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マンション管理組合が機能不全 理事に外部専門家も

2017/6/13

 次回のマンションの管理組合総会に管理費の増額議案が出ています。しかし、最近は廊下の汚れが目立ち、照明の故障なども多く管理の甘さが目立ちます。輪番制の理事で大丈夫なのか不安です。

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 マンションの建物や敷地、エレベーターなどの共用施設は、マンションの区分所有者で構成する管理組合が管理する。多くの管理組合は業務を管理会社に委託しており、国土交通省によると、新築分譲時に売り主が提示した管理会社を変更しないままでいる組合が76%にのぼるという。

 多くの管理組合が抱える問題が理事のなり手不足だ。そのため輪番制としたり、同じ人がずっと理事長を続けたりするケースがあるが、「運営に緊張感がなくなり、必要以上に管理費を出費したり、使い込み事件が起きたりする例が後を絶たない」とさくら事務所(東京・渋谷)のマンション管理コンサルタントの川島崇浩氏は指摘する。

 部屋を賃貸する所有者が増え、組合運営に支障が出る例も目立つ。地方のワンルームマンションは所有者が遠方にいて、総会を開いても50戸中1~2人しか出席しない例もあるという。また、マンションの老朽化や工事費用の高騰で、大規模修繕工事をするための積立金不足で窮地に立つマンションも急増している。

 こうした課題を受けて国交省は昨年、マンション管理の目安を示す「標準管理規約」を改正し、組合運営にマンション管理士や、マンションの権利・利用関係、建築技術などに詳しい弁護士や建築士、司法書士など外部の専門家を活用する選択肢を示した。

 これまでも管理組合が外部専門家に助言や指導を求められるという規定はあり、すでに約半数のマンション組合が専門家を活用している。新しい規約では、さらに進んで組合の理事などに外部専門家が直接就任したり、専門家に業務執行を任せて理事会や総会が監督したりできるようにした。

 高齢化や空室率の高まりで理事のなり手が不足し、機能不全になっている組合を救済する狙いだ。業務執行を任せるのは大規模マンションを想定しており、管理費の効率的な使い方が期待できそうだ。

 標準管理規約は国交省が示す「ひな型」であり、強制力はない。古いマンションでは分譲当時の規約のままというケースもあり、理事などに就任できるのは依然、所有者に限定されている。規約の改正には所有者数と議決権数の各4分の3以上の賛成が必要だ。

 だが少子高齢化の進展でマンションの空室が増え、所有者も高齢になることが予想される。マンションの資産価値を大きく落とさないためにも、いまの管理体制でいいのかどうか、組合全体で議論を深めることが必要だ。

[日本経済新聞朝刊2017年6月10日付]

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