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有森裕子 平昌五輪と東京マラソンの先にあるもの

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日経Gooday(グッデイ)

寒暖の差が激しい日が続きますが、皆さん、体調を崩されたりしていないでしょうか。体温管理に気をつけて、季節の移り変わりを感じながらランニングを楽しんでいただければと思います。

さて、2018年の2月は大きなスポーツイベントが2つありました。1つは韓国で開催された平昌冬季五輪です。今回、日本選手団は、金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4個、合計13個ものメダルを獲得するという快挙を成し遂げました。

氷上のチェス、カーリングに注目した平昌冬季五輪

メダルの数だけを見るとスケート陣の活躍が目立つ中、私は氷上のチェスと呼ばれるカーリングに注目していました。なぜなら、私もかつて北海道で一度だけカーリングを体験し、非常に面白くて難しいスポーツだということを実感していたからです。

カーリングは、テレビで観戦しているのと実際にやってみるのとでは、全く印象が変わるスポーツです。まず何よりも、約20kgもあるストーンを投げて氷上を滑らせることが難しいのです。カーリングシューズは片方の足の裏側が滑りやすい素材でできていて、もう片方の裏側はゴムのような素材で滑らないようになっています。そんな状態で、低姿勢のフォームを保ったまま氷上を滑ってストーンを投げることは本当に難しく、やってみると体がぐらついてしまい、狙いを定めるどころではありません。ブラシで氷をゴシゴシこすってストーンの滑りを調整する動きも、バランスを保つのは相当難しいはずです。

氷上で特殊なシューズを履きながら体勢を安定させるには、鍛えられた体幹が必要になります。さらに、試合に勝つためには、ストーンの進み具合を見極めた絶妙なコントロール力と、優れた頭脳も求められます。激しい運動ではないので、年を経ても楽しめるスポーツだと思いますし、今回の「カー娘」の銅メダル獲得で、カーリングが少しでもメジャーなスポーツになればいいなと思います。

大舞台で力を最大限発揮するメンタルの強さ

スピードスケート女子500m金メダリスト・1000m銀メダリストの小平奈緒選手や、スノーボード男子ハーフパイプ銀メダリストの平野歩夢選手など、メダリストたちの試合前後の会見は、一流選手のメンタルの強さを感じさせるものでした。中でもフィギュアスケート男子金メダリストの羽生結弦選手と、銀メダリストの宇野昌磨選手の発言が対照的だったことが印象に残りました。

 羽生選手の発言からは「このオリンピックに人生をかけている」という並々ならぬ気迫が伝わってきました。一方、宇野選手は極めて自然体で、「オリンピックは自分にとって大事な大会の1つであり、他の大会と同じようにベストを尽くす」といった趣旨の発言をしていました。前回王者として連覇をかけて臨む五輪と、挑戦者として臨む五輪という立場の違いからでしょうが、どちらも正しい考え方だと思います。

私自身、バルセロナ五輪(1992年)の銀メダリストとして2度目の五輪(1996年アトランタ五輪)に挑んだ時は、メダルの「色」に対する執着心はなかったものの、「メダルの獲得」は絶対に譲れない目標でした。今回、足のけがを抱えながら連覇を目指した羽生選手が背負った重圧は私にはとうてい想像できませんが、私もかつて「命がけでメダルを狙う」という気持ちで五輪に挑んだので、少しは羽生選手の気持ちが分かる気がしました。だからこそ、極限まで追い詰められた状況下で、決して言い訳をせず、自らを鼓舞して最高の結果を出した羽生選手に、惜しみない拍手を送りたいと思います。

東京マラソンで16年ぶりの日本新記録が誕生!

さて、2つ目の大きなスポーツニュースは、2月25日に開催された東京マラソン2018でしょう。今回、ハーフマラソン日本記録保持者の設楽悠太選手(Honda)が、2時間6分11秒というタイムで準優勝し、実に16年ぶりにマラソン男子の日本記録を塗り替えました。それまでの日本記録は2時間6分16秒で、現在カネボウの監督を務める高岡寿成さんが2002年にマークしたものです。設楽選手だけでなく、上位の選手の記録も良く、全体的にレベルが上がったのもよかったと思います。

日本新記録を出した功績に対し、日本実業団陸上競技連合から設楽選手に1億円の褒賞金が贈られたことも話題になりました。これはとても夢のある話で、ランナーにとって大きな励みになると思います。

また、日本陸上競技連盟が、2020年東京五輪の代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(2019年9月以降に開催予定)の出場権獲得に、「東京マラソンを含むいくつかの指定大会で一定の順位とタイムをクリアする」というハードルを設けたことも、選手たちの目標を明確にし、モチベーションを高めたのではないかと思います。

厳しい練習を積んできたエリートランナーにとって、東京マラソンは高低差をほとんど感じない走りやすいコースでしょうし、今回は雨も降らず、風も弱く、気候条件にも恵まれました。世界のトップランナーやペースメーカーに引っ張ってもらえて、さらに沿道からあれだけの声援を受けながら走ることができれば、苦しい時の後押しにもなったと思います。今回の東京マラソンは、日本記録を出すための環境が整えられた大会だったと言ってもいいでしょう。

平均的に力を発揮するのが難しい「マラソン」

ただ、今回のレースで、2020年の東京五輪でも通用する底力が発揮されたのかと問われれば、正直なところ分かりません。マラソンは「順応性」がカギになるスポーツです。コースも天候もレース展開も、大会によってガラリと変化する中で、どれだけ瞬時に状況を判断しながら順応し、踏ん張れるか……。レースのたびに2時間6分台、7分台をコンスタントに出すことはとても難しい競技で、設楽選手はもちろん、MGCの出場権を獲得した選手たちの今後の課題になるとも思います。

さらに、今回の日本新記録で脚光を浴びて、世間から注目される立場になった設楽選手は、プレッシャーがかかりますから、周囲の期待をいかに追い風に変えて良い結果に結びつけられるかが大事になります。東京五輪は7月下旬から8月上旬にかけての真夏の開催ですし、そんな中で外国人選手とどう戦うかも注目すべき点です。

とにかく、MGCのレースまでまだ時間はあります。選手たちには落ち着いて練習して、良い状態で挑んでほしいと思います。

次回は、大きな大会で日本人選手が活躍した後によくみられる、市民ランナーの動向について考えたいと思います。

(まとめ:高島三幸=ライター)

有森裕子
 元マラソンランナー。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

[日経Gooday2018年3月13日付記事を再構成]

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