ブレイクした芸人、1位カズレーザー 2位古坂大魔王
好きな芸人 嫌いな芸人 2017
2017年版「ブレイクしたと思う芸人」の1位になったのはメイプル超合金のカズレーザー。全身赤の上下に金髪という見た目だけでなく、歯に衣着せない発言で注目される彼は、すでにMC番組を2本持ち、トップ芸人の風格すらある。2位の古坂大魔王は、ピコ太郎のプロデューサーとして再評価されたベテラン。今回のランキングでは、彼らのように「新顔ながら自己プロデュース力の高い芸人」が目立っているのが特徴だ。
日経エンタテインメント!では、2017年もお笑い芸人の人気調査を実施。全国の男女1000人を対象に「一番好きなお笑い芸人」「一番嫌いなお笑い芸人」「この1年で最もブレイクしたと思うお笑い芸人」「これから1年で消えると思うお笑い芸人」の4項目で人気度を調査した(調査の詳細は「好きな芸人、ブルゾンちえみ初登場3位 さんまがV14」をご覧ください)。
「ブレイク」1位のカズレーザーは、「番組や雑誌などメディアでよく見るようになったから」(85%)という理由で選ばれた。従来は決めフレーズや一発ギャグを持ったタイプが多かったが、カズレーザーの場合はそうしたギャグを持っていない。赤い服に金髪という風貌のみならず、同志社大学卒業の高学歴芸人で読書家でもあるほか、バイセクシャルを公言するなど、様々なフックがある。
『Qさま!!』(テレビ朝日系)では1年にわたったペナントレースで総合4位に。京大卒芸人のロザン宇治原に迫る活躍を見せた。16年6月放送『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)内の人気コーナー「カズレーザークリニック」で放った「女子力が高いなんて女性はもともといない。(女子力は)ウソの概念」という発言はネットで大きく拡散され、共感を集めた。
ブレイク第2波に乗る古坂大魔王
2位はピコ太郎のプロデューサーとして急浮上した古坂大魔王。もともと底抜けAIR‐LINEの一員として『ボキャブラ天国』(フジ系)などにも出演していた芸歴25年のベテラン芸人だったが、世界的なヒットギャグ「ペンパイナッポーアッポーペン」を生み出したことで状況が一変。17年3月には武道館ライブまで成し遂げた。社会現象にまでなったピコ太郎の大ブレイクで、今では古坂自身にもスポットが当たるようになり、最近はバラエティー番組のゲストのほか、MCを務めるなどブレイク第2波に乗っている。古くからくりぃむしちゅーや爆笑問題などから高い評価を得ていた実力派だけに、どんな場所でも笑いがとれるのが彼の強みだ。
3位は平野ノラ。肩パッド入りのど派手な衣装で「しもしも~?」などと、バブル用語を連発する芸で注目を集め、人気バラエティーに立て続けに出演。16年には「ビストロSMAP」で香取慎吾がノラのコスプレをしたことも話題になった。31歳のときにワタナベコメディスクールに入学した遅咲き芸人ながら、「見た人をハッピーにさせられる芸人」を目指している芸風が共感を呼び、引っ張りだこになっている。
4位は同じく女性ピン芸人のブルゾンちえみ。17年正月に出てきたばかりであるにもかかわらず、『R‐1ぐらんぷり』(フジ系)の決勝に進出したほか、今やすっかり時の人に。平野ノラと同様に「強い女性」がキャラクターのベースにあり、「探さない、待つの」「35億。」といった決めフレーズが音声付きLINEスタンプで発売されると反響を呼んだ。
このほか初登場組にはANZEN漫才やサンシャイン池崎ら、時間差ブレイクを果たした面々が目立つ。ANZEN漫才は歌ネタコンビとしてもともとお笑いファンには知られている存在だったが、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のロケシリーズ「世界の果てまでイッタっきり」にみやぞんが抜てきされたことで一気にお茶の間感がアップ。行く先々でハプニングやミラクルを起こす不思議なキャラクターとして人気が定着した。
サンシャイン池崎も何回かターニングポイントがあるなか、16年末の恒例シリーズ『絶対に笑ってはいけない科学博士24時!』(日本テレビ系)で俳優の斎藤工が彼のハイテンション芸を「サンシャイン斎藤」として完コピ。大きな注目を集めたことで、改めて元ネタであるサンシャイン本人の注目度が高まった。「空前絶後のォォ!」という決めフレーズは、シャープやタカラトミー、キングジムといった企業の公式ツイッターアカウントがこぞって製品PRでトレースしたことでも話題に。永野のブレイクのきっかけも作った斎藤は、これで2連勝といったところか。
「ブレイク」芸人がいずれも衣装や髪型、メイクなど見た目のインパクトが大きい人が選ばれる傾向にあるのは従来通り。これに加えて、見る人に元気を与えるような芸風が好まれているのが、今回の特徴といえる。
(ライター 遠藤敏文、木村尚恵)
[日経エンタテインメント! 2017年7月号の記事を再構成]
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