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人生を変えるマネーハック

転職は3つのワードで考える 動機と目標を明確に キャリアアップをマネーハック(3)

2017/6/19

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 今月のマネーハックはキャリアアップについて考えています。今週のテーマは仕事を続けていくなかで避けて通れない「転職」です。

 実際には転職をしていない人でも、一度も転職を考えたことがない人はまれでしょう。しかし、なんとなく「転職したいなあ」と考えているだけでは動機も目標も明確になりません。面接で転職の理由を説明することもできないようでは、採用通知をもらうこともないでしょう。

 つまり、転職を考えるにあたっては動機と目標を明確にする必要があります。それでは多くの人はどのような理由で転職しているのでしょうか。

■転職の理由はさまざま

 転職情報サイト「DODA(デューダ」の「転職理由ランキング2017」によれば、20歳代の転職理由は下記のとおりです。

1位 ほかにやりたい仕事がある
2位 給与に不満がある
3位 残業が多い/休日が少ない
4位 会社の将来性が不安
5位 専門知識・技術を習得したい

 一方、厚生労働省の「2013年若年者雇用実態調査結果の概要」によると、若手正社員の転職希望理由は下記のとおりです。

1位 賃金の条件がよい会社にかわりたい
2位 労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい
3位 自分の技能・能力が生かせる会社にかわりたい
4位 仕事が自分に合った会社にかわりたい
5位 将来性のある会社にかわりたい

 どうでしょう? いろんな不満や問題意識が転職につながっていることが分かります。あなたが転職理由を整理するとき、この中から3つのポイントで考えてみることをお勧めします。「年収」「仕事の内容」「人間関係」です。

■年収に不満があれば転職の検討を

 まず「年収」についてですが、以下の視点で考えましょう。「自分の待遇と能力とのバランス」「自分と同じ年代(例えば大学の同期)とのバランス」「自分の住むエリアの平均とのバランス」などです。自分の能力に見合わない給与しかもらえておらず、かつ将来の改善の見込みがないならこれは転職を検討すべきです。

 次に「仕事の内容」についてです。これは自分がやりたい仕事とのミスマッチです。明らかに自分に向いていない職種から異動できない数年間というのは相当のストレスです。先々週のコラム「キャリア育成したいなら『業種』でなく『職種』で」でも指摘したとおり、業種にこだわるより自分の「適職種」を意識してやりたい仕事を考えてみましょう。

 最後に「人間関係」についてです。つまり職場の人間関係です。ハラスメントはもちろんですし、人間関係のギクシャクした職場に居続けることはストレスをため込むことになります。ハラスメントの改善を社内組織で訴えることは当然のことですが、しがらみが残る場合もありますので、気分を一新したいなら組織を飛び出すことも選択肢となります。

 さて、3つの転職キーワードのうち、最も不満が強いのは「年収」ではないでしょうか。年功序列で給与が決まるため、若者は安月給を強いられたり、会社の規模の問題でこれ以上給料をもらえなかったりするなど、どうしても改善が見込めない場合は、急いで転職を考えるほうがいいでしょう。

 「仕事の内容」と「人間関係」は良好だが、「年収」に不満がある場合はどうでしょう? これも転職を検討すべきだと思います。居心地がいいことで年収の低さを見逃している状態だからです。現在の職場で給与アップが望み薄の人は、転職をしたほうがむしろ「年収アップ」「仕事の内容も充実」「人間関係も良好」の理想的な仕事になったりします。

 「年収」に不満がなくても、「仕事の内容」「人間関係」のどちらも不満なら、転職の動機たり得ます。この場合、年収が同水準でも、仕事をするストレスが減るわけですから、転職の価値があります。年収アップを必須要件としないなら、転職の実現性も高まるはずです。

■いつでも転職のアンテナは張っておく

 しかしながら、実際には「転職イコール年収アップ」という単純な図式は成立しません。厚生労働省の「2015年転職者実態調査」によれば、賃金が「増加した」が40%、「減少した」が36%、「変わらない」が22%となっています(2%は不明)。転職に年収アップを期待してもそう簡単ではないことが分かります。

 しかし、年収が変わらなくても「週末の出勤日が減る」「残業時間が減る」といった雇用条件が改善されれば、これは実質的な時給アップです。同じ給与を少ない時間で得ているからです。精神的疲労やストレスも軽減されるでしょう。「やりたい職種に専念できる」というのも、キャリアアップになります。仕事を楽しんで励むことができますから、悪くない選択肢です。

 今の会社に恩義を感じて転職を思いとどまる必要はありません。会社がいきなり傾きはじめて、あわてて転職活動をせざるを得ないこともあります。最初から「自分は転職をしない」と決めつけず、「見つかればラッキーだからアンテナを張っておこう」というくらいに考えてみてはいかがでしょうか。案外そのほうがいい転職先が見つかるかもしれません。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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