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清水崇監督、全米1位の秘密は個性、ユーモア、下ネタ

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オリジナルホラー『呪怨』(2003年)をヒットさせ、そのハリウッドリメーク版『The Grudge』(04年)で全米興行成績1位に輝いた清水崇監督の「私のモノ語り」。主要キャスト&スタッフにしかオリジナルグッズを配らないハリウッド流を嫌い、全スタッフに台本カバーを配ったという前編(「清水監督が米版『呪怨』で配ったカワイ怖い台本カバー」)に続き、後編は仕事以外でも身につけているという帽子の話からスタート。海外で仕事をする秘訣も教えてもらった。

ケータイは忘れても帽子は取りに帰る

「高校生くらいから帽子が好きで、たぶん今、家には100個以上は持っています。その日の気分で選ぶんですけど、気に入ったものは頻繁にかぶるので、すぐボロボロになる。泊まりで何週間かロケに行くときは、10個くらいは持っていくようにしていますね。

高校生のとき、初めて自分で買った帽子がキャップで、それからいろんな帽子を買ってきました。好きなのは、キャップか、つばがない丸帽。丸帽はあまり種類がない。だから見つけて気に入ると、高かろうが安かろうが買っちゃう感じです。

帽子を好きな理由ですか。……それ一つで、ガラリと雰囲気が変わるから。あと、僕は寝癖が付いたりしていても構わないもんだから、帽子さえかぶっちゃえばごまかせるっていう良さもありますね。

仕事でも、仕事以外でも、いつでもかぶっているので、帽子を忘れて外出すると、恥ずかしいんですよ。ケータイを忘れても『ま、いいか』だけど、でも帽子を忘れたら絶対に取りに帰ります(笑)。

帽子は、プレゼントでもらうこともあります。今日持ってきたのは、10年くらい前に妻がプレゼントしてくれたもの。自分では買わない色味なので、ほとんどかぶってなかったんですけど、最近また引っ張り出して、かぶっています。

帽子には、バッジを付けたりもします。前に、ガチャガチャで山手線全駅のバッジが発売されたときに、『面白い!』と思って、丸帽の裏に、一周する感じで付けてたんですよ。たまたまその帽子をかぶって俳優と対談していたときに、『監督の頭の中を見てみたい』と言われて、見せたことがあります。『こうなってるんだ』『あ、山手線になってる!』って(笑)。俺はなんていいタイミングでこの帽子をかぶっていたんだ、と思いましたね」

ハリウッドでは意識して個性を売り込んだ

トレードマークの帽子をかぶり、日米をまたにかけて活躍する清水監督。日本人が海外で仕事をしていくために必要なものを聞いてみた。

「いやあ、そんな偉そうには言えないですけど(笑)。でも、積極性と個性じゃないですか。遠慮したり、空気を読みすぎて前に出られなかったりすると、海外では放っておかれる。英語がカタコトだろうが、身ぶり手ぶりだろうが、伝えようとしないと何も始まらないので、まずは行動に出ることだと思います。

個性は、僕の場合は小さくて顔が濃いから覚えてもらいやすいんですけど、意識してどんなヤツかを売っていかないと、認めてもらえない。『あの人、おとなしいから食事に誘ってもつまんないよ』なんて思われたりもするので、個性と積極性は意識した方がいいと思います。

ユーモアも大事です。僕は、英語は多少できる程度ですけど、ユーモアと下ネタは世界共通なんです(笑)。笑いや下ネタを交えることで、『ああ、この人は下ネタ苦手なんだな。やめておこう』とか、コミュニケーションのヒントも見える。アメリカの女性は下ネタに引く感じがなくて、女子高生でも平気で下ネタを言って、キャッキャ言っている子もいました。そのへんの感覚の違いは『ああ、やりやすいな』と思うこともあれば、こっちが引いちゃうこともありますね(笑)。

通訳を介してジョークを言うと、1分後くらいにアメリカ人が笑うことになるじゃないですか。それを利用して、ユーモアにつなげることもあります。『この後、1分後に君たちは笑うと思うけど、これこれこうで、こうなんだ』と話すと、通訳を聞いて、1分後に彼らがワハハとなる。そこで『ほら、これが1分後!』と言うと『コイツ、英語はわかってないけど、面白いぞ』と思ってもらえる。そういうユーモアでつながると、『一緒にバーに行こうぜ』とか誘われる機会も増えると思います」

世界中の映画会社に「俺のせいでごめん」

清水監督は近年、3Dや4DXなどの最新のテクノロジーをいち早く映画に取り入れ、作品を発表してきた。しかし意外にも、最新技術に興味があって始めたわけではないという。

「僕はもともとアナログ人間なので、デジタルとか新機軸の技術とかが、そんなに得意じゃないんです。でもなぜか、そういう話がくる。

たぶんホラーは、安い製作費でできるんじゃないかと思われているんですよ。有名な俳優が出ていなくても、『そうとう怖いよ』と言われたら、見る人は多いから。『これくらいの予算でできない?』と軽く言われて、『簡単に言うよなあ!』と思ったことが多々あります(笑)。

だから3Dや4DXの話も、最初は興味がなくて、断っていたんです。ただ、いろいろプレゼンされているうちに、アナログ人間だからこそ、『こういう人がいてくれると、ありがたいんだよな』と思えてきて、『やってみようか』と。

実際にやってみると、大変ですけど、面白かったです。

例えば3Dは、僕が初めて撮ったとき、まだ日本に1台も3Dカメラが入ってきていなかったんですよ。だから35ミリのカメラを2つつなげて、即席3Dカメラを作って、工夫して撮りました。

4DXは、撮った映画を韓国の4DX社に送って、雨風や振動などの効果を付けてもらうんです。僕が発注をした時、たまたま韓国に行く機会があったので、4DX社に乗り込んで『もっとこうして、ああして』と細かく何度も注文をしていたら、その後、『注文は2回まで』というルールを4DX社が作っちゃった。世界中の映画会社に、『俺のせいでごめん』という気持ちでいっぱいです(笑)」

スペインで「俺の映画は嫌われている」。劇場を抜け出すと…

新作は、滝沢秀明を主演に迎えた『こどもつかい』。随所に童話や絵本的なエッセンスが盛り込まれ、ファンタジックなホラー映画となっている。

「もともと『MOE』を購読していたくらいだから、たぶん好きなんですよね、ファンタジックな世界が。そして、僕が年を取ってきたからでもあるんでしょうけど、今回は心情描写に力を入れて、ドラマをしっかり固めたいという気持ちもありました。

滝沢さんが演じる『こどもつかい』のモチーフは、ハーメルンの笛吹き男です。男が持っている笛をどこから出したら面白いかと考えて、お尻に付いている黒猫の尻尾を、変形させるというアイデアにしました。その尻尾が、笛にもなれば、長いロープにもなって、武器にもなる。そんなふうに、モノから発想して、脚本やお芝居に反映した部分もあります」

ホラーというと『怖い』が大前提。しかし清水監督は、恐怖と笑いのはざまを狙っているところがあるという。その姿勢は、出世作『呪怨』からのものだ。

「怖いシーンでビクッとした後に、『あーびっくりした』と笑っちゃうことがあるじゃないですか。特にアメリカ人は、『うわっ!』と怖がった後に、大笑いするんですよ。あのリアクションの大きさは、作る側からするとうれしいんです。

映画祭でスペインに行ったら、スペイン人はもっとすごかったですね。スクリーンに向かって怒号を飛ばすわ、モノも飛ばすわ(笑)。『俺の映画は嫌われている』と思ったので、早めに劇場を出たんですよ。そうしたら外にも人が大勢いて、身の危険を感じました。

でも彼らは『おお、監督がいるぞ!』と大盛り上がり。本当は、スペインの人たちはみんな、喜んでくれていたんですよ。お祭り騒ぎで映画を楽しんでいただけ。

日本人は、空気を読んだり、周りの目を気にしたりするから、「ここで笑っちゃいけないかな」と自制したり、せっかく感動したのに、泣くのを我慢しちゃったりする。知らない人の名前が流れる英語のクレジットを最後まで見るのも、日本人ぐらいじゃないですか? アメリカの劇場だと、ラストシーンが終わる頃には「もう終わるか? もう終わるな。よっしゃ!」という感じで、みんな出て行きますから。

今回の『こどもつかい』も、面白いと思ったら、笑ってもらっていいんです。こっちは『びっくりさせたい』と思って、ニコニコしながらホラーを作っているので。お祭り状態でホラーを楽しんでもらえたらうれしいです」

清水崇
 1972年生まれ、群馬県出身。シャイカー所属。大学で演劇を専攻し、ドラマや映画の助監督を経て、2001年『富江re・birth』で劇場映画デビュー。03年に『呪怨』『呪怨2』がヒット。04年にはUSリメーク版『The Grudge』(邦題『THE JUON/呪怨』)でハリウッド進出。日本人監督として初の全米興行成績1位を獲得した(実写映画)。以降、『ラビット・ホラー3D』(11年)、初の4DX限定映画『雨女』(16年)などを手がけ話題に。近作に『魔女の宅急便』(14年)などがある。

『こどもつかい』

子どもが突如失踪した3日後、怨(うら)まれていた大人が謎の死を遂げるという事件が連続発生。取材を始めた新人記者は、恋人が子どもに怨まれていると知り、奔走する。そんな2人の前に、謎の男「こどもつかい」が現れた。監督・清水崇 脚本・ブラジリィー・アン・山田、清水崇 出演・滝沢秀明、有岡大貴、門脇麦、西田尚美 6月17日(土)全国ロードショー

私のモノ語り「清水崇監督」
 前編 清水監督が米版『呪怨』で配ったカワイ怖い台本カバー
 後編 清水崇監督 ハリウッドで大事な個性、ユーモア、下ネタ

(ライター 泊貴洋、写真 藤本和史)

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