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3メガとゆうちょ銀 株割安でも魅力に差(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2017/6/20

「長期金利が低下すると銀行株が一斉に売られるが、各行の収益基盤には違いがある」

 米連邦準備理事会(FRB)が先週14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めました。利上げは今年2度目で、FOMCメンバーの予測(中央値)によると、年内にあと1回、さらに来年3回の利上げが見込まれています。

 同時に米FRBの保有資産(米国債)を縮小する方針も発表されました。イエレンFRB議長は年内にも資産縮小に着手する可能性を示唆しました。その意味で、今回のFRBの決定はタカ派(金融引き締めに積極的)寄りといえます。これまでイエレン議長はハト派(金融引き締めに消極的)といわれてきましたが、様変わりです。

■銀行株は長期金利に連動しやすい

 そこで注目されるのが株式市場で「金利連動株」とみなされている銀行株です。米国で利上げが続き、つれて世界的に金利が上昇するなら、銀行株に追い風となります。長期金利が上がると、銀行の預貸金利ざや(預金金利と貸出金利のスプレッド)が改善しやすいからです。

 ただし、最近発表されている米景気指標が軟化しているため、市場は、タカ派トーンのFRBの政策方針に懐疑的な反応です。FRBが利上げしても、長期金利に上昇圧力が働きにくくなっています。いずれにしても最近の銀行株は世界を含めて長期金利の上げ下げに連動する傾向が強まっています。

 日本の大手銀行株は2008年以降、長期金利の低下とともに売られてきました。チャートを見ても、日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。ただし、日本の3メガ銀行の利益は、長期金利だけで決まるわけではありません。実際、日本の長期金利が一時マイナスに転じたにもかかわらず、ほぼ安定的に利益を稼ぎ続けています。

 三菱UFJフィナンシャル・グループは15年3月期の連結純利益が1兆円を超え、過去最高を記録しました。三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループも14年3月期の純利益がそれぞれ8000億円強、7000億円弱と過去最高となりました。その後は利益水準が少し低下しましたが、それでも17年3月期は6000億~9000億円程度を稼いでいます。長期金利が低下すると、株式市場では銀行株が投げ売りされますが、3メガ銀行に限っていえば投資家は誤っていると思います。3メガ銀行は多角化によって高収益を維持しているからです。その柱は3つあります。

■3メガ銀行は多角化が進んでいる

 (1)ユニバーサルバンク(銀行、証券、資産運用などを総合的に営業)
 (2)海外事業(現地銀行の買収などで、欧米やアジアで積極的に展開)
 (3)貸出先の多様化(融資先を大企業から、中小企業・個人に拡大)

 このうち、(2)と(3)は利息収入に関係があります。まず(2)についてですが、海外は日本ほど金利が低くないので、現地企業向けの融資は利息が多く得られるのです。特に三菱UFJは海外進出で先行しており、高収益を上げています。

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