牛丼店の紅ショウガ、なぜいつも満杯か 底から噴出?
紅ショウガ(3)
牛丼店の容器に詰まった紅ショウガの軍団について中林20系中林52さんから先週に引き続き、こんなメールが。
疑問が解けなければ疲れも増そうというものである。で、このメールを。
まず業務用の紅ショウガの缶(一斗缶?おそらく20kg程度)を出します。次にカウンターやテーブルにおいてあった紅ショウガいれを回収し、その中に入っている紅ショウガを、漬け汁にたっぷりと浸かった一斗缶の方にいったん戻し軽く混ぜます。
そして紅ショウガいれを洗浄し、しかる後に一斗缶の紅ショウガをビニール手袋をつけた手で「むんず」とつかみ、再び紅ショウガいれに詰めてカウンターに戻すのです。
なので上から継ぎ足しているわけではありません。かといって、すべてを新しいものと取り替えるわけではないですが。
よそのチェーンがどうしていたかは知らないのですが、自分が働いていたところではそうしていました(鮭さん)
同様のメールが西荻の怒髪天娘さんからも来着している。
微妙な問題を含んではいるが、容器の底に万年紅ショウガが埋まっていないことは確かなようである。
あっ、隊長だ!
卵焼きに紅ショウガと青ネギを入れるとお好み焼き風の味になって…いけますよ!(砂糖なし!)。ソースで食べるのもOK! いま作って写真とか撮れないので、デスク!お願い!!ね!(三林京子隊長)
デスク、隊長から紅ショウガと青ネギ入り砂糖抜き卵焼きをつくって写真を撮り、ここに掲載せよとのご命令である。謹んでお受けするように。なんならアミー隊員の助力を乞う?
それとついでだから、立石に行ったときに食べた豚ショウガの串揚げの写真もお願い!!ね!
デスク らじゃ!
富士宮から。
赤紫蘇の葉で染めているので鮮やかな赤色と紫蘇の香りが特徴です。黒い粒つぶ状のものはシソの葉や実です。富士宮土産には麺と一緒に「ミカチャン」もどうぞ。残った紅ショウガは卵焼きの具としてオカカと一緒に混ぜて焼くと美味しいですよ(富士宮やきそば学会IT推進担当、宮さん)
こちらも卵焼きに紅ショウガである。青ネギとオカカの違いはあるが。
私の両親・知人を含め、まわりで紅ショウガを入れる人を見たことがありません。思うに紅ショウガを使う理由は以下の2つではないでしょうか?
(1)トンコツ臭が苦手な人が臭み消しに使う。
(2)寿司のガリと同じで箸休めとして使う。
紅ショウガをトンコツラーメンに入れるか入れないかの九州地図、できたらいいなあ!?(大日本ラーメン愛国党 トントリショウタさん)
そりゃそうたい。ラーメンに紅ショウガやら入れんとよ。誰が入れよっとね。豆津橋さんね。
ということで、私は入れない。断固として入れない。博多に住んでいたころ、小学生だった東京生まれの愚息は「九州のラーメンは臭いから」と言いつつ、紅ショウガを大量に投入していた。しかし父親の私が「そんな子に育てた覚えはない」と泣き崩れたのを機に紅ショウガとの縁を切り、真人間になったのである。
デスクはてな えっ、じゃ僕は妖怪人間?
野瀬 これから「ベム」と呼んであげよう。
デスク はやく人間になりたぁーい。
一転して社会人になってみると、牛丼に山盛りのせるわ、博多ラーメンには色が赤く変わるくらいいれるわで、お世話になりっぱなし。たこ焼きやお好み焼きにも欠かせませんしね。育った環境からの反動のようにお世話になっております。今度大阪行ったらぜったいに紅ショウガの天ぷら食べるんだ!(東京のあさちゃん)
博多ラーメンに紅ショウガを入れるのをやめ、愚息のように1日も早く…ではなくて、そんなことは好きずきだが、大阪で紅ショウガの天ぷらを食べるのには賛成である。
ところで、ちょっとした料理屋なんかで焼き魚を食べると付いてくる「はじかみ」ってやつは紅ショウガに分類されるんでしょうか? あれって関東でも普通に食べますよね? だったら紅ショウガが関西のモノってことはないのではないかいなと(こばりんさん)
はじかみはショウガのこと。初見は古事記である。従って料理にちょこんと添えられている「はじかみ」は言葉の意味だけなら単に「ショウガだよ」と言っているにすぎないことになる。
ただ酢に漬けられていると紅ショウガ感が増すのは事実。紅ショウガ自体が酢漬けのショウガの一形態なので同類と考えていいのではないか。
よく紹介する『たべもの起源事典』は食べ物の起源を解説したもので、現状を語っているのではない。もともと紅ショウガが関西で多用され、着色されない酢漬けのショウガが関東で重用されたからといって、いまもその通りであるとは限らない。
限らないが、東日本では西日本ほど紅ショウガを多用しないような印象はある。牛丼チェーンは別だが。
あの真っ赤な紅ショウガを入れて焼くのは「関西のお好み焼き」からの派生だそうです。豚の臭みと油のしつこさを消すのにショウガは一番です。豚との相性の良さは「ショウガ焼き」が証明しています。
ただのショウガを入れると食感が悪くなるため紅ショウガを使用したみたいです。関西のお好み焼きは一旦ボールで生地と具を混ぜる「混ぜ焼き」なので、紅ショウガを入れやすいからでしょう(島野さん)
いまお腹がいっぱいなので、お好み焼きのことを考えるとさらにお腹がいっぱいになる。
ちなみにウチの父は紅ショウガファンで、ホタテやカニの炊き込みご飯に紅ショウガは欠かせませんでした(カナダ在住の道産子さん)
北海道の甘納豆赤飯は道民みんなが食べているわけではないし、食べる場合も常に紅ショウガを友にしているわけでもないらしい。しかしこのサイトの該当地図にのってる写真を見ると、甘納豆赤飯に薄切りの紅ショウガが添えられているのである。どうしてだろう。
その2年間、ほぼ毎日、紅ショウガを具にしたおにぎり、それも味噌焼きにぎりを持っていった。好きだからよかったけど。
一度、大好きな女の子に指摘された…いつも味噌にぎりで具がショウガ。しかし、あとでその子にこくられた。しかし突然で答えられなかった。そのせいか、いまだに紅ショウガってからいですよね。
紅ショウガが好きです。東京にいたころ、彼女とお好み焼きを食べに行った。色々頼んだ最後に紅ショウガ天を頼んだ。彼女は爆笑しながら、それまで食べたものには全部ショウガが入っているのに、さらにショウガ天? でも食べてくれた。
かの盛岡3大麺。じゃじゃめん(これはひらがなです)に、かならず紅ショウガの輪切りがつきます。老舗では大盛りには2枚つきます。しかし紅ショウガをいつ食べるか、皆さん一家言あるようです。
私は普通盛りのときは、ちーたんたん(じゃじゃめんを食べたあとにその皿へ生卵を割りいれて混ぜたものへお湯を注いだスープ)を飲んだあと、皿をショウガでぬぐって食べます。大盛りのときは1枚は途中の口休め。2枚目はちーたんたんのあと。
しかしこれが載ると諸兄から一家言来るのか? いや私が追放されるか、じゃじゃめん界から(ござひきさん)
「こくる」は「告白する」こと。うちの娘たちの会話にもさかんに出てくる。最初は「こっくりさん」の親せきのことかと思っていた。
お好み焼きの彼女はいい彼女である。2人がその後どうなったかが書いていないところに、そこはかとない人生の哀感が漂っていたりはしませんか?
じゃじゃめんの紅ショウガをどのタイミングで食べるかって、そんなに大事なことですか? と書いたが、このサイト自体が「そんなに大事なことですか?」という言葉にヒジョーに弱いことを思いだした。「それがどうした!」にもとても弱い。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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