『にちようチャップリン』 若手芸人が羽ばたく場に
テレビ東京系で2015年に単発で始まった『そこそこチャップリン』をレギュラー化し、『こそこそ』『じわじわ』などタイトルを変えて深夜で放送してきたネタ番組『チャップリン』シリーズ。4月からプライムタイム(午後7~11時)に昇格し、『にちようチャップリン』としてパワーアップした。若手芸人を世に出す機会をつくるのが番組の狙いだ。
人気芸人が参加する「僕たち平和、ほんわか芸人」や「ほぼ0.1トン女子 幸せに太(た)べる」など、様々な日本一を競う決定戦がメイン企画だ。3週勝ち抜きを目指す、これまでの若手芸人によるネタレースは、『これからチャップリン』としてコーナー化した。
『チャップリン』シリーズ誕生のきっかけは、内村光良の提案だったと伊藤隆行総合プロデューサーは振り返る。「2年前『そうだ旅(どっか)に行こう。』が終わるとき、内村さんに『テレビ東京はネタ番組をやらないんですか』と聞かれたんです。内村さんは50歳になるタイミングでした。若手に何かしてあげたいとの思いが強く、深夜にひっそりでもいいからチャンスの場をと願う、内村さんの愛情を感じました。テレ東としても若手を発掘して育てるストレートなネタ番組はなく、やってみましょうと即答しました」。
この4月は、若手芸人が活躍する新番組が各局で始まった。他局では大半が深夜帯のなか、午後10時という多くの人が見る時間帯で勝負する。レギュラー陣は、土田晃之のほかに、新たに千鳥とハリセンボン、井戸田潤(スピードワゴン)、田中卓志(アンガールズ)が加わった。「メイン企画では千鳥が司会で、特にノブさんが全体の進行の役割を果たしています。内村さんの横にはハリセンボンの春菜さんがいて細かいところを拾って場を活気づけてくれます。内村さんは、ノブさんと春菜さんのいわゆる"回し"の渦に巻き込まれている感じ(笑)。ただの会話が、オチのついたやり取りになっているので、王道のお笑いバラエティになっていくぞと手応えを感じています」。
井戸田と田中は「これからチャップリン」コーナーを率いる役割。内村も2人に、「メイン企画を侵食するぐらい盛り上げてほしい」と伝えているそうだ。3週連続勝ち抜きのネタバトルは、若手にとって修行の場。1週勝てても、翌週には別のネタで勝負しなければならない。「みんなキツイと言っていますが、武器が1つでは長続きしません。ネタを作り続けることに負けない人たちは発掘できていて、マツモトクラブやしゃもじ、トンツカタンにも期待しています。アキラ100%は最近、全然勝ち上がれなくて、『服着てみる?』なんて言っていたんですが(笑)、『R-1』で結果を出しました」。
番組の生命線は、"若手"にあると考えているとのこと。メイン企画には「これから~」コーナーの人材も送り込み、旬の人気者と無名の若手が入り乱れて、常に面白い人が出られる番組にすることが目標。「何事も全否定しないことをモットーに、若手をきちんと世に出していける装置作りをしたいと思います」。
(「日経エンタテインメント!」6月号の記事を再構成。敬称略。文/内藤悦子)
[日経MJ2017年6月16日付]
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