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400人の村、議会廃止を検討 一律の自治制度に限界

2017/6/20

定員6人の高知県大川村議会の村会議場

 人口わずか400人の高知県大川村が村議会を廃止する検討を始めました。議員のなり手が少ないので、いっそのこと有権者全員が参加する「村総会」で予算などを議論しようと考えたのです。人口減少が進む自治体にとっては人ごとではなく、高市早苗総務相も「著しく人口が少ない町村の一つの選択肢」と発言しました。

 議会を廃止しようというのは世界では珍しい考え方のようです。日本は村長など行政の首長と、議会の議員をそれぞれ選挙で選ぶ「二元代表制」です。しかし欧州などは、市民は議員だけを選挙で選ぶ「一元代表制」が多いと、中央大学の佐々木信夫教授は指摘します。首長は議会の長が兼ねたり、議会が民間から選んだりします。

 背景にあるのは議会を重視する伝統です。地域のことは議会で話し合って決め、それを行政に実行させる意識が強いのです。地方自治総合研究所の今井照・主任研究員も「首長がいない自治体はあっても、議会がない自治体はほとんどない」と話します。

 日本では「地方議員なんて要るの?」と思う人もいるのではないでしょうか。議会は行政の提案を受け入れるだけ、調査費を不正に使っている、といったイメージが強いかもしれません。ただ、議会を廃止すると首長の権限が強くなるリスクがあります。むしろ、夜間や休日に会議を開くなど議会を改革して、もっと優秀な人を議会に送る方向で考えた方がいいかもしれません。

 最近では「首長を廃止して、議会の権限を強め、市民の参加意欲を高める」といったウルトラCを挙げる声もあります。現実には憲法との兼ね合いもあり簡単ではありませんが、この案は重要な問いかけをしています。それは地方自治の多様性を考えることです。

 日本の地方自治の形が固まったのは明治時代です。今も、大都市から村までが二元代表制をとっていますが、高齢化と人口減がどんどん進み、もはや限界となる自治体が出てきたのです。これからの地方自治はどうあるべきなのか。小さな村の議論をきっかけに、頭をうんと軟らかくして考え直してもよいのではないでしょうか。

■地方自治総研の今井照主任研究員「議員のなり手、増やす工夫を」

 日本の地方自治はどこへ向かうのか。地方自治総合研究所の今井照・主任研究員に話を聞いた。

 ――日本の地方自治が今のような形になったのはいつからですか。

地方自治総合研究所 今井照氏

 「明治維新後の約20年間に、紆余曲折(うよきょくせつ)を経ながら現在のしくみの基礎ができあがりました。それまでは地域ごとの寄り合いなど、封建的ではありますが、ある程度『村』の自治が機能していました。しかし、国が富国強兵に注力するために、国内行政を地域で執行する機関として『村』を再編し、そこに国の意向をくむ『首長』を置いたのです。首長の権限は強く、議会は首長に対する諮問機関に留められました。今も日本の自治体で、議会よりも首長に決定権があると思われている源流はここにあります」

 ――高知県大川村が議会の廃止を検討していることをどう受けとめますか。

 「議員のなり手が少ないから議会をやめて住民総会というのは筋が違います。議員のなり手が少ないなら総会を開いてもおそらく参加者が少なく機能しないでしょう。むしろ議員のなり手を増やす方向を考えるべきです」

 ――そのためにはどうしたらよいですか。

 「議会や議員のあり方を見直す必要があります。今のように平日の昼間に議会を開いていては、議員のなり手は、自営業の人や定年後の人などに限られてしまいます。マンションの理事会が夜間や休日にやっているように、議会も柔軟な運営が必要です。小規模なの自治体ほど、こうしたことはやりやすいのではないでしょうか」

(福山絵里子)

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