恐るべき山火事の現場 消防士だから撮れた写真10点
米カリフォルニア州で育った写真家のスチュアート・ペリー氏にとって、山火事は当たり前の存在だが、魅了される現象でもある。そのキャリアを通じて、山火事への熱が冷めたことはない。ペリー氏はカリフォルニア州南部に拠点を置き、州内の山火事をカメラに収めてきた。その目を奪うような写真の中から、10点をここで紹介しよう。
2017年は山火事が頻発し、広大な土地が焼け野原と化しているため、ペリー氏にとっては撮影の機会が山ほどあった。だが、山火事の写真を至近距離で撮ろうとしても、現場に近づくのは難しい。特別な資格のあるメディアしか火災現場に立ち入れないからだ。なおかつ、そうやって現場に入れたとしても不十分な場合があるとペリー氏は話す。「消防士たちと山を歩き回るんです。それには時間も経験も必要です」
実際のところ、ペリー氏は火の中に入るのに適した珍しい人材なのだ。火災に関心を持つ写真家というだけでなく、資格を持つ林野消防士として、基本的な技能を身につけている。おかげで消防隊は、ペリー氏が彼らのすぐ横にいても、その安全を心配する必要はない。
専門的な技術に加え、火災の撮影には予備の機器を必ず用意しておくことも欠かせない。ペリー氏の溶けたレンズや、壊れたカメラの部品がその証拠だ。「一般的な防じん防滴性能では、火によるダメージを防げません」
カリフォルニアの山火事には個人的な思い入れがあるペリー氏だが、これら自然災害に関しては一歩引いた視点からとらえている。人間と環境の、問題をはらんだ関係の象徴と見ているという。「山火事は生態系の健全さと維持に不可欠です」とペリー氏は語る。「それなのに、我々は火災を抑制しすぎて、今や燃料になるものが大量にはびこっている状態です」
山火事の炎はペリー氏に、人が環境に与えている負担の大きさを思わせる。一方で、山火事が大きな被害を生んでいることも絶えず実感している。「自分たちの家が焼け落ちたかどうかも分からず、何もできない状況の人々を目にすることがあります」とペリー氏は話す。「ああいう光景はつらいものです」
次ページで、消防士の資格を持つペリー氏だからこそ撮れた、迫力ある山火事の写真をさらに8点紹介する。
(文 Shaena Montanari、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2017年9月8日付記事を再構成]
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