全裸芸人、アキラ100% お盆芸で「世界進出」の野望
全裸に蝶ネクタイがトレードマーク。ご覧のようにアルミのお盆を巧みに操り、股間を隠す芸でアキラ100%が人気を集めている。もともとは俳優を目指していたが、今はお盆芸で「世界進出」という野望がある。
2017年2月に開催されたピン芸人日本一を決める『R-1ぐらんぷり』で「絶対見せないde SHOW」と題した様々なバリエーションのお盆芸を繰り広げて見事優勝。生中継された決勝では、失敗したら放送事故というただならぬスリル感と底抜けのバカバカしさでスタジオやお茶の間を大爆笑の渦に巻き込んだ。
優勝翌日から仕事のオファーが相次いだものの、この格好でできることには限りがある。勢いもすぐ収まるかと思われたが、3カ月たっても「優勝直前までやっていたスポーツジムのアルバイトに戻れていない」(アキラ)という状況が続いた。
現在42歳。遅咲きのピン芸人には違いないが、お笑い界に足を踏み入れたのも比較的遅く、30歳を過ぎてからだった。高校時代に入った演劇部がきっかけで20代は俳優を志望し仲間内で舞台をやっていたが、「バイトしてお金を貯めて年に1~2回芝居をやることが不経済すぎると気付き、耐えられずやめました」と明かす。
お笑いをやろうと一念発起したのはネタ番組全盛の05年。大学時代の友人を誘い、コンビ「タンバリン」を結成することに。しかしこのコンビも結果を出せず、5年ほどで解散した。
解散後は「未練があった」ことからピン芸人に。コンビ時代を上回る苦労が続いたが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日テレ系)の正月企画「山―1グランプリ」のオーディションでようやくディレクターの反応があった。
「もともとコンビでいろんな喫茶店をやるネタの中に『喫茶ナチュラル』というのがあった。オーガニック食材にこだわった店かと思って入ったら、裸の店員がお盆で股間を隠しながら出てくる。ライブで反応が大きかったから、その部分をめでたい宴会芸に寄せて刑事コントにしたら採用してもらえました」
「丸腰デカ」と題するこのコントは15年の「山―1」で話題となり、認知が一気に拡大。16年大みそかの『絶対に笑ってはいけない科学博士24時!』では俳優の原田龍二を巻き込んで披露し、ダウンタウンを爆笑させた。安定感抜群のお盆芸は「普通のお笑いコンビがネタ合わせに費やす時間と同じくらい練習した賜物」という。
『R-1』優勝後は、芸風にマッチした温泉ロケの仕事なども入り始め、テレビタレントとして着実に歩みを進めている。もともと目指していた俳優の仕事について聞くと、「『丸腰デカが服着て刑事ドラマに出てるぞ』なんて言われてみたいですね」。
海外進出という野望もある。「宗教や文化の違いはありますが、笑ってもらえる国もあるはず。ぜひ試してみたい」。国境を越えても、隠し通せるのか。固唾をのんで見守りたい。
(「日経エンタテインメント!」6月号の記事を再構成。敬称略。文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2017年6月9日付]
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