気になる人は既婚者ばかり この週末もひとり?
[川本麻里さん(仮名) 第2回]

こんにちは。ライターの大宮冬洋です。働く30~40代の独身女性と恋愛と仕事について語り合う連載「キャリア女子ラブストーリー」へようこそ。取材対象者が広すぎる企画では、という心配には及びません。公私混同が好きな僕は、インタビュー相手はできるだけ好感の持てる人に限りたいと思っているからです。つまり、大宮基準での美人に取材しています。
すてきな彼女たちの前で、ちょっと興奮気味に前のめりで話を聞いて、あれこれと感想も伝えています。その場では伝えきれなかったアドバイスっぽいことも含めて、ここで書いています。ただし、友だち同士の恋バナみたいなものなので、正解とは限りません。「それは違うと思うな。私だったらこうする」と、おしゃべりに参加するような気持ちで読んでいただければ幸いです。
いま話を聞いているのは、愛知県内の中堅メーカーで総合職として働く川本麻里さん(仮名、35歳)。ショートカットがよく似合うおしゃれな女性です。しかし、10年前の大学院生時代に遠距離恋愛の彼氏と別れてからは恋人がいません(前回記事はこちら)。
「私、全然モテませんよ。合コンには参加したことすらありません。誰からも誘われないから……」
休日も一人で行動することが多いという麻里さん。女友だちはいるけれど、お金の使い方が違うと感じてしまいます。
「みんな結婚していて家庭があるので、ランチもコスパ重視の食べ放題などに行きたがります。私は食べ放題のお店が苦手です。もう少しお金を出して、ちょっといい店に行きたい。でも、せっかくおいしいものを食べたら、その感想を言い合う相手が欲しいとは思いますね」
憧れの人なのに、自分らしくふるまえない
正直だけどちょっと不器用な麻里さん。聞けば、製造業である勤務先は、社員の8割が男性です。華やかな麻里さんに憧れている男性も少なくないはず。しかし、どちらかといえば自分が憧れて追いかけたいタイプの麻里さんには彼らの姿は見えていません。
「社内で『いいな』と思える人はほぼ全員が既婚者です」
その一人が、麻里さんが入社したときの指導係だった正明さん(仮名、40歳)。当時から何十人もの部下を持つ立場だったエース社員です。麻里さんによれば、硬軟の使い分けがとても上手な男性とのこと。
「彼は工場で働いているので、仕事中はきつい言い方をしたりします。下手をすると事故につながる工場ではトップダウンで命令を落とさないといけないのです。新入社員の私に機械の動かし方を見せてくれたときも急に張りつめた空気をまといました。カッコ良かったな……」
工場の外では人当たりがソフトになります。例えば、みんなで一緒にランチを食べているとき。正明さんはちょっとした言い間違いをしました。麻里さんが指摘をすると恥ずかしそうにしていましたが、次の日からはわざと同じ言い間違いをしたり、難しい漢字があると麻里さんに読み方を聞いてくるようになったり。かわいい男性ですね。
「自分のカッコ悪いところを面白くさらけ出せる人はすてきだなと思います。正明さんの近くにいるといつも笑ってしまいます。私だけではありません。みんなからむちゃくちゃ好かれている人です。もし彼からアプローチされたら、きっと好きになってしまうと思います」
ただし、正明さんは10年前に結婚して、今は二児の父親です。すごく楽しい人だけど、麻里さんに特別な関心はないことは麻里さん自身が感じています。そして、彼の前ではリラックスして「どうでもいいこと」を話せないそうです。
「たいていは正明さんの話を聞いて笑うだけです。私の話はちゃんと聞いてくれていないことぐらいはわかります」
ちょっと切ないけれど、恋愛の本質にせまるエピソードではないでしょうか。どんなに憧れている相手で、一緒にいると幸福感に包まれていても、なぜか自分らしくいられないことがあります。言葉がよく出てこなかったり、考えてもないようなことを言ってしまったり。何度会っても同じ場合は、残念ながら相性があまりよくないのだと思います。そのぎこちなさは、きっと相手も感じているはずです。少し離れたところから憧れたり応援したりする距離感がちょうどいいのではないでしょうか。そんな恋もありますよね。続きはまた来週。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京・愛知・大阪のいずれかで毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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