部が帯電しやすいポリプロピレンで、ナイロン製のケースから出し入れするたびにマイナスに帯電する。人毛やホコリなどのゴミはほとんどがプラスに帯電しているので、モップをゴミに近づけるだけで、ゴミやホコリが磁石に吸い付くように吸着するという。さらに、付属の充電スタンド下に隙間を作った。そこにモップを差し込み、掃除機をセットしてスイッチを入れるとモップについたゴミを除去できる。

必要十分な吸引力+使いやすさ

掃除機本体は、必要十分な吸引力を持たせつつ、使いやすさを重視している。

吸引力でこだわっているのが「サイクロンパワーヘッド」と呼ぶ新開発のヘッドだ。ヘッド内に風の渦を作って真空度を高める「サイクロンストリームヘッド」とモーター駆動のパワーブラシを組み合わせたもので、サイクロンストリームヘッドは砂などの重いゴミの吸引を行い、パワーブラシはカーペットに張り付いた糸くずなどをかき出すようにして除去する。これにより、同社の従来製品と比較して約3倍のゴミ除去性能を実現しているという。

使いやすさの面では、軽さにこだわっている。本体重量は約1.4キロと、パワーブラシを搭載するスティッククリーナーとしては非常に軽い。集じん方式には紙パック式を採用した。

充電台を床に置くスタンド型にしたことにも理由がある。デザイン性を重視した高級スティッククリーナーの多くは壁掛け式の充電台を採用しているが、それだと壁に穴を開ける必要があるため、賃貸住宅の多い日本では使いにくいのだという。また、掃除機本体は充電台なしでも自立するので、掃除を中断したときにいちいち立てかける必要がないなど、使い勝手に細かな配慮が感じられる。

フルラインナップでシェア3位を目指す

アイリスオーヤマは10年のLED照明発売以降、家電事業の比率が大きくなっており、現在は同社の売上げの約半分が家電事業によるものとなっている。22年にはグループで売上高1兆円という目標を掲げており、そこに向け家電事業を強化していく方針だ。

クリーナー部門は家電事業の中でLED照明に続く2番目の規模で、今年中にスティック型からキャニスター型までフルラインナップを市場投入し、現在数量ベースで国内市場シェア5位のところを、18年中に3位まで押し上げたいとしている。

日本のマーケットに合わせた製品開発を強みに

シェア拡大のポイントになるのが、日本のマーケットや日本人の生活スタイルに沿った製品開発だ。国内のクリーナー市場は海外メーカーのシェアが年々増えており、現在は販売台数で約3割を占めるまでになっている。しかし同社では、海外メーカーの製品はデザインや吸引力などは優れているものの、取り回しやすさや重さなどの面で、1~2人暮らしが多い日本の事情に合わないものが多いとみている。

こうした日本のマーケットに合う掃除機として開発したのが今回の新製品だ。モップを併用する人が多いのでモップをセットにし、賃貸住宅で使いやすいように充電台はスタンド式に、狭い部屋で使いやすいように本体は軽量で自立できるようにした。それでいて必要十分な吸引力はもたせてある。こうしたこだわりが日本のマーケットや日本人の生活スタイルに沿った製品ということなのだろう。

価格はどうだろうか。極細軽量スティッククリーナー(KIC-SLDCP5)の実売価格は2万6800円(税別)。これはスティッククリーナーとしてはやや高級機の部類に属する価格帯だ。

アイリスオーヤマの生活家電事業部の加藤泰史副事業部長は「現行のスティッククリーナーでNO.1の吸引力とはいえない。しかし、必要十分なゴミ除去性能や使いやすさといった、妥協できない機能はすべて備えている。同程度の吸引力と軽さを持つ他社の製品に比べると安い。清掃用品を長年扱ってきた我が社が必要だと考える機能に絞り込むことでこの価格を実現した」と、コストパフォーマンスの高さを強調した。

(ライター 倉本春)

[日経トレンディネット 2018年6月25日付の記事を再構成]

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