コンビニで写真印刷 スマホOK、証明写真も作れる
近年、著しい進化を遂げているコンビニのコピー機。手持ちの文書や写真を印刷できるのはもちろん、自分で持ち込んだ官製ハガキへの印刷や、住民票の取得といった機能もある。
コンビニエンスストアの「あって良かった!」の1つであるコピー機。実は、全国5万カ所以上で使えるネットワークプリンターへと進化している。
パソコンからネット経由でさまざまな文書が印刷できるというのは、コンビニコピー機の機能の序の口。最近は印刷できる用紙やデザインのバリエーションも拡大。スマホに保存した写真やそれらの写真を載せたカレンダーを作成したり、証明写真の印刷や住民票の取得などもできるようになっている。書類の印刷にとどまらないコンビニコピー機の活用方法を見てみよう。
スマホの写真をWi-Fi経由で簡単印刷
コンビニコピー機の機能としてまず知っておきたいのが、写真印刷だ。セブン-イレブンに置いてある富士ゼロックス製のマルチコピー機も、ファミリーマート、サークルK・サンクス、ローソンなどに置いてあるシャープ製のマルチコピー機も、普通紙のコピーや印刷をするプリンターとは別に、写真用の昇華型プリンターを備えている(一部店舗を除く)。写真専門店や家電量販店に置いてある店頭セルフ端末までわざわざ出向かなくても、街角のコンビニですぐにきれいな写真がプリントできるというわけだ。
写真の印刷をするための方法は大きく3つ。デジタルカメラで撮影した写真だったら、SDカードやUSBメモリーなどの記録メディアをマルチコピー機に直接挿して印刷する。これは知っている人が多いだろう。2つ目がパソコンやスマートフォン(スマホ)からの印刷で、事前にネット経由でデータを送信しておくネットプリントを利用する。
意外に知られていないのが、3つ目のWi-Fiを利用する方法。スマホに専用アプリを入れておけば、コンビニ店内でWi-Fiを介して写真データをマルチコピー機に出力できる。スマホからの印刷なら、これが一番簡単だ。スマホで撮影した子どもの写真をおじいちゃん、おばあちゃんに渡したいときも、最寄りのコンビニで即座に写真プリントができるというわけだ。
写真はA4まで、はがきに印刷もOK
印刷用紙のバリエーションも豊富だ。セブン-イレブンにある富士ゼロックス製マルチコピー機では、L判の写真用紙やはがき用紙に印刷できる。「はがき用紙に印刷すると"ポストカード"としての使い道が生まれます。また郵便はがきへの印刷も可能なので、家庭のプリンターがなくても印刷物はマルチコピー機でまかなえるのではないでしょうか」(富士ゼロックスの高田さん)。家庭用プリンターを使うのが年賀状くらいという人は、コンビニコピー機で代用できるかもしれない。
一方、ファミリーマートやローソンなどにあるシャープ製マルチコピー機では、写真として印刷するだけでなく、カレンダーに加工することもできる。写真用紙のサイズはL判と2L判の2種類を用意。写真用紙より質感は劣る光沢紙ならA4にも印刷できる。同社でコンビニコピー機を黎明(れいめい)期から担当しているというビジネスソリューション事業本部オフィスソリューション事業部マーケット開発部課長の中井康博さんは「自分で撮影した写真でカレンダーを作ったり、A4光沢紙やA3普通紙に写真を大きく引き伸ばして印刷したりと、写真の楽しみを広げる機能を追加しています。古い写真でネガやデータがない場合でも、写真コピーできれいな複製ができますよ」と語る。
住民票の写しや証明写真もコンビニで
コンビニのマルチコピー機の機能は、手持ちのスナップ写真を印刷するだけではない。パスポートの申請や各種資格試験の申し込みなどをすることになったときにありがたいサービスもあるのだ。
その一つが、証明写真プリント。富士ゼロックス 中央営業事業部 流通・サービス営業統括 アーケードサービスグループ 事業企画チームの高田義久さんは、「証明写真が必要になったときに、証明写真の自動撮影機を探すのはなかなか大変。コンビニのマルチコピー機ならば、スマホで撮影した写真で証明写真が作成できます。料金も200円と安い」という。かしこまった服をそのためだけに着て、駅やショッピングセンターの証明写真の自動撮影機まで出かけるのは面倒。自宅で家族などにスマホで撮影してもらうほうが手間が少なく、撮り直しも自由だ。写真店などで証明写真を撮影したことがあれば、プロが撮影した証明写真のデータを保存したCD-Rを持っているかもしれない。それを使って印刷することも可能だ。
もう一つは、最近加わった「行政サービス」だ。行政サービスでは、住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書、戸籍証明書といった各種の証明書の交付が受けられる。役所の窓口に行く時間がない場合でも、最寄りのコンビニのマルチコピー機から住民票や戸籍証明書などを取得できる。
ただ、残念ながら、行政サービスは誰でもどこでもというわけにはまだいかない。利用者はマイナンバーカードまたは住民基本台帳カード(住基カード)が必要。さらに、住んでいる自治体が行政サービス参加自治体であることが条件になる。地方公共団体情報システム機構によれば2017年4月3日時点で、全国の1700あまりの市区町村のうち、「住所地の証明書交付」に対応しているのは402市区町村、「本籍地の戸籍証明書交付」に対応しているのは108市区町村とのこと。まだどこでも使えるというには程遠いけれど、主に都市部を中心に対応する市区町村が増えていることも事実だ。マイナンバーカードや住基カードがあれば、いざというとき、コンビニのマルチコピー機が役立つかもしれない。
(ライター 岩元直久)
[日経トレンディネット 2017年5月30日付の記事を再構成]
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