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福山ロスでマンション衝動買い シングル女性の胸の内

巨大消費を動かす40・50代「おひとりウーマン」(上)

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NIKKEI STYLE

2030年、日本は全人口の半数が「おひとりさま」に――。未曽有の「大独身社会」の到来を前に、新しい消費市場をリードしつつあるのが40~50代のシングル女性たち。驚きと共感の「おひとりウーマン」消費の最前線を牛窪恵さんが取材。3回連載で紹介します。

◇  ◇  ◇

「福山(雅治)のファンでもないのに『福山ロス』になっちゃって。これは相当、独身を"こじらせてる"なって気づいたんです」と苦笑するのは、都内の通信会社で働くアキホさん(44歳)だ。

2015年9月、人気俳優でシンガーソングライターの福山雅治さんが女優・吹石一恵さんとの結婚を発表、46年間の長きにわたる独身生活にピリオドを打った。このとき、多くの女性ファン、とくに独身女性たちから「なんで!?」と悲鳴が上がったことは、広く報道されたとおり。心的ショックから「辛い」「会社に行く気力が出ない」などと嘆く、いわゆる「福山ロス」も話題になり、私が出演するテレビ番組の女性プロデューサー(おひとりウーマン)も、「いま、ヤケ酒飲んでます(泣)」とメールをくれたほどだ。

彼女たちのように、福山さんのファンが傷つく心境は理解できる。だが、アキホさんは自分でも言う通り、ファンではない。なぜ「福山ロス」に陥ったのか。

彼女は自分の内面に問いかけ、「あ、これって『年賀状ブルー』と同じだな」と気づいた、とのこと。すなわち、年賀状で結婚した友人の幸せそうな表情を見て「やられた!」と感じるように、福山さんにも裏切りを感じたという。

「それまで福山さんは、独身生活を謳歌(おうか)してるみたいだった。発表を聞いて、『なんだ、あなたも結局は"そっち側(結婚したい)の人"だったんだ』って、がっかりしたんです」

そこで彼女はどうしたか。ヤケ酒をあおるどころではない。なんと都内の新築マンション販売の現場に行き、2DK、3500万円のマンションを「即買い」したというのだ。

1500万円と手数料分は15年ローンを組み、残る2000万円分はためていたお金からすぐ振り込んだ。即買いの理由は2つ。ひとつは会社の家賃補助(賃貸)が「45歳まで」だと知ったから。もうひとつは「ムシャクシャしている気分をアゲたかった」から。まさに、ヤケ酒ならぬ「ヤケマンション(買い)」である。

ルンバのために掃除しやすいマンションを購入

一方、「うちのピーちゃんのために、マンション買っちゃったんです」と話すのは、札幌市内の金融機関で働くユリエさん(48歳)。

ピーちゃんは、鳥ではない。5年前、彼女がひとり暮らしを始める直前に買った、ロボット掃除機「ルンバ」(アイロボットジャパン)。動き出すときにピーと可愛く音を立てること、また色がパッションピンク(ピー)であることから命名した。

ルンバは、すでに多くの方がご存じだろう。みずから部屋の状況を判断し、直線的に、時にはくるくると動きながら進み、床のチリやホコリをきれいに回収してくれる掃除機だ。

彼女がそれまで住んでいた賃貸マンションは築20年以上と古く、ほとんどの部屋に薄いじゅうたんが敷かれていた。でもピーちゃんが本領を発揮するには、断然フローリングの床のほうがいい。そこでフローリング物件をインターネットで検索、わずか4日迷っただけで購入を決めたという。札幌の中古物件ながら、お値段2000万円なり。

一般的な40代の独身女性にとって、2000万、3000万円台の買い物は、「一生の買い物」のはず。だが、アキホさんやユリエさんのような女性は、必ずしも珍しくない。

私が、団塊ジュニア研究で「お宅訪問調査」をシティリビングと実施した際も、家賃6万円台のアパートで質素な生活をしているおひとりウーマン(41歳)が、4000万円以上たまった通帳を見て、「おしゃれなマンションでも買おうかな~」とウキウキしていたり、土日のたびマンション販売のチラシを見ていたおひとりウーマン(44歳)が、「衝動買いしちゃった!」と新築物件の購入に至ったり、という場面に出くわした。

マンションを買ったら、夫が付いてきた?

では40、50代の独身女性で、すでに持ち家(マンションを含む)を持つ女性は、どれぐらいいるのだろう。

住宅の購入や売買をサポートする情報サイト「SUUMO(スーモ)」(リクルートホールディングス)が20代と40代のシングル男女に実施した調査(2016年)によると、20代での「持ち家派」は2.4%しかいないが、40代では23.6%と4人に1人近く。女性だけを見ても40代シングルの持ち家比率は、22.2%と堂々の2割超えだ。

また、総務省の調査(平成26年「全国消費実態調査」)で「住宅・土地のための負債保有世帯率」、つまり親からの譲り受け等を除いて、自身で住宅ローンを支払っている人(単身世帯)の割合を見ても、09年時点の40代女性では2割にも達していなかったが、14年時点では3割に迫る勢いだ。均等法以前の世代(家業以外で働く割合が少ない)が含まれる50代の女性でも、09年の10.2%が14年には13.6%へと伸長(下の図)。これもここ数年で、女性の社会進出と経済力、社会的信頼が着実に伸びた証しだろう。

また14年前、拙著「男が知らない『おひとりさま』マーケット」で私が20代半ば~30代後半の女性を取材した際は、「家を買ったら、結婚できなくなる」「これで生涯、独身決定かな」と半ば自虐的に話す女性が多かった。

ところが近年は、そこも様相が違うのだ。驚いたのは、17年1月、私がテレビの情報番組「ニュースシブ5時」(NHK総合)で、マンション購入者のアラフォー女性たちにグループインタビューをしたとき。冒頭から、こんなセリフが飛び出した。

「一生結婚しないつもりでマンションを買ったら、結果的に夫が付いてきちゃった」

そう発したのは、数年前、都内に2LDKのマンションを買った、元おひとりウーマンのセイコさん。彼女の隣にいたユミさんも「私もそう! 結婚できたのは、勢いでマンションを買ったおかげ!」と強くうなずいた。

なぜ彼女たちは、「マンションを買ったおかげ」で結婚できたのか。その一因とおぼしきことは、伴侶のプロフィールを聞いて、なんとなくピンときた。

どちらも夫は年下で、決して仕事をバリバリこなすタイプではない。反面、家事や育児には協力的で、妻の生活スタイルに合わせることをいとわない。よく言えば柔軟、多少の誤解を恐れずに言えば、極めて欲がない「草食系」なのである。

失礼を承知で、私は聞いた。「すでにローンの何分の1かを自力で返したマンションに、彼が途中から『転がり込んできた』ような状況ですよね。それって、なんかズルいとか男らしくない、みたいな感覚はなかったですか?」

すると2人は、「ぜ~んぜん」と首を横に振った。そしてこう口をそろえたのだ。「だって、いまさら自分のライフスタイルを変えたくない。知らない町に引っ越して一から生活するより、慣れた空間や地域に暮らし続けるほうが『ラク』じゃないですか~」

なるほど、納得である。この10年で、私が「草食系男子」と呼ぶような、いわゆる見栄や虚勢を張らない男性が増えた。とくに若い世代では「男たるもの、家を買ってこそ一人前」や、「妻が買った家に引っ越すなんて」と強がることなく、「彼女、吉祥寺にマンション持ってるんだ、ラッキー」など、極めて合理的に物事を考えるようになった。

女性のほうも、とくにアラフォー年齢を過ぎると「生活へのこだわり」が強まり、いまさらリセットするのは面倒と考える。「結婚(同棲)相手が合わせてくれるほうがラク」と考えやすいから、両者で見事にマッチングが成立するのだろう。

ある不動産関連サイトが、20代以上の全国1280人を対象に行った調査でも、独身時に住宅を買った男女の52.8%がすでに結婚しており、「独身でマンションを買うと結婚できないと思うか?」との質問にも、「NO」が多数派だった。具体的には、「そうは思わない」と回答した人が、独身者を含めて7割以上(70.8%)もいたのだ(シースタイル「スマイスター」調べ、17年)。

牛窪恵
マーケティングライター。インフィニティ代表取締役。同志社大学・創造経済研究センター「ビッグデータ解析研究会」部員。現在、立教大学大学院(MBA)在学。財務省財政制度等審議会専門委員、内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーターなどを務める。1968年東京生まれ。執筆や講演のほか、テレビ番組のコメンテーターも務める。マーケティング関連の著書多数。

[「『おひとりウーマン』消費! 巨大市場を支配する40・50代パワー」(毎日新聞出版)を基に再構成]

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