寝冷えネコ「きよニャ」効果 ブランドたまごCM3位
2017年5月度 CM好感度月間ランキング
ケチャップライスでできた「寝冷えネコ(きよニャ)」のキャラクターが登場するCMが「かわいい」と評判になり、好感度が上昇。CM総合研究所が発表する5月度銘柄別CM好感度ランキングで初のトップ3入りを果たした。鶏卵大手のアキタが手がけるブランドたまご「きよら グルメ仕立て」のCMで、今年で3年目。今では出荷量がCMを始める前の3倍以上になったほどインパクトの強いシリーズCMだ。
3位となった5月度の調査で、票を集めたのは「ピクニック」編。弁当箱に入ったきよニャが「一生のお願いです。きよらで作ったおふとんを掛けてピクニックに連れていってください」と父娘に懇願。弁当箱の中でオムレツのふとんを掛けてもらい、ピクニックに連れていってもらうが、道中の振動で弁当箱の中身が偏ってしまう。そして娘がふたを空けると、仕切り板につぶされたきよニャが「せまい…」とつぶやくという内容。
顔のパーツがふたにくっつき、「せつない…」と嘆く「ピクニックせつない」編のパターンも流れた。
モニターの感想は「きよニャがかわいい」という声が圧倒的。CM好感要因を見ると、最も高い票数を得たのが「かわいらしい」で、以下は「出演者・キャラクター」「ユーモラス」「ストーリー展開」「心がなごむ」と続く。支持層は女性で、特に主婦層に人気が高いという。
アキタがきよらのCMを初めて流したのは2015年10月。きよニャが、きよらでつくったおふとんを掛けてほしいと母親に願う愛らしい様子が人気を呼び、11月度には銘柄別CM好感度5位まで上昇した。母親役に、産後休暇から復帰して初のCM出演となる小雪を起用したのも話題になった。
当時からきよニャの声を務めているのは子役の新津ちせ。『君の名は。』の新海誠監督の娘である。今回の新CM発表会では新津ちせによる公開アテレコが実施されて、その様子がニュースになった。
SNSにCMを再現した写真が急増
アキタの山崎俊明・経営戦略室室長によると、CMの影響力は絶大。15年10月のCM実施前に比べると、関東での出荷量は約1年半で3.4倍に増えた。関東に限らず、関西や地元の広島県福山市など各地で出荷量が増加している。また、アマゾンフレッシュの卵に採用されるなど、ブランドたまごとしての認知も進んだという。
CMの制作にあたり、狙ったのは「『あのCMを再現したい』と感じてもらうこと」(山崎氏)。実際に作る場面をイメージできるように、CGを使わず、リアルな映像にこだわっている。結果、オンエアが始まると、ツイッターなどのSNSでCMを再現した写真の投稿が一気に増えるそうだ。
CMのクリエイティブディレクター、企画、コピーを務める福部明浩氏は、現在日清食品「どん兵衛」や大塚食品「MATCH」も手がけているクリエイターだ。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、「CMが実際の売上増にきちんと結びついているのがすごいですね。主婦の方が、スーパーの売り場でどの卵を買うかを決める時間は5秒に満たないそうですが、そのわずかな時間で選んでもらえるのは、ブランド認知がきっちりできているから。CMのインパクトが、それだけ大きいということです」と販促効果を高く評価する。
きよニャというキャラクターを軸に、ブランドたまごとしての認知度をアップさせたきよら。CMをうまく使ってブランド価値を引き上げた好例といえるだろう。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2622銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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