食洗機はパナソニック一強 買い替え需要で盛り上がる
今回は、ジョーシン浦和美園イオンモール店に、同店で最近盛り上がっているという食器洗い機(食洗機)の売れ筋を取材した。コーナーを担当する西上順三氏は「家事負担を減らせる食洗機に注目する方が年々増えているのと、最初に食洗機ブームが起こってから10年経って、買い替え需要も重なっているのが好調の理由だと思います。とくに当店の周囲は10年前に建てられたマンションが多いので、その傾向が強く出ているのではないでしょうか」と語る。
そのなかで売れ筋になっているのは以下のモデルだ。食器乾燥機も含めて5台挙げてもらった。
食洗機はパナソニックのみがランクインしているが、売り場にも同社以外の製品は存在していない。西上氏は「ここ10年でメーカーの撤退が続き、現在はパナソニック一強となっています。静音性やエコナビ機能による節水節電能力が評価され、抜きん出た売れ方をした結果かもしれません」という。
以下ではモデルごとに人気の理由を探っていこう(注:掲載している価格は、2017年3月23日15:00時点のもの)。
エコナビ搭載の「NP-TR9」が定番
1位は、パナソニックの食洗機では最上位となる「NP-TR9」。鍋やフライパンも洗える広い庫内とエコナビによる自動節水・節電機能が使えるのが強みだ。「水道代や電気代、洗剤などのランニングコストを総合すると、同社の試算では1年間で2万5000円も節約できるとうたっています。高い洗浄能力に裏打ちされたエコ仕様ということもあって注目を集めていますね。使っている方からの口コミも広がっていますし、店頭でデモイベントを開いても反響がすこぶるいいんですよ」という。
そうした基本機能に加えて、旧世代からの買い替え需要を高めているのは静音性だとか。「初期の食洗機は、静かなリビングにいると洗浄中の音が気になることも多かったのですが、NP-TR9なら34.5dB(50Hz)から36.5dB(60Hz)とかなり静かです。耳につく高音が抑えられており、騒音をほとんど気にせず使えるのも強みになっていますね」
続く2位は、下位モデルの「NP-TM9」。80度の温水によるすすぎや30dB台に抑えた静音性など、上位の特徴を踏襲しながら、省スペース性を向上させているのが特徴だ。
「扉が上下ともに手前に開くので、上部に棚があっても安心して設置できます。本体高は592mmですが、600mmほどスペースがあれば置けちゃうんですよね。そこを気に入って購入される方が多いです」
ただし、エコナビ機能は非搭載となるため、スペースの問題がない場合は上位を選ぶ人が多いそうだ。
単身世帯に人気の「プチ食洗 NP-TCR4」
3位は、庫内容量を抑えたコンパクトモデル「プチ食洗 NP-TCR4」。1位と2位がファミリー向けなのに対し、こちらは単身世帯に人気があるモデルだ。
「これから単身赴任や新生活を始めるという方によく売れるモデルで、男性からの人気が比較的高いように思います。『食器洗いは面倒だけど自炊はしたい』という人にうってつけでしょう」
初めて食洗機を導入する人が習慣化するまでにつまずかないコツとして、西上氏は「食べ終わったらすぐに食洗機に入れて洗う、というように使うのがベストだと思います。食べ終わって時間が経った食器は、油などがこびりついていて食洗機でも残ってしまうことがあります。食べ終わってすぐならそういうこともなく、フルに性能が発揮できるので、便利さが実感しやすいと思いますよ」とアドバイスする。
一方、食器乾燥機はコンパクトさと値段の安さから、食洗機の入門"手前"機として導入する人も多いという。「食器置き場として考えても衛生的ですし、人気は根強いですよ」
売れ筋1位のパナソニック「FD-S35T3」と2位の東芝「VD-B10S」は、ともに売れ筋の特徴を備えた定番モデルだ。熱風循環方式の大容量モデルで、食器の数量によって乾燥時間を調整できるうえ、トレーなどに抗菌性のあるステンレスを採用している。
「やはり、長く使っていて水垢が付着するのが嫌だという方が多いので、多少高価でもプラスチックタイプよりもステンレスタイプを選ぶ人が多いです。あとは、外部の操作パネルも含めてメンテナンスしやすいことが案外重視されますね」
【はみ出し情報】ビルトインタイプの割合は食洗機全体の4割にも及ぶ
食洗機はビルトインタイプの需要も伸びている。西上氏は「マンションなどで最初から導入しているケースが増えていますからね。当店では、食洗機を買われる方のうち4割くらいがビルトインを選ばれます」という。
売れ筋は、パナソニックの「NP-45MC6T」。取材時の価格は工事費込みで16万8000円となる。
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット死生観」(デジモノステーション)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。
[日経トレンディネット 2017年5月30日付の記事を再構成]
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